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ジョンホン身辺雑記_36

昼過ぎに兄からLINEがきた。

「今、病院から電話があって、ばあちゃんの状態が急速に悪くなってるとの連絡を受けました。『結晶板』の数が減ってるみたいなことを言ってました。今みどりおばさんとキヨ君を迎えに千歳空港に来ていて、合流したら真っ直ぐ病院に向かいます(原文まま)」

母は三姉妹の長女で、次女とその息子(俺と同い年の従兄弟)が今日東京から札幌へ飛び、祖母に会いにいった。因みに次女の夫は、東京の大きな総合病院の副院長にまでなった医師だ。

そして、札幌在住で祖母をほったらかしにしていた三女とその夫も祖母に面会に行ったらしい。
俺はこの叔母に幼い頃、殴られまくっていた。
俺がまだ物心もつかない頃に父が死に、母はずっと朝から深夜まで働いていたので、よく俺はこの叔母に預けられていた。
兄が壺を割って、この叔母に弟が割ったと兄が嘘をつき、往復ビンタをされまくったことも鮮明に覚えている。
因みに三女の夫は北海道医師会会長でそこそこ大きな病院の院長だ。

誤解を恐れずに正直に言う。
俺は医療の世界が嫌いだ。『コロナ』でボロ儲けした医師も知っている。
養老孟司の考え方に同調する。日本の医療システムに組み込まれたくはない派だ。

少しして、兄から祖母の手術後の動画と写真が送られてきた。左脚は真っ黒になっていて(ついこの間会ったときはこのような状態ではなかった)壊死している。
健常者ならすぐにでも脚を切断しなければならない状態らしい。

かなり衝撃的な写真だ。

俺はその写真を見て号泣してしまった。

兄は、触ったらカサカサで「ビーフジャーキー」だと言った。俺は思わず、キレてしまった。二度と「ビーフジャーキー」なんて言うなと。兄もテンパっていて、泣きじゃくる俺に怒っていた。

今夜が峠の可能性もあると医師から言われたらしい。

一番恐れていたことが起こってしまった。

延命のための手術によって、余計に「死」を早めてしまった。火を見るより明らかだ。
動画では祖母は苦しそうに口を開けたままうなだれている。

誰を責めることも出来ないし、誰のせいでもないし、祖母に生きてほしいという想いだけで祖母の延命手術を主張した母には絶対に自責の念に駆られてほしくない。

何より、母自身も明日、命を賭けた手術をするんだ。

兄だけでも祖母のそばにずっと居てやってくれと頼むと、『コロナ』対策で15分しか面会させてくれないと言われたらしい。

母の明日の手術も不安になってきた。
不安で仕方ない。

ハルモニ、俺が明日早朝に帰るまで絶対に生きていてください。

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