ワンピースの正体

ワンピース(=ひとつなぎの大秘宝)の正体については数多くの考察があるが、そこに一つ稚説を加えようと思ったのはこれまで読んできたものの中にその結論と根拠が自身のものと同じものが無かったのが一つ、YouTubeで大変面白い説を見かけてその点について一つ自説を語ってみたいと思ったのがもう一つである。

ひとつなぎの大秘宝はご存知の通り、大海賊時代の幕を開くきっかけとなったロジャーの「置いてきた」宝であった。後に判明した事実によると、ロジャーの手に入れた全ての物を総称して世間がそう呼んだものであるという。
この後者の事実が判明した時、疑問に思った読者もいるのではないか。「一体何が違うのか」と。この記事を読み終わった時にはその疑問も解けていることと思う。

結論から言うと、ここで主張するワンピースの正体は「リオ・ポーネグリク」である。もっと言えば、「世界の歴史」である。
この結論自体は双子岬で判明した最後の島の存在、アラバスタ編にてコブラの語った「語られぬ歴史は紡ぐことができるのか」という台詞、ロビンという考古学者が仲間になった事実、そして空島編で見つかったポーネグリクの側に刻まれていたロジャーの言葉「我ここに至りこの文を最果て(=ラフテル)へと導く」から想像できる。
つまり、これらの事柄から「ラフテルにはロジャーの導いたポーネグリクの文章がある」ことが分かるため、空島でロジャーの言葉を見たロビンが「まさかリオ・ポーネグリクとは」と言った時、その後に続く言葉が「ひとつなぎの大秘宝なのか?」である可能性に気付く訳である。

これだけではない。個人的にはこれよりはるかに大きな説得力を持つ場面が存在する。
一つはワンピースの冒頭、処刑されるロジャーの遺した「探してみろ、この世の全てをそこに置いてきた!」という台詞とシャボンディ諸島にてロビンにDの意思、そして空白の100年に起きたことを知っているか問いかけられたレイリーの「我々は歴史の全てを知った」という台詞に共通して「全て」とある事である。
もう一つ、ワノ国編のおでんの回想シーンにて「世界の全てを知った 空白の100年とは Dの意思とは 古代兵器とは」と語られるが、こちらにも「全て」というキーワードが含まれており、そして内容もほぼ同じである。

ここから話題は少し変わる。YouTubeでワンピースの考察を行なっているユデロン氏の動画に「ひとつなぎの大秘宝の正体、意味、右目のノーランドと左目のロジャー」というものがあり、そこでノーランドとロジャーが対比されている。ノーランドは泣き叫んで処刑され、ロジャーは笑って処刑された。この二人は表裏一体の関係になっている。ならば二人が処刑される際に語った言葉もそうではないかと言うのである。本当は正直者であったノーランドに対してロジャーは嘘を吐いていたのではないかと。そのロジャーの嘘についてユデロン氏の結論は動画を見て頂くとして、これを真実であると仮定した時の自身の考えを述べるのであれば、それは「ひとつなぎの大秘宝はロジャー”が”遺した宝ではない」という事である。ポーネグリクは滅んだ王国の遺したものだからである。それをさも自身の遺すものであるかの様に語った点に、ロジャーの嘘があるのではないか。
こう考えると、冒頭で挙げた「ひとつなぎの大秘宝はロジャーの手に入れた宝の総称を世間がそう呼んだもの」という表現も腑に落ちるのではないだろうか。ロジャーは「おれの財宝か」と言ったがそれはロジャーのものでもなければ世間が思う様な”財宝”でもなかった。それを知らぬ作中世界の人々の認識を逆手にとって大航海時代を開いたと、こう繋がるのだろう。

追記:ロジャーが「早過ぎた」と語った理由はポセイドンがまだ生まれていなかったからだとよく推測されている。もちろんそれも理由の一つではあるのだろうがもう一つ、まだ導かれていないポーネグリクの文章があったからだという可能性もある。空島のポーネグリクを見たロビンがこの石は既に役目を果たしていて自身もこれまでに読んだ文章をラフテルへ導かねばならないと言っている事からそう考えられる。


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