アオアシを読んでサッカーが上手くなる!!
読めばサッカーが上手くなる!!
Jユースを舞台にしたサッカーマンガ。
JユースとはJリーグ所属チームの高校年代の下部組織のこと。
プレミアリーグと呼ばれる、Jユース(クラブチーム)と高校の部活が東西の優勝をかけて戦うリーグ戦が舞台です。
最新刊24巻は青森星蘭高校と主人公アシトが所属する東京エスペリオンユースの首位決戦。
読めばサッカーが上手くなるを謳っているだけあって、サッカーの戦術についても言及しているわかりやすいマンガです。
ストーリーやキャラクター設定も面白く、実際に存在するチームをオマージュして描かれていて、大人も子供も楽しめるマンガです。
例えば、青森星蘭高校は近年高校サッカーでは無類の強さを発揮している青森山田高校。
その青森星蘭高校の主力である北野蓮は、高校年代から注目を浴びていた柴崎岳を想像させられるキャラクター。
ストーリーの中に近代サッカーの戦術が描かれていて、勉強になるマンガです。
カオスとストーミング
最新刊24巻は、エスペリオンユースと青森星蘭高校の前半の第二部。
ポゼッションをしようとするエスペリオンに対して、ストーミングという戦術を用いて対抗する青森星蘭。
戦術的ピリオダイゼーション理論をとなえた、フラーデ教授によると、
サッカーはカオスでありフラクタルである。
カオスとは混沌。次に何が起こるかわからない状況の連続。
フラクタルとは、相似性。例えば、1v1の相似が11v11になっているということ。 練習のメニューなどに応用される。
青森星蘭高校の監督も、技術力のあるJユースを倒すためには、泥臭く戦いカオスの状況を活かす戦術を用いている。
その戦術をストーミングと呼んでいる
ストーミンングとポジショナルプレイ
近年のサッカーでしばしば話題にのぼる、ストーミングとポジショナルプレイ。
簡単に説明すると、サッカーはカオスな状況が前提ということを踏まえて。
カオスの中に秩序を保とうとするのが、ポジショナルプレイ。
代表的なチームはバルセロナやバイエルン、マンチェスターシティなど。
カオスをカオスのまま押し進めちゃおうというのがストーミング。
相手の方がよりカオスであればこちらは秩序を保っているという考え方。
代表的なチームは、リヴァプール、ライプチヒ、ザルツブルグなど。
どちらが良いというわけではない
どっちの方が優れているとかではないし、ストーミング戦術を用いるチームでも時間帯的にはポジショナルプレイも採用する。
近年のリヴァプールもそうだし、ペップバルサ時代もハイプレスは存在していた。
モウリーニョが責任者をつとめるエリート指導者養成コースに日本人で初めて合格し、現在浦和レッズで分析担当をつとめる、林舞輝氏の著書による例えがわかりやすい。
「スーパーマリオで、最短時間でクリアするか、より多くコインをとってクリアするかに優劣はない。」
サッカーにおいても、時間をかけずに攻略する場面もあれば、選手の配置を整える場面も必要。
要はそのバランス。
カオスに力を発揮するイーグルアイ
カオスな状況で、相手、味方、ボール、スペースなどを瞬時に把握する能力が力を発揮する。
アオアシで使われているイーグルアイという言葉は、俯瞰で見れる力のこと。
俯瞰とはまるで鳥が上から見ているような視野を持っている力のこと。
テレビやスタジアムでサッカーを観戦されている方は、基本的には俯瞰で見ているので、ピッチ全体を見渡せる。
やっている選手はどうかというと、360度の視野はなく、平面で見ている。
刻一刻と状況が変化するサッカーを平面で見ているので、どうしても見えない状況がうまれてしまう。
そこで必要となってくるのが、俯瞰の目。
実際に上から見れる力、というわけではなく周辺視野を確保する力だったり、周りをみれる力。
中村憲剛選手は、俯瞰で見るために動くボールをピタッと止める技術が必要と言っている。
ボールを見る時間を減らせれば、周りを見る時間を増やせるとのこと。
風間八宏監督も映像記憶能力(一瞬映し出された映像をどこまで鮮明にキャッチできるか)が優れていたという。
アオアシ24巻ではそんなイーグルアイを持つアシトと北野蓮の対決が描かれている。
劣勢だったエスペリオンユースであるが、アシトのイーグルアイによりボール奪取にことごとく成功する。
カオスな状況で先を読む力を持つアシトが活躍するのだ。
しかし、その状況で世界レベルの北野蓮が牙をむく。
同じイーグルアイを使う選手だが、アシトはサイドの選手。
北野蓮は中央の選手。
より広範囲に影響を及ぼすことができるのは中央のポジション。
アシトのヨミが、北野蓮がボールを持つことによりことごとく外れてしまう。
25巻以降、次の展開は・・
「俯瞰の目を持つものとして理想のプレイスタイル」
「中央で、ボランチで、ピッチ上の22人の中で最上位の技術力で、フィールドにたつ。」
「俯瞰の目を持って、時間を操り、カオスをコントロールする。北野蓮。この状況下はこいつの独壇場だ!」
と、ある通り、俯瞰の目の力を最大限活かすのは中央のポジション。
俯瞰対決で劣勢を強いられ、それがチームの優劣にも反映されていた前半。
24巻は前半が終了したタイミングで終わりとなる。
鍵は偽サイドバック
近年、偽サイドバックやカンセロロールと呼ばれる、サイドバックの変則ポジションを採用する戦術がある。
主に、グラルディオラが採用する戦術だが、相手のプレスを回避するために、サイドバックを中央に配置させて相手のプレスを回避する。
詳しくは、こちらの本にグラルディオラ本人が解説している。
個人的な予想として、25巻以降はアシトが中央のポジションに配置される戦術を用いてくることが予想される。
ユースからエスペリオンに加入したアシトは、たびたび技術不足を槍玉にあげられる。
24巻ラストではチームメイトでCBである阿久津とアシトの絡みが描かれていることから、この2人の関係性で何かが起こることが予想される。
次巻以降でアシトのポジションが変わることに期待したい!
読めばサッカーが上手くなる!!
ストーミング、ポジショナルプレイと戦術用語が出てくるが、実際に選手や指導者が意識したいことは、サッカーにはバランスがあるということ。
時間帯で、
・相手がやりたいことをやっている時間帯
・相手がこちらのやりたいことを潰している時間帯
・こちらがやりたいことをやっている時間帯
・こちらが相手のやりたいことを潰している時間帯
この時々の時間帯や瞬間において選択すべきプレーが変わってくる。
例えば、相手の圧力が強いのに繋ごうとしてボールを奪われ、カウンターを食らってしまった。
反対に、相手の圧力が強くないにも関わらず、ボールをクリアしてしまい相手に渡してしまった。
時間帯や局面に応じてプレイを選択できる力や選択肢はサッカー選手に必要な力。
サッカーの試合を見るときは、そんな【流れ】も意識して観戦したい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?