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  夢 の 夢

「ねえ… 昨日、見た夢は何色だった」と彼女が言った。
「えっ、夢の色ってなんのこと」と、僕は彼女に聞き返した。
「貴方だって夢は見るでしょう。夢の中で見た色彩とか、色のことを言っているのよ…」

 夢の中の色彩って、なんのことだろう? 僕は、やれやれ…また、いきなり訳の分からないことを言い出し始めたと思った。
 仕方がないので最近、見た夢の中を頭の中で思い起こして見た。

「最近、見た夢の色は、たしかモノトーンかセピア色だったかなと?」
彼女に答えると。
 彼女は「貴方の見る夢って、モノトーンかセピア色なの? 何か、寂しい夢を見ているのねと…」笑った。

 僕は、少しカチンときて 「だったら君が見た夢の中の色彩って、何色だったの?」と、聞き返した。

 彼女は「そうね。私の見た夢は金色の色だったと」言った。
 僕は、こころの中で金色の夢なんか見る訳がないだろうと。こころの中で舌を出して笑ってやった。
だけど頭から否定するのも可哀想だから、例を出して話しを合わせてあげた。
「金色の夢って、たとえば京都の三十三間堂の黄金に輝く千体の阿弥陀如来や奥州平泉の金色堂の様なもの?」かと、彼女に聞いた。
 
 彼女は笑って「まあ、そんな様なものだけど。それはねえ…夢の中で夢を見ている感じなのと」と言った。
 「じゃあ、君は夢の中で夢を見たんだねえ…それは、夢の夢だね」と僕は言った。

   

 「随分前に良く聴いた、ジョン・レノンのアルバムで『こころの壁・愛の橋』の中に入っている曲。『#9Dream』 日本では『夢の夢』って言う曲があって僕は、その曲が好きで良く聴いたよ」と、彼女に言った。 
 
彼女は、その曲を聴いて見たいといった。   (フィクションです)
     

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