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2019年に読んで良かった本

2019年は、「マネジメント」「人としての成長」に悩んだ年だった。

順調に伸びていた広告事業から、3年ぶりくらいにメディア事業に戻った。

正直、今までのように「結果」を出せずに悩んだ。

スタートアップの人間として、悔しいし、情けない1年だった。

経験だけでなく、マネジメントなどの知識やスキルが足りないと自覚し、ここ数年で一番、いろんな人に相談したり、書籍を読んだ年だった。

中でも、良かった7冊を紹介。おかげで、思考はめちゃくちゃクリアになったし、2020年のチャレンジには、自信がある。

宇宙兄弟 「完璧なリーダー」は、もういらない。

会社として、「マネージャー不足」が経営課題と認識し、長尾さんに、マネジメントに関するワークショップ、コーチングにお手伝い頂いた。

長尾さんとのセッションはいつも学びが多かった。マネージャーとしてのイロハよりも、「君は誰で、どうなりたいの?」「組織とかチームってそもそも何だと思う?」という本質的な問いかけが刺さった。

日々の業務で、一番大切なことを忘れていたし休日のまとまった時間でこういったことを考える時間は非常に大事だと再認識した。

惰性で飲むお酒は徹底的に減らして、自分自身、チームのことを考える時間を意識的に増やした。

チームとは個人の集合体であり、生き物である。陥りやすい傾向や、段階的に訪れるフェーズが存在し、リーダー、マネージャーとして考えなければならない解決策やアプローチを具体的にイメージすることができた。

完璧なリーダーは、もういらない。」タイトルにもあるようにこの前提が非常に大事だと思う。新著「今いる仲間でうまくいく チームの話」も勉強になった。

苦しかったときの話をしようか

この本が発売された4月は特にしんどかった。これまでの広告事業部の業務もやりながら、少しずつメディア事業へ移行しなければならなかった。

肉体はそのまま、頭の中は前に。こういうときが一番キツイ。

そんな時に、マーケターの父から就活生の娘へのアドバイスを記したこの本が心を軽くしてくれた。人として、社会人として、マーケターとして、リーダーとして、プロフェッショナルとして。多角的な視点で、愛のある本質的なアドバイスに、読みながら泣いた。

現実を見極め、正しい選択をすることで、人は目的に近づくことができる。そのために重要なのは、さまざまな現実を生み出している〝構造〟を明らかにすることだ。
問題の本質は、君が世界のことをまだよく知らないことではなく、君が自分自身のことをよく知らないことだと気づけば、解決への扉が開くだろう。問題の本質は外ではなく、君の内側にあるのだ。
戦略とは資源配分の選択のことだから、どのような資源を持っているかによって取りうる戦略はものすごく可変するのだ
確信を持って言えることは、土壇場において、あるいは人生において、「伝え方が9割」ではなく、「内容が10割」だということだ
コミュニケーションはマーケティングそのものだと思う。結局は、誰に伝えるのか(WHO)→何を伝えるのか(WHAT)→どう伝えるのか(HOW)の順番で考えるのが正しい。
会社が給料を払っている対象は、君の強みに対してであり、君が弱みを克服する努力ではない。年収を上げたいなら強みを伸ばさなくてはならない。
私を衝き動かす最大の「欲」は、知的好奇心を満たすことなのだ。新しい戦略を自分の頭からひねり出し、世の中に放り投げてみて、世界がどう変わるのか?それを見届ける息をのむような瞬間に、持てるすべての情熱を注ぎ込みたい!私はその興奮を味わうために生まれてきたのではないかとも思えるのだ。
人生とは、まだ知らない面白いことを求めて、自分の世界を拡げていく旅のようなものだと思う。

岩田さん: 岩田聡はこんなことを話していた。

元・任天堂社長の岩田さんの功績と彼の人柄は、間違いなく日本を代表する経営者の中で指折りである。彼の、「人間性」や「会社とは?」「働くこと」にフォーカスしたこの書籍に強く影響を受けた。

2015年、岩田さんが亡くなった時に、世界中のメディアや経営者が彼の死を惜しみ、悲しんでいた理由がよくわかった。

経営者とは、リーダーであり、父であり、親友でなくてはならない。
結果だけでなく、人と人として付き合うこと、向き合うことの大切さを教えてくれた。

読みながら、岩田さん、糸井さんの「愛」をたくさん感じた。

 物事って、やったほうがいいことのほうが、実際にやれることより絶対多いんですよ。だから、やったほうがいいことを全部やると、みんな倒れちゃうんです。ですから、自分たちはなにが得意なんだっけ、ということを自覚したうえで、「なには、なにより優先なのか」をはっきりさせること。順番をつけること。それが経営だとわたしは思います。
「いまよいとされているやり方は、ほんとうにただしいのか」ということを、わたしだけでなく会社中の人が疑ってかかって、変わっていく周囲の物事に敏感であるように仕向けていかないといけない、と考えています。
世の中のありとあらゆる改革は現状否定から入ってしまいがちですが、そうするとすごくアンハッピーになる人もたくさんいると思うんです。だって現状をつくりあげるために、たくさんの人が善意と誠実な熱意でやってきたわけでしょう? 不誠実なものについて現状否定をするのはいいと思うんですけど、誠実にやってきたアウトプットに対して現状否定をすることは、やってはいけないと思うんです。
 けっきょく、自分たちのミッションは、「いい意味で人を驚かすことだ」ということが、すごくはっきりしたんです。「人を驚かす」ということができなければ、新しいお客さんの数は増えないんです。
仕事はやっぱりたいへんだし、嫌なことはいっぱいあります。きっと、我慢もしなきゃいけません。ですけど、おそらく、その人にとって「仕事がおもしろいかどうか」というのは、「自分がなにをたのしめるか」という枠の広さによってすごく左右されると思うんです。考えようによっては、仕事って、おもしろくないことだらけなんですけど、おもしろさを見つけることのおもしろさに目覚めると、ほとんどなんでもおもしろいんです。この分かれ道はとても大きいと思います。
 わたしの経験からいうと、あるプロジェクトがうまくいくときって、理想的なリーダーがすべて先を読んできれいに作業を割り振って分担して、その通りにやったらできました、という感じのときではないですね。とくに、わたしたちの仕事は、人を驚かせたり感動させたりすることですから、事前に理詰めで計画を立てて作業を分担させることが難しい、というのもあるんですが。
 どういうときに企画がうまくいくかというと、最初の計画では決まってなかったことを、「これ、ぼくがやっておきましょうか?」というような感じで誰かが処理してくれるとき。そういう人がたくさん現れるプロジェクトは、だいたいうまくいくんです。逆にそういう現象が起きないときは、たとえ完成したとしても、どこかに不協和音のようなものがあって、あんまりよくないんですよね。
 働くことって、ひとりじゃできないじゃないですか。かならず、誰かとつながりますよね。会社というのは、ひとりではできないような大きな目的を達成するために、いろんな個性が集まって力を合わせていく仕組みとしてできたものです。
 もしも、経営者がなんでもできるんだったら、ひとりで全部やればいいんです。自分がいちばん確実で、自分がいちばん当事者意識があって、自分がいちばん目的を知ってるんですから、自分ですべてできるなら自分でやればいいんですけど、そんなことをしていたら、ひとりの時間とエネルギーの限界ですべてが決まってしまうんですよ。
やっぱり、社長が「こうしたいんだ」って
一度言っただけでは全員が腹に落ちるわけではないです。
何回も何回もくり返し言われ、
そのなかで、あるとき、言っていたことのなにかが現実になって
「ああ、そういうことか」となって、
ひとり腑に落ち、ふたり腹に落ち、という感じで、
「任天堂はここを目指していて、だからいまこう動くんだ」
ということが全員に浸透していって、
自分たちの目指す近未来のイメージが
共有できるところまで来たのかなと思います。
ですから、まあ、きっと同じことを
しつこく言い続けてきたということにつきるのかもしれません。
わたしは思うんですけど、
考えてもしょうがないことに
悩むんですよ、人って。
悩んで解決するなら
悩めばいいんですけど、
悩んでも解決しないし、
悩んでも得るものがないものを、
人間って、考えてしまうんですよね。
本気で怒る人にも、
本気でよろこぶ人にも出会えるのが、
働くことのおもしろさじゃないですかね。

具体と抽象: 世界が変わって見える知性のしくみ

社名変更(2019年8月1日に株式会社TABILABO→NEW STANDARD株式会社へ)もあったせいか、夏から秋にかけて、同じ会社なのに、みんなが違う方向を向いていると感じることが多かった。

そんな時、2018年に話題になったこの本をもう一回引っ張り出してきて振り返った。

書籍の中で細谷さんが言うように「抽象」「具体」どちらかでもだめで、具体と抽象は常にセットで全体を見て、連携させ計画と実行のバランスを取ることが大事だと思う。

非連続な成長を目指すスタートアップにとってこの本は「バイブル」だし、経営者、マネジメント層が読むのと同じくらい、メンバーに定期的に目を通してもらうことに価値があると思う。

成長マインドセット: 心のブレーキの外し方

親友である、Newspicksの小西悠介に教えてもらったこの本も「具体と抽象」を同じようにチームのメンバー(特に若手)と一緒に読んでめちゃくちゃ良かった書籍。

転職や就職。会社選びや仕事選びに、「成長」を口にする人はたくさんいるけれど
そもそも「どうしたら成長できるのか?」「成長できる人の共通点はなにか?」
を4年でガリバーを上場させた吉田さんが物語形式で教えてくれる。

そもそも成長できない人の多くが、置かれている環境ではなく、自分自身のマインドセットに問題があり(本書ではそれを「ブレーキ」とよんでいる)それをどのように解決するか、どう継続的にそのマインドセットをキープするのか。を構造的に、具体的に書いてある。

ブレーキの存在を知る
ブレーキを踏まないことを期間限定で決める
知っているとできるは違う
結果は選択できないが、行動は選択できる。
「人生我以外皆師なり」

書籍の見出しをみるだけでもうなずける。

これも具体と抽象と同じく、メンバーと一緒に読むといい。

GRIT 平凡でも一流になれる「やり抜く力」

どんな男になんねん 関西学院大アメリカンフットボール部 鳥内流「人の育て方」

今年は、東京に戻ってきた秀さんにお世話になった年だった。

秀さんには、一緒に仕事をするだけでなく、マネジメントに関する相談もたくさんさせてもらった。17年間の博報堂生活でのこと、AOSHIMA BEACH PARKでのこと、これまでに(現在も)一緒に働いている経営者、素晴らしい組織のこと。今の時代において、会社のこと、僕のことを考えて頂いたアドバイスのひとつひとうが本当に参考になりました。

秀さんがFacebookで記している、「頼まれごとは、試されごと」という言葉はこの1年、秀さんとの仕事を通じてとても学ばせていただいたことだと思います。

そんな秀さんもオススメしているのがこの本。

関西学院のアメフト部は超強豪で、甲子園ボウル優勝11回。

選手の自主性を引き出し、考えさせ、勝ち続ける。人間形成を念頭に、勝ち続ける鳥内監督の初の著書。2019年シーズンを最後に退任を決めた鳥内監督のエッセンスが詰まっている。

学生にとにかく考えさせる。自主性を引き出すためのコミュニケーション。がめちゃくちゃ参考になった。

1回だけ結果を出すだけならば、主体性を奪って押し切ることができるかもしれない。でも結果を出し続けるには、結果を出し続けるための仕組みと、現場で実際に動くメンバーの主体性と、魅力のある組織であることが大事でこの本に書かれていることは学生スポーツの枠に留まらずに、ビジネスでも大事なことだと思った。

「スポーツの楽しさって、どこにあると思う? 勝つために考えることやで。」
「ライバルに勝つためには、戦術研究だけではあかんよ。人間を研究せな。」
「現場でシナリオをいじりながら、新しいストーリーをつくるのがコーチやね。」
「自分だけうまくなっても、チームは勝てへんよ。」
「最初に失敗する学生はおもろいね。」
「お前、変わったなあ」こそ、最高の褒め言葉や。
「ハイ」って返事には騙されたらあかんで。

最後にこの本のタイトルにもなっている。この口癖。

「どんな男になんねん」

結果を出し続けるためには、主体性(イニシアチブ)、一貫したブレない姿勢とビジョン、そこにたどり着くまでの思考錯誤が大事。というリーダーとしての哲学が一言に詰まっている。

本を読み終えたときに、人の心を動かすのは改めて言葉だし、リーダーの口癖が会社(チーム)のカルチャーと結果を作っていくんだと感じた。

7冊の書籍を読んで(まとめ)

・結果を出し続けるチームには、リーダーとメンバーに良い習慣がある
・メンバーの主体性を引き出すにはマネージャーとリーダーにスキルが必要
・ビジネスマン(スポーツマン)であるまえに、まず人である
・人生(生き様/生き方)設計を考えることは大切である
・組織(チーム)は個人の集合体。生き物であり、変化する
・リーダー、メンバー意識すべき課題を分けて考える
・正しい打ち手をうつにはまず陥りやすい課題を認識することが大切
・盲目的にならないために、構造への理解、構造への意識を習慣にする
・構造を意識して打ち手を打つだけでなく、感情面に寄り添う。
・マネジメントにおいて重要なのは対話。対話において直接だけでなく、第三者を活用した間接コミュニケーションの手段をもっておくこと(マネージャーはコーチを活用する)
・人の上に立つ人間はシナリオライターでありストーリーテラである
・言葉が、人を動かし、人を作る。

来年は、結果をだします。

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