AYA世代のキャンサーサバイバーとして言いたいこと~私の場合~

今から4年前の4月半ば,私は25歳でがん宣告をされた。日本では2人に1人が生涯でがんになる時代とは随分前から聞いたことがあるし,”もしかしたら将来的年老いたときにがんで死ぬかもしれないな”と漠然と予想はしたことはあったけど,まさか自分がこんな早くがんになることなんて想像していなかった。ただ,実際には私のように比較的若年層のがん患者も結構多くいて,年間約2万人が宣告されているらしい。そういった方のことをAYA世代と呼ぶ。そして今年は3/5(土)~本日3/13(日)まで”AYA Week 2022”と題して日本全国やオンライン上で様々なイベントが行われている。今日はこのイベントに合わせて実際にAYA世代として数年間生きていて思ったことをつらつらと書いていきたい。

まず,そもそも”AYA世代って何?”って方もいると思うので簡単に説明しておこう。日本では15~39歳でがんに罹患した若い世代のことをAdolescent and Young Adultの頭文字を取ってAYA世代と呼ぶ。人によってはちょうど学生から社会人になり,仕事や結婚,出産など人生で1番選択を迫られる時期だろう。しかしながらそんなときにがんが見つかったらキャリアプランやライフプランが大きく変わってしまう。実際に私も大きく変わってある意味ではセカンドライフみたいなものを短期間で考えさせられた。

まず仕事については大きく変わっていない。4年前に大腸がんの手術をしたときは4か月ほど休職したし,今回は今月末まで休職予定。他にも抗がん剤治療の影響で体調が芳しくない時期もあったりと休みまくっているが,病気になった後でもありがたいことに正社員でフルタイム勤務させて頂いている。それどころかシフトは平日10~19時固定で残業は基本免除。突発欠勤や早退も許してもらっている始末だ。もちろん制度や体調の観点から優遇されている部分もあるが,私はそれ以外の面で病人扱いをされるのを嫌っているので半期ごとの目標も後輩や同僚と同じレベル。ただ,元々総合職で入社していたので全国転勤の辞令が出たら従わざるを得なかった。ただそれだと治療が出来なくなるのでこないだ自ら地方限定職に変更の申請をして承認された。これで給料は2割ほど減になったが,実家暮らしであれば何とかなるレベルの収入は余裕である。本当は1人暮らしがしたいのだが,抗がん剤治療をすると3~4日は日中は寝ているといった日々が続くので身の回りのことが出来ないので現状は諦めムード……。

次に変わったことは身体。顕著なのはお腹が弱くなって回数が増えた。それから3週間ほど前に卵巣を全摘出したので,子供が産めなくなった。これに関しては4年前,補助化学療法としての抗がん剤治療をする前に卵子を保存するか問われたことがある。ただそのときは人生の伴侶になってくれそうな素敵な紳士はいなかったし,通院している病院では出来ないとのことだったので丁重に断った。でも本音を言えば女性にとっては重い内容を短期間に決めなきゃいけない状況に立たされて冷静に考えれずにひとまず逃げたと言った方が良い。後悔はしていないが,自ら出産の可能性を0にしなくても良かったかもしれないとは思ったりする。そして見た目も変わった。抗がん剤の副作用で肌に赤い発疹が出たり荒れたりする。なので1年中長袖を着ている。髪も一時期抜けた。今は生えてきたが羊の化身かというほどの癖毛でくるんくるん。元々美容師さんが絶賛するほどの黒髪ストレートのショートカットだったのでこれにはかなりショックと恥ずかしさを受けて未だに受け入れられていない。だから人前ではキャスケットを被っている。初対面の人と会うときはちゃんと脱いだ方が良いとは知っているんだけど,会って数分で事情を話して相手に気を遣わせるのも違う気がして話せずに気まずいまま過ごしたことも多い。本当にごめんなさい<m(__)m>

長くなったけど先に挙げたように私はがんになって諦めたことや重大な選択を迫られたことも多い。確かに急にがんを宣告されたし,いつまで続くか分からない治療に悩んだり,周りが結婚や出産をして幸せそうにしているのを見るのが何となく辛いときもある。AYA世代ということもあってがんについて気軽に話や相談が出来る人が身近にそれほど多くない。医療費の控除や介護保険の制度や検診自体も対象年齢じゃないのでそこまで整っていない。でもマイナスなことばかりじゃない。ちょっとずつ当事者やその周りの人間が声を出して良い方へ変わっていっている。優しい人もいっぱいいる。がん患者でも生きているのが楽しくなる。だって私がそうだからね! もしAYA世代でこの記事を読んでくれた人がいたら交流を深めたりしたいし,質問がある方なら私が答えられることなら精一杯答えるつもりでもいる。そうやって少しずつAYA世代やがんのことを知ってもらうのも必要だと個人的には思うし。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?