見出し画像

清田と言います

広い部屋、あるいは教室の床に四つんばいにしゃがんで、雑巾を手にひたすら掃除をしている。それがなぜ自分で、しかも一人で床ふきなのか?である。しばしうつむいて掃除を続けていると、近くで 「清田さん」 と人を呼ぶ声がする。自分は清田じゃないし、廻りを見渡しても、他に人はいない。気のせいだろうと掃除に戻る。しばらくして・・・するとまた 「清田さん」 「清田さん」 と今度は 2度 声をかけられる。すごく近い、エッ!と顔を上げると、いつのまにか一人の男が、自分と同じ格好で床ふきをしているではないか。顔を覗くと一見若くて20代しかし髪は白く50代、いわゆる年齢不詳という部類だ。目が合うとお辞儀をしてきたので、「先ほどから『清田さん』と声をかけてきたのは、あなた?」 「ハイ」 さらに「あのう、誰、アルバイトの人だっけ?新人・・・」男は少しニコリと笑みを浮かべ、なぜか 「清田と言います」と答えた。ふう~ん、だけど知らないこちらを 「清田さん」と呼びながら、男本人が清田だったとは 変 だよな。まあ、ある意味世渡りが上手いというか、名前を強く印象づけようとして、そういうふうに呼んだのだろうな。と妙に納得している自分も、簡単な人間だ。
・・・そこで眠りから目覚める。はて、それにしても清田という名前の知り合いはいないし、スッキリしない。夢とはいえ、しばらくの間、リアルな光景と清田が鮮明に蘇ってくるのが不気味であった。   疲れているなあ・・・

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?