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やらない偽善

募金の前を苦笑いで通り過ぎるたび、嫌な大人になったなと思う。
小学校で募られたユニセフ募金に、1ヶ月のお小遣いである500円をそのまま突っ込みホクホクしていたわたしはもういない。

100円で救える命があるらしい。ユニセフのコピーは素晴らしく、いつも「ほお、そうなんか」となる。
1300円のランチを少し高いと思いながら、それでも食べられる自分に嫌気がさす。

少し思う、救う立場になれるんじゃないかと。でも、たぶん違う。格差問題があるのはきっともっともっと大きな原因のせいで、それはわたしたち平民には見えもしないような世界で、少しでも手を貸せばそんな世界を敵視しなければならなくなる。
立ち向かうこともできないのに、これ以上世界に不信感を覚えたくない。手を貸し、敵を認識し、倒すために立ち上がるほどの正義感もない。
でも世界から戦争がなくなればいいのに、とは思う。
宇宙エレベーターよりは非現実である。

就活に背後から付け狙われている、1年後の自分すら見失いかけていているのに、とぐちぐち言っていると、1日後すら危うい人がいるんだよーと私の中の平和大臣が語りかける。黙っておけ。そんな話は今してねぇんだ。

今日も自分に言い聞かせる、「募金しなくても君はいい子だよ」
あーやだやだ、善も偽善も押し付けがましいね。

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