見出し画像

十角形の館 おぉ

「十角館の殺人」/綾辻行人 を読んだ!今更!?

ミステリー小説が好きな理由が、ふんだんに詰め込まれていてニヤニヤしてしまった。
昨今のいわゆるミステリーには"どんでん返し!!"とか"怒涛の伏線回収!!"などの文言が常套句として使われるが、いちいちこれに憤慨している。当たり前だからである。
ミステリーたるもの、張り巡らした伏線をラストで全て一箇所に集め、読者を圧倒するような結末が用意されているべきだ。
ふん、と思いながら、伏線回収が結局は好きなので帯に目を瞑って読むこともしばしば……

おばあちゃん家から歩いて3分、何の変哲もない喫茶店(灰皿が緑でもちもちなのが少し変)でこれを読んでいた。店内には典型的な「関西のおばちゃん」がおり、ずっと何かへの不満をべしゃりべしゃりしていた。
ぷかぷかと紫煙を漂わせながら人が殺される文章を読み、隙あらばアイスココアを啜る。土曜日の午後として、おそらく最適を弾き出してしまった。

おばちゃん という生き物はすごい。加えて関西のおばちゃんは声がでかい。みんなに聞いてほしいのか??と勘繰るほど大きな声で話す、自分に流れるこちらの血を感じたりした。

お母さんに読了を報告した。あの一文を、丸々覚えていた。すごい。
わたしの母は記憶力が絶望的で、一度読んだミステリー小説を新鮮に楽しめる。犯人も動機も何一つ忘れ、全てが明らかになる瞬間 (あ、読んだことある)となるんだとか。悲しい。
そんな母が、覚えているんだ。そりゃ面白いに決まっている。ちなみに兄は全てがひっくり返るその一文を華麗にスルーしたらしい。すごい。

わたしがミステリー好きになった元凶は、夢水清志郎である。あいつはわたしの初恋に近くて、五条悟と似ている。全ての知能が抜きん出ていて、どうしようもなくて、生命力が高く、やけに保護者面をしていた。あぁ、レーチは元気だろうか、格変化の三姉妹は仲良くしてるだろうか、怪盗クイーン……まぁあいつはきっと生きてる。

東京にはあんまり帰りたくないな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?