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リワークという場所(2)

リワークのお話の続編です。1話目はこちら

ここでの生活は、当初の目標は普通の社会人の基本的な生活、すなわち、1週間で、8時間・5日出所の生活ができること、をまず目指します。
私などは比較的浅い症状だったので(もっと言えば「うつ状態」であって、疾病のある状態ではなかったので)週3出所くらいからスタートして、1ヶ月後くらいには、フル出社状態になっていました。

しかし、通所している方の中には、もともと精神疾病のある方や、障害のある方もおり、1年近く通所してもその状態になれない、という方もいます。

ただ、障害者施設ではなく、あくまでリワーク=復職支援なので、どういう病気であれ、とりあえずは、一定の基準で仕事ができる状態になることが求められます(もっとも、そこは、それぞれの会社の事情などもあるので、フレキシブルに対応はできるわけですが)

そういうのができるようになると、私のいたところでは、集団での生活に近いことを行っていました。
AM、教室のようなところに入り、その日のプログラムをこなします。内容は日によって違うのですが、グループミーティングで、個人の悩みを提案してみんなで議論してみたり、お題を設定してそれについて語ってみたり、というようなことが多かったです。
PMからは、少し進んで仕事を念頭においた作業であったり、ロールプレイなどをやったりしていました。たとえば「嫌な上司にプレッシャーをかけられたときにどう交わすか」と言ったお題を設定し、嫌な上司役を演じてみたり、あえて嫌味を言われる側をやってみたりとか。
他にも認知療法を応用した議論や、ソーシャルスキルトレーニング(SST)というのがあり、これは病気やリワーク関係なく使えるトレーニングだなぁと思ったのを覚えています。

その時の同じリワークで知り合った仲間と、10年経った今でも、会社や業種の垣根を超えて食事などをすることがあるのですが、そういうときの話のネタになったりもしますね。
「あの店員さん、今目があったから、俺に気があるんやで」「「認知の歪み」やそれは」とか。

リワークというと、休職の人がいくところというイメージもあり、通常の心療内科の受診以上にハードルが高いかも知れませんが、少し心が疲れた・・とか、むしろ、普通に仕事をしていても「この心の辛さはなんなのか?」と感じる人でも、参加すると、新たに発見があるのではないかと感じることもあります。

健康な人には無縁かも知れないけれど、企業のメンタルサポートや(私も持っていますが)メンタルヘルスの資格持ちの方なども、企業でメンタルが落ちる人が増える前に導入してもいいシステムなんじゃないかと感じるような、そんな出来でした。

自分の経験では、そういう訓練を繰り返したおかげで、1年前には話しかけられても返事もできないくらいの重い症状の人が、徐々に明るくなり、最後に冗談を言って周りを笑い飛ばすような、そんな存在になる、という例を見かけました。やり方によっては、救われる人がいる訓練なのは、間違いないと思っています(続く)

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