市民シンポジウム~中央公園「こどものひろば」の実践から

市民シンポジウム
「冒険遊び場・プレーパークって?」
中央公園「こどものひろば」の実践からこどもの遊び場を考える

《REPORT》
都市化の進展で、原っぱ、空き地といった様々な遊び場が減少しています。子どもの健やかな成長にとって遊び場は重要な要素であることから、子どもが自然に触れながら、自由に遊びを創造できる場を提供するため、平成22年11月27日(土)、28(日) に中央公園で「こどものひろば」(冒険遊び場)を開設しました。両日とも、たくさんの親子の来場があり、感想をお聞きしたアンケートでは、「今後、何度も開設してほしい」、「自分の家の近くではできないか」など、皆さんから大変好評のご回答をいただきました。 そこで中央公園「こどものひろば」での子どもたちの様子をふり返り、子どもの成長にどのような遊び場、遊び方が必要なのかを話し合うためにシンポジウムを開催しました。
第1部の基調講演では、広島大学の岡花先生が、プレーパークの考え方や昨年行った「こどもひろば」の実践結果を解説され、分かりやすく問題点を整理してくださいました。それを受け第2部のシンポジウムでは、シンポジストだけでなく、会場に来られた方々の意見を交えて深く熱い議論が発展しました。
その中でも、この活動を受けプレーリーダーになりたい、また地元基町地区の方から中央公園を本当にこどもが遊べる場にしたいので活動に関わりたいという声がでたことは、予想以上にすごいことだと感じました。
参加者はそれほど多くはありませんでしたが、 こどものあそびについて真剣に考える積極的な人が集まったように思えます。また、プレイリーダーをはじめとするスタッフとして参加したいという意見が多かったことも注目に値します。

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【第2部シンポジウムの要約】
《六百田さん》 
集団ができていた。親と子の集団では、親がこどもに遊びを与えてしまっていた。こどもの集団では、思わぬ方向に遊びが発展していった。自由な遊びを「見守る」・「待つ」意識を大人が持つことが大事。
《正本さん》  
公園の管理者・利用者、それぞれの相互理解がいる。公園での自己責任ゾーンの周知が大事。遊びの自由度・レベルの設定を考える。公園内に「プレーパーク」専用の空間を考えてみては…。
《稲垣さん》  
リスクについて二点。その一。大人が遊びに手を出すと、こどもの遊びの難易度が高まって大きなケガをする危険性も高まる。かえって、こどもだけで遊ぶほうが少ないケガですむ。こどもができる範囲のことまでしかしないため、遊びの難易度がむやみに高くならない。その二。まだこどもが遊んでいるのに、片付けに大人が集中して、こどもから目が離れた。大人のイメージにこどもの遊びを誘導する。遊びを「ゆがめる」
《徳弘さん》  
中央公園が活用されていない。また、PRがよくない。
《佛圓さん》  
基町は一見、環境に恵まれているように見えるが、こどもの遊び場となる場所がない。冒険遊び場のあと、遊びをこどもたちがつくった。(ダンボールすべり)また、こどもたちがつくった遊びに大人たちが干渉しなかったのがよかった。屋上公園の再生・高齢者とこどもたちの交流ができないか。地元、カンナクラブがこどもたちの遊びの場づくりのために活動を立ち上げようとしている。
《山本さん》  
こどもたちが本当にうれしそうだった。次の機会が遠のくとこどもたちがもう成長してしまう。遊び場の必要性をかんじた。遊び場で他地区のこどもたちとの交流があった。
《岡花さんコメント》  
今回の取り組みは良かった。では、どうやって常設化し運営・管理していくのか?
《稲垣さん》  
最初から、完璧なものを用意しようとすると、こどもたちが大人になってしまう。問題に順次、対処しながらプレイパークをつくっていくのが良い。
《六百田さん》 
ちょっとずつ取り組んでいく。
《正本さん》  
プレイパークに参加したこどもたちの親を巻き込むためにも、プレイパーク当日に座談会のような形をとるのが良い。
《徳弘さん》  
取り組みを継続してほしい。くりかえすが、PRが問題。
《広島市こども未来局》  
行政だけではできない。行政・地元がそれぞれ役割を果たしていく。地元の理解・協力を得られるよう活動したい。定着させたい。
《来場者の方(児童館勤務)》
こどもの放課後・遊ぶ力が先細りしている。こどもが主体的に遊べるような、プレイリーダーの育成が大事。
《来場者の方(幼稚舎の方)》   
30年ほどまえからこどもが遊べなくなる怖さを感じてきた。こどものなかでたてのつながりがなくなり、上の子から下の子が学べなくなった。クレームがあり、おおらかに対処していかないと、こどものあそびのための活動も先細りする。大人の意識を変えるのは大変で、活動を継続することが重要。
《安佐北のプレイパークの方》  
職業としてのプレイリーダーを育成する必要があるが、財政的にきびしい。13年つづけてきたのでノウハウを持っている。連携していきたい。
《来場者の方》 
子どものいろんな活動に関する行政の許可が出ない。この場の有志で連絡先を交換したほうが良い。
*要約者:近藤倫生

《データ》
■開催日時  平成23年2月13日(日) 午後1時30分~3時50分頃
■場  所  中央公民館ホール (4階)   
■参加者数  31名
■内  容  基調講演とシンポジウム
13:30
こども未来局局長、磯辺省三さん挨拶。
続いて地元基町地区を代表し、基町地区社会福祉協議会会長、徳弘親利さん挨拶。

《第1部》
基調講演「プレーパークって何だろう?~子どもにとっての遊び場を考える~」
講師 岡花 祈一郎(広島大学大学院教育学研究科附属幼年教育研究施設助手)
14:20
《第2部》シンポジウム「中央公園こどものひろばの実践をふまえて冒険遊び場を考える」
●シンポジスト
・徳弘 親利(基町地区社会福祉協議会会長)
・稲垣 直登(絵本店 麦わらぼうし 店主/こどもの文化 麦っ子村 代表/民間学童保育 びばーちぇ 代表)
・正本 大(ポップラ・ペアレンツ・クラブ/みずえ緑地(株)代表取締役社長)
・六百田 裕子(キッズアートワークセラピスト/NPO法人子ども未来研究所)
●コメンテーター:
・佛圓 弘修(基町小学校校長)
・山本 宏美(カンナクラブ)
●コーディネーター:岡花 祈一郎
■アンケートの実施:回答者20名

■主催:中央公園冒険遊び場づくり連絡協議会・広島市こども未来局
(広島市平成22年度冒険遊び場づくりモデル事業)

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