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オカルト女王・角友紀子◎本当にあった!? 〝裏ゴールデン街〟の謎

特殊な調合をした酒を飲むと迷い込む異世界

 私は歌舞伎町のバーで出会った男性と結婚したくらい、20代後半は歌舞伎町に入り浸っていた。十数年前、映画『不夜城』のシーンにも使われている「思い出の抜け道」にあるバーで夕方から飲んだあと、時間も早くて飲み足りないため、1人で西口の思い出横丁(通称、しょんべん横丁)に移動して、シーシャのあるバーに入ったことがある。隣に怪しげな外国人が座っていて、やたらと話しかけてきたのを覚えているのだが、そこで出された酒を飲んだ瞬間にかつてないほどの〝激酔い〟を体験したのだった。

 いつもは、酔い始めると視界がボヤけてきてそのうち天井がグルグル回り、最終的にゲロを吐くという、潰れるまでの〝流れ〟があるのだが、その時は一口で一気にブラックアウトしたのだった。その場に倒れ込み、数秒後に目を覚ますと隣の外人が笑いながら顔を覗き込んでいた。私は〝この世も人生も終わった……〟みたいな変な気分になりつつ、すぐにこの奇妙な店を出ようとした。

 ……のだが、酔いすぎて足が動かない。四つん這いになったり中腰になったりを繰り返しながら外に出て、気がついたらかつてあった「ヤマダ電気」前の横断歩道を四足歩行で歩いていた。そのままヤマダ電気に突入してトイレに駆け込み、激しく嘔吐。その後、便器を抱えたまま1~2時間寝てしまった。目が覚めるとまだ吐き気がムンムンしていたので、水が欲しいと思ったのだが、ドアを開けて外に出るだけの体力も気力ない……。だからと言って便器の水を飲むわけにもいかないため、そこで閃いたのがビデの水だった。 

 私は便器に顔を近づけてビデのボタンをそっと押した。すると、勢いよく新鮮な(?)水が放出されたのである。「神の水や~」と思いながらゴクゴクと飲み、飲んでは吐きを繰り返したのち、純粋に酔い覚ましの水として、そして顔を洗う水としても利用させていただいた。 

 新宿には2つの「思い出●●」という道があるが、本当に信じられないような思い出の製造ロードでもあるのだ。ちなみに、私が飲んだ酒は脱法ドラッグか何かはわからないが、何らかの混入物が盛られていたのではないかと考えている。以前TOCANAでも掲載したが、歌舞伎町のパブでは特殊なカクテルを盛られ、たった一杯で意識が朦朧となり、その隙にキャッシュカードの暗証番号を聞き出す昏睡強盗が流行したこともあるという。しかも、某半グレの化学班が、警察でも絶対に導き出せない、昏睡用の「アルコール黄金率」を発見してしまったらしく、薬物なしでも「ラム、紹興酒、ビール、ウオッカ」などを絶妙に調合させれば一口で誰もがブッ飛んでしまうらしい。 

 特殊な調合といえば、新宿ゴールデン街五番街のバー「カンガルー・コート・ディシジョン」で寝泊まりしながらバイトしている怪談師・インディ氏が書いた『新宿歌舞伎町の怖い話』(イースト・プレス)によると、ゴールデン街で酒を飲み、アルコールの血中濃度が〝ある特定の濃度〟になった瞬間に「裏ゴールデン街」に入り込むことが可能らしい。

 
 実際に行ったことがある人物によると、裏ゴールデン街に入った瞬間にいつもとは違う店の看板が立ち並ぶ道に出るそうだ。そこのスタンディングバーは大変居心地がよく、常に常連客で賑わっており、カウンターにはとてつもない美人ママがいるのだという。

 しかし、飲みすぎて血中濃度が狂うと店や人の気配がなくなり、気がつくと外でしゃがみこんでいたり電柱に手をついていたりして、あっという間に表のゴールデン街に引き戻されるらしい。今思えば、私のビデ事件も謎の調合率によって連れて行かれたパラレルワールドでの出来事だったのかもしれない……。

著者◎角由紀子
上智大学中退後、白夜書房、BABジャパンを経て株式会社サイゾーに入社し2013年に「TOCANA」を立ち上げる。「ケンコバの絶対に観ない方がいいテレビ」「超ムーの世界R」「すみっこオカルト研究所」「角由紀子の明日滅亡するラジオ」などに出演中。現在はフリーの立場で各メディアで活躍中で、YouTube「角由紀子のヤバイ帝国」も大好評!

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