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「カタギなのに反社扱いじゃ、まともに生きられない」……警察“半グレ潰し”のキナ臭い舞台裏(ジャーナリスト・安藤海南男)

蒸し返された
“1年前の乱闘”

某日、東京都新宿区歌舞伎町。じっとりとした暑さが夕暮れの街を浸食していた。たちあがる熱気を靴の裏に感じながら、私は約束の喫茶店にたどり着いた。薄暗い店内を見回していると、奥まった席から片手を挙げて合図する男の姿が視界に入る。

「久しぶり、どうなの景気は」

ベルベット張りの椅子に腰を下ろすなり、男は冗談めかして語りかけてきた。肩口までのびた髪はサイドを短く刈り上げている。ダメージ加工を施したタイトなジーンズにブランド製のスニーカー。胸元まではだけたシャツからのぞく胸板はたくましく盛り上がっている。仲間内で「ケンジ」と呼ばれる男とは2年ぶりの再会だった。

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