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【フォト・ドキュメント】パンクムーブメントの軌跡【第13回】

70年代後半から80年代初頭、カルト的人気を誇った2つのバンドが存在した。「ガセネタ」と「TACO」である。今では伝説と化しているが、この2つのバンドの発起人であり、フロントマンであった山崎春美とは一体何者なのか。地引雄一氏が語る——

山崎春美
「ガセネタ」と「TACO」

渋谷の山崎春美宅にて(1982年12月)



痙攣パフォーマンス



「僕が初めて『ガセネタ』を見たときは強烈な印象を受けた。浜野純の空間を切り裂くようなギターサウンドに合わせて、春美が現代詩のような歌詞をがなり声で朗読するんだよ。しかも身体を痙攣させながら。もう全然普通のロックのノリじゃないの」

 78年9月、新宿「ライヒ館モレノ」。東京ロッカーズの仲間内で行ったライブパーティーで初めてガセネタのライブを見た地引氏は、このいわゆる“痙攣パフォーマンス”に度肝を抜かされたという。

 唯一無二の表現者として、今なお伝説的に語られている山崎春美。彼はミュージシャンとしてだけでなく、ライターや編集者として活躍していたことでも知られている。

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