日々是暴食★トラウマめし【第17食】「冷麺」「ハンバーグ」盛岡で元祖の店を巡る食い倒れの旅
前回に引き続き、地元岩手のめしを。今回は盛岡編としたいのだが、上京したあとはそれほど行ってないので他県の旅行者さんとそんなに変わらない知識で写真もたいして無いので内容薄々です。勘弁してけろ。
よく「盛岡三大麺」と言って、わんこそば、冷麺、じゃやじゃ麺の３つが名物として知られている。このうち、わんこそばは完全に観光者向けなので県内在住者はまず食べない。私も一度も食べたことない。花巻でわんこそば大会がおこなわれた時に、そばを腕に移すバイトのようなことを中学生の時にしたことあるような…。
とにかく地元の人は食わないので、旅行に行かれた方は思い出作りとインスタのために行ってください。味は普通のそばだから美味しいはずです。
じゃじゃ麺は元祖の「白龍」さんに行かないといけない。強面俳優の白竜さんではない、白龍（パイロン）だ。と言いつつ、もう10年近く行ってないので写真はないが、盛岡市民にとってお馴染みの味なのは間違いない。うどんのようなモチモチした太麺に肉味噌とキュウリ、ネギがのっている。酢、ラー油、にんにくなどを好みで入れてぐちゃぐちゃに混ぜてかき込むと旨味が広がる。全然辛くはない。
少し麺を残して卵と茹で汁を入れ、ちいたんたんと呼ばれるものに味変して楽しむまでがじゃじゃ麺。最近のガチ中華とは違う日本人に合わせた昭和の中華料理って感じで、これはもう日本食でいいのだと思う。ここまで書いて写真がないです申し訳ながんす。ちなみに東京だと三軒茶屋に専門店があるらしいので岩手に行けない人は試すといいかもしれない。
さて冷麺である。私は冷麺が大好きだ。よく言及されることだが、岩手県民は冷麺をラーメンのように食べる。焼肉屋に行って焼肉を頼まず、冷麺だけ頼むのも全然OK（ただし昼が好ましい）。そういう文化だと思ってもらえればいい。
盛岡冷麺はコシが異常に強い麺が大きな特徴だ。悪く言えばゴムのような食感なのだが、あれが美味い。白龍さんは満洲の中国料理をヒントにじゃじゃ麺を作ったらしいが、冷麺は戦後に在日朝鮮人の方が現在の北朝鮮で食べていた冷麺をヒントに「食道園」で提供されたのが始まり。ただし、北朝鮮の黒い麺とはビジュアルも食感も全く違うことに留意されたい。独自に盛岡で進化した食べ物と思ってもらえればよい。
冷たい牛骨スープに浮かんだコシの強い麺をずるずると食せば幸せが広がる。途中でキムチを投入して味変するのも定番。なぜかスイカや梨が入っているのも盛岡冷麺の特徴。辛かったり酸っぱかったり甘かったり。途中で何度も味の変化が起こるのだが、不思議とマイナス方向へは進まず、複雑かつ芳醇、官能的ですらある旨味が押し寄せる。それが盛岡冷麺だ。
どこで食べればいいかは悩みどころだが、ぴょんぴょん舎、食道園、ヤマト、髭、盛楼閣あたりで食べればまず間違いないだろう。私は盛岡駅近くの盛楼閣で新幹線の時間がギリギリでも食べれるので、何度か利用させていただいている。
前出の人気店はもちろん、街の定食屋やデパートでも冷麺を提供していることが多く、子供の頃はあの本格的じゃない安っぽい感じが無性に好きだったりもした。東京であれば銀座にぴょんぴょん舎があるので、そこで食べてもらえればOKだ。気に入ったら盛岡に行って、他の店も試してほしい。
基本的に岩手県の食材は、山の幸も海の幸も一流なので大体美味いので、よほど変な店に入らなければ食で困ることはないはずだ。福田パン本店へ行ってみるか、小岩井農場へ行ってジンギスカンを食うのもいいだろう。
個人的にもう一つオススメしたい店がある。チェーン店の１号店を「聖地巡礼」と呼んでわざわざ訪れる好事家がいるが、盛岡にはハンバーグチェーン「びっくりドンキー」のルーツとなる店が存在する。店名は「ベル」だ。びくドンは約300店舗ある店の外装が全て違うことで知られるが、ベルは岩のようなゴツゴツとした外観。なるほど、これがびくドンの元ネタなのか。
1968年に13坪の小さなスペースで「ハンバーガーとサラダの店 べる」として創業。最初はハンバーガーだったのか。そして1972年に現在の場所でベルが開店。ハンバーグディッシュなど特徴的なメニューができたのはその後だそうだ。
さて、１号店といえばそこでしか食べれない特別メニューなどがあることもあるが、ベルは全く普通のびっくりドンキーメニューだ。この安定感、好きですよ。チーズバーグディッシュと、隠れた名品イカの方舟でビールをいただく。ここが創業の地だと思うと旨さも増す。
写真を見ていて思い出した。私は世界で１番のサラダはびくドンのシーハーハーサラダだったにに、なぜメニューから消えてしまったのだ？ 2020年当時は食べれていたんじゃないか。おお…。というわけで、ハンバーグチェーンで圧倒的推しなびくドンの１号店はこんな感じだ。もの好きな人がいたら一度行ってみてほしい。繁華街なのでキャバクラも歩いてすぐそばだ。楽しんでくれろやい。
岩手編 ＜了＞
【写真・文】バーガー菊池
岩手県出身。花巻東高校卒。 実話ナックルズ編集部在籍の編集者。不良からエロまで何でもやります精神の何でも屋。注射を打ちながら毎晩暴飲暴食を繰り返すハゲ巨漢。