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【2019年度第45問】行政書士試験の記述対策はどうすればいいの?

行政書士試験を受験される方へ


記述式試験が苦手ではありませんか?今回から何回かに分けて、行政書士である私が「記述式試験の解答を作成する道筋」を書きたいと思います。
過去問を使って考え方の道筋を少しずつ書いていきます。あくまで「考え方」であって「正しい知識の習得」ではありませんので、試験のあった年の条文に基づいています。法改正後の条文だと回答できなくなる可能性がありますので、どうかご了承ください。
過去問の問題文は著作権が絡んでくる可能性がありますので書いていません。行政書士の試験センターから見れると思いますので、そちらからダウンロードしてください。
前置きが長くなりましたが、2019年度の過去問から考えます。今回は問題45です。なんとなくでも解答を作れるイメージがわいてくれると嬉しいです。よろしくお願いします。


| 行政書士試験の民法検討(問題45)


民法の択一は問題27~35の9問です。記述式は問題45と46です。

【問題45】
共有物の問題です。各人の持分が書かれていないので、大雑把な解答になりそうです。

共有物に手を加えるパターンは民法上3つあります。意思決定に必要な共有者の数はそれぞれ異なります。復習も兼ねて思い出してみましょう。

1 変更 : 全員の同意 (251条)

2 管理 : 持分価格の過半数 (252条本文)

3 保存 : 各共有者の単独 (252条但書)

問題文には“建替えをする場合”と“修繕等をする場合”の2通りを考えろとあります。解答欄のとおりに、まずは建替えの場合を考えましょう。

一般的にも、物理的な変化を伴う行為や法律的に処分する行為は“変更”とされています。

物理的な変化を伴う行為は、たとえば、廃棄や消費、物理的な損傷、田畑を宅地にする造成工事、土盛り工事、建物の建築、建物の大規模修繕や建替え、山林の樹木の伐採などです。

法律的に処分する行為は、たとえば、売却、解除、詐欺による取消、地上権や地役権など用益物権の設定、借地借家法の適用があり短期賃貸借期間を超える賃貸借契約などです。

例でも挙げましたが、建替えは建物(共有物)の変更にあたります。元々あった建物(共有物)を取り壊して一旦なくし、新たに建物(共有物)を建築するわけですから、管理や保存ではありませんよね。そこで、建替えの場合には共有者全員の同意が必要になります。こちらは書けて欲しいところです。

“変更”にあたると分かることが1つめの関門、変更の条件が分かることが2つめの関門です。

解答例 : 5名全員の同意が必要であり、


次に、修繕等をする場合を考えましょう。

問題文には、修繕等は“変更”や“保存行為”に該当しないものとすると書かれています。事実認定がいらない部分です。したがって、修繕等は“管理”にあたります。“管理”という行為を思い出せるかどうかが1つめの関門です。管理の場合、持分価格の過半数の同意が必要です。この条件を思い出せるかどうかが2つめの関門です。

解答例 : 修繕等には、各共有者の持分価格の過半数の同意が必要である。

以上から、建替えをする場合と修繕等をする場合をまとめて解答にします。

[解答例]

“5名全員の同意が必要であり、修繕等には、各共有者の持分価格の過半数の同意が必要である。”(43字)

覚えていれば簡単ですが、知らなければ思い出すのに苦労する問題です。特に管理の決定は、共有者の頭数の過半数ではなく持分価格の過半数であるところが難しいですね。建替えは書けたけれど、修繕等を間違えて“共有者の過半数”と書いた場合には、10点になるかと思います。



| まとめ


1 知っていれば簡単、知らなければ難しい問題!

2 建替えについては書きたい部分!

3 建替え、修繕等にはそれぞれ2つの関門!

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