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イノセンス

柳さんと見た!
JUNERAYさんが好きな映画を見ようシリーズです。

今回もストーリーの理解度は60%くらい。相変わらず言葉を理解する前に次に進むペースが早かったので字幕ありでもちょっと待って!もう少しゆっくり喋って!と思いながら見ていた。
でもGhost in the shellよりはかなり飲み込みやすかったかも。

前作は全編手書きなのが伝わってきたけど、今作はかなりCGが使われていた。CGを導入した分表現のバリエーションが増えていて、金属の冷たさや背景のインパクトがかなり出ていた。

あと人形の不気味さや冷たさ、恐ろしさ、美しさが全面に出ていた。人形のことをかなり愛しているので嬉しかった。
音楽も民謡っぽい雰囲気があるけど音に厚みがあるアジアっぽい音楽で素敵だったし、特に択捉経済区のパレードとしかいいようのないシーンは世界観がかなり好みで見ていて惚れ惚れしてしまった。
かなり「パプリカ」っぽい世界観だったのでパプリカが見たくなり、今度はパプリカを鑑賞することになった。
キムの屋敷も少しずつ変化していく中で悪夢のような世界をぐるぐる回る演出があって、その映像もあんぐりしてしまうほど綺麗。
音楽も演出も映像も全てが大好きだったので何回も見直す映画になると思う。

あとエンドロールにスタジオジブリの名前があり、あの不気味で素敵な映像スタジオジブリが関わっているの!?と驚き、声の出演に竹中直人の名前がありまた驚いて慌てて何役かググった。キムだった。竹中直人は本当に声の演技が上手い。

今回はバトーさんをみんなで愛そう!の回だった気がする。
元々バトーさんのことを優しい人だな〜と思いながら見ていたのに、イノセンスを見たらぞっこんになってしまった。
バトーさんに並々ならぬ感情を抱いている人が制作に関わっているとしか思えなかった。そのくらいバトーさんにメロメロになった。
バトーさんって慈悲深くて愛に溢れている人なんだよ。

バトーさんが草薙素子のことを愛していることがわかったのが前作だとしたら、草薙素子も草薙素子なりにバトーさんを想っていることが伝わってきたのが今作だった。
前作はバトーさんの一方通行感があったので今作はかなり報われた印象がある。

前作のラストで行方不明になった草薙素子の面影をどこかに探し続けていたバトーさんと、そんなバトーさんを影ながら見守り必要な時にアドバイスを与える素子の関係性が良かった。
そして素子がハダリの体を乗っ取って、敵に囲まれ万事休すだったバトーさんと共に戦うシーンのよさたるや!ワクワクが止まらなかった。
バトーさんもバトーさんで数多のハダリに囲まれていながらも、草薙素子が乗っ取ったハダリには自分が来ていたベストをかけてあげるシーンにグッと来た。だって自分たちを襲うのもその人形なんだよ。でも草薙素子が入っているからバトーさんにとっては特別で、故に特別扱いをする。は〜前作から全然変わってない!
これがバトーさんなりの愛し方なんだろうな。いい。言葉で全てを語らないところも、絶妙に不器用な感じも出ていて……

そしてラストに素子がバトーさんに「あなたがネットにアクセスするとき、私は必ずあなたのそばにいる」と言ってまた姿を消したのがよかった。
普通に会話をする上でも脳内で検索をするこの時代に、ネットを使わない時間なんてほとんどない。だとしたら素子がバトーさんにかけた言葉ってずっとそばにいる、ということだよね。こんなにも強くて深くて重量のある愛の言葉知らないよ。
ドライそうな素子がこういう言葉を選ぶのが意外だったけど、それだけ素子はバトーさんからの愛を受け取ってきて、今度は自分が返したいと思っていたのかもしれない。
アニメを見ていないのでここまで全て勘で書いてます。

バトーさんと素子の関係性も良かったんだけど、それ以外もいいところだらけだった。今回トグサさんの出番が多かったのも嬉しかったな。
でもバトーさんは結構捨て身の作戦が多いので生身の肉体が多く残っていて妻と子がいるトグサさんのことはビクビクしながら見ていた。
死なないでくれよ!と思うし、実際トグサさんもずっと生きた心地がしてないと思う。階段の上から手榴弾が降ってきた場面では走馬灯が見えていたようだし。
でもトグサさんって優しい人で、狭い階段しか通路がなくてその通路が罠である可能性があってもバトーさんを先に行かせるとフォローができないからという理由で自分が先頭で向かおうとするし、バトーさんのこと車で送ってあげたりするし、バトーさんが飼ってるアホちゃんな犬をバトーさんが負傷していたり不在の間自分の家で預かっててくれたりする。
だからこそバトーさんとの会話のサラッとした質感が良い。優しい人たち同士だから湿っぽくならないような言葉を選んでいる気がする。
あと人が暗喩的なことを言い始めると「本題に入りませんか?」みたいなことを言ってすぐ急かすトグサさんかなり良い。その割にはトグサさんも引用言葉を使うけどね。

今作、会話中に引用がかなり多く出てきた。「イノセンスにおける会話中の引用とその意義」ってテーマで論文が書けると思う。もうあったりするかな。
会話がウィットに富んでいる〜と思いながら食らいついていたが、どの程度理解できていたかは危うい。
でもとにかくかっこよかった。バカの感想すぎる。

そして今作で一番好きなのはやっぱりバトーさんとワンちゃんと絡み。
バトーさんがバセット・ハウンドを飼っていたなんて知らなくてびっくりしてしまった。帰ってきて早々に犬が床にしたフンを踏んでいて笑っちゃったんだけど、犬はとても嬉しそうにバトーさんを出迎えていてバトーさんは犬のことをものすごく愛しているんだなと微笑ましくなった。
中でも一番好きな場面はバトーさんが犬にご飯をあげるシーン。
サプリメントを入れたご飯を差し出して犬が顔を皿に突っ込んでガツガツと食べ始めた途端、犬の耳がご飯につかないようにそっと耳を持ってお皿の外にぱふっと出してあげるの。
この細かい描写を丁寧に描くあたりでメロメロになってしまったし、結構序盤のシーンだったんだけどこのシーンが見られただけで今作見てよかったなと痛感した。そのくらいトキメキ度が高いシーンだった。
それ以外にも全ての戦いが終わってトグサさん宅で預かってもらっていた犬を迎えに行った時に、犬を受け渡されて抱っこして耳の裏を嗅ぐシーンがあって、そこにもメロメロになった。
犬の耳の裏って臭いんだけどなぜか嗅いでしまう引力があり、身体のほとんどが機械で出来た体をしていてものすごく屈強でタフなバトーさんがそういう人間くさい仕草をするのにたまらない気持ちになってしまう。

本当に全てが素敵で粋でかっこよくて良い映画だった。見てよかった〜!
これを機に攻殻機動隊のアニメも見たいな。

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