伊賀

オススメ山田風太郎小説の紹介めいたなんか

※前にマストドンに書いたものの加筆修正版
※上ほどライト、下に行くほどヘビーな作風(独断と偏見による)




山風短

山田風太郎の忍法帖シリーズのうち短編漫画化したもの。小説ではない。のっけから小説でないものをお勧めしてすまないが、名前の通り1巻ごとに完結する短編ばかりであり、しかも漫画なので読みやすい。気軽に読めるので最初に手を付けるには最適であり、割と最近の本なので入手もしやすい。(なお全4巻だが、3巻はニンジャと何も関係がないのでそこだけ注意したい)

この作者は別の山田風太郎小説の漫画化も担当しているが(例:『バジリスク 〜甲賀忍法帖〜』)、それらの入り口としてもこれは良い。特にコミカライズやアニメイシヨンからニンジャスレイヤーに入った人には良いだろう。




自来也忍法帖

『NARUTO』とは無関係。

「ジライヤ」といえばニンジャとしては実際ポピュラーな名前であり、聞いたことがある人は結構いるだろう。これもそういったジライヤ伝説にならい比較的ヒロイック王道な展開なので初心者にもお勧めできる。あくまで比較的だが、初めからサツバツとしすぎたニンジャの世界に触れてしまうとニューロンに良くないかもしれないため、そこそこ良いニンジャが出て殺すこの話はニューロンにも悪影響を与えにくいと思われる。




妖説太閤記

豊臣秀吉の生涯を描いた話。ニンジャは出てこないが作者の独自解釈による現実的…というよりむしろディストピア的視点・感覚にパワがあり、実際スゴイ。とはいえ秀吉は実際有名な人物であるため、他の登場人物や起こる出来事に歴史的安心感があり、展開もすっきりしていて読みやすい。ニンジャが出てこないものを読んで何になるのか?別に「ブーブス・バンド」からニンジャスレイヤーに入る人がいたっていい。何事も興味のあるものや簡単そうなものからやっていけばいい。そういうことだ。

ただ1つ『豊臣秀吉がとても好き』という人はやめておいた方がいいかもしれないという注意点がある。そういう人が読むと「オイランドロイドだと思ったらモータードクロだった」といったことになりかねない。そこは自分で気をつけてほしい。




くノ一乱風帖

小説じゃなく漫画で、しかも山田風太郎とは何も関係ないのだが、作者が山田風太郎の大ファンであり、非常にその作風を良く受け継いでいる作品。なので内容はニンジャスレイヤー並みに容赦がなく、正しくニンジャが出て殺す話なので、カワイイな絵柄に惑わされぬようカラテ警戒が必要だ。

なおニンジャスレイヤーは実際健全な作品であり猥褻が一切ないが、これは成人漫画なので猥褻がたくさんある。よって未成年は読んではいけない。あくまでも18歳になってからだ。大人になってから、しよう。いいね?




忍びの卍

ショッギョ・ムッジョな展開の多い忍法帖シリーズの中でも特にそのアトモスフィアが強く、ニンジャが出て殺しはするものの、爽快感とはほとんど無縁である話。ある意味、忍法帖シリーズの真骨頂とも言える作品。

そういった色があまりにも濃いため、ともすると貴方はこの作品を読み終わった時、サップーケイ空間めいた己の中の虚無と戦わねばならなくなるかもしれない。ゆえに前途ある青少年や精神的に落ち込んでいる人などが読むばあいには注意が必要だ。手綱を握るのは己自身だ。備えよう。




室町少年倶楽部

題名通り室町時代が舞台になっているニンジャが出てこない小説。『忍びの卍』と同様のショッギョ・ムッジョ感溢れる作品となっているが、こちらはニンジャが出てこないだけに、より一層それが強まっているように思う。ナンデ?それは問題が起こってもそれを超人的な力でどうこうできる者が存在しないからだ。ニンジャが出て殺す作品からニンジャが居なくなればどうなるか?この作品はそれに対する一つの解答を示しているような気がする。

ともあれこの作品も、読了後にマグロめいて自分の脳内をグルグル回りださないよう、安定したセイシンテキが大事だ。家族や友人と話ができる環境はあるか?備えよう。






以上である。


これらを含め、山田風太郎のニンジャ小説ほぼ全てに共通しているのが

1、猥褻がある
2、ゴア表現がある
3、ショッギョ・ムッジョ感
4、史実をなぞる
5、作者は医学生だったのでそのへんの描写が豊富

といった事である。普通の人間に勧める場合は1~3番目の点に注意することが必要だが、このページを読んでいる皆さんはニンジャスレイヤーを読んでおり、中にはニンジャの方もいるだろうから今さら注意を呼びかける必要もないとは思うが一応、列挙させてもらった。なおニンジャスレイヤーは実際健全な作品であり猥褻描写が一切ないことは言うまでもない。

まあ慣れてくれば「そろそろあの歴史的事件が起こるからニンジャが何かするはずだ」「アアーッ!このジツはいかにもヨロシサンのニンジャが使いそうなやつだ!」などといった楽しみ方もできるようになることだろう。

最後になるが、ここで挙げたもの以外で自分が気になるものがあればそれから読んでいくのがいいだろう。それが貴方自身の運命の一冊になるはずだ。

では、健闘を祈る。


【終】

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