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初めて二郎に行った日

もう20年近く前になります。歌舞伎町に「ラーメン二郎」と言う店があったのは知っていました。カウンターだけの席でいつも混んでいる印象があり、その時は行こうとはまるで思いませんでした。ある日、二郎の前を通るとカウンターに空席が見られました。

「一度食べてみようかな?」これが二郎初入店です。「ラーメン小ブタ」の食券を買ったと思います。しばらく待っていると「ニンニク入れますか?」「ヤサイ、ニンニク、アブラ」など店員と客の間で不思議なやりとりが始まりました。「え?何?何か言わなくてはいけないの?」僕は緊張しました。

やがて僕に向かって「ニンニク入れますか?」と尋ねられました。僕は「お、お願いします」と小さな声で答えました。

運ばれてくるラーメンは山盛りになったもやし。「こ、こんな大盛の店だったのか?」また凄まじい緊張が襲ってきました。

僕の前にカウンターに置かれたのは「これで小?」というくらいの化け物でした。「く、喰いきれなかったら怒られるのかな?」動揺を隠せず、スープを飲みました。

「え?う、うまい」今まで食べた事のない味でした。そしてヤサイを食べるのですが、中々麺に届きません。まだ「天地返し」を知らない初心な僕ですから。

チャーシューも「なんだこの塊は?」と思うくらいの大きさでした。のちに二郎系で「チャーシュー」なんて言葉は使わず「ブタ」と呼ぶようになるのはまだ先です。

「喰いきれない」と思ったのが、「こんな美味しいのをこんな一杯食べていいの?」と脳が騒ぎまくりました。

食べ終えた方はどんぶりをカウンター上に置き、ぞうきんでカウンターを拭いて退店していきました。「こうしなければならないのか?」僕も見習ってカウンターを拭いて退店しました。

膨れまくった腹をさすりながら、何か「達成感」を感じていました。

「これが二郎か・・・」この日から僕は二郎に取りつかれてしまいました。

「二郎は食事に行くのではなく戦いに行くんだな」そんな事を思ったりしました。

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