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宝満山

好きな山はありますか?
山も、人も好きだとその人は言った。宝満山という、九州の太宰府にある山を登っている。登山道はとても良く整備されていて、この山が長く人と関わってきたことが伺えた。
神社の傍から登り始める。登り口にある鳥居を、一礼してくぐる。大切に扱われてきた山なのだろうと思った。怪我をして、思い通りにならない足でも、丁寧に刻まれた石段を登る事が出来た。
たくさんの人が手すりとして使って、とてもつるつるとした木の根があるのだと、なんとも楽しそうに話す人だったなと木の根を掴みながら振り返る。この登山道は人の生活そのもののような気がした。道から外れてしまえば、自然の中にすっぽりと落とされてしまうが、道の中は自然でさえ人の営みの中にある。
山も人も好きだという理由、宝満山が好きだと言った意味がこの道を歩く程に感じられた。
その人の山に対する捉え方が、この山の多くの人に歩かれたであろう登山道が、どちらもとても素敵なことだった。
一息つける中段に差し掛かり、飛行機の時間も心配になったので帰ることにした。辺りを見渡す。次は、山頂まで歩きたいと一つ宿題のように心に書き留めた。

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