見出し画像

お持ち帰り失敗自省録①


手を繋ぐ所までは行ったんだ。
しかし、女は遊びなら別の人でと言った。
駅前で手を離し、乾いた挨拶をして別れた。
素晴らしい女だったのに…。

女の名前はカナ。
30歳の素敵な女だ。この女は顔のパーツに変な所がない。少し鼻が広がってるが、ほとんど気にならない。
俺は没個性的な顔が好きだ。欠点を潰していけば顔は美しくなっていく。

この女とは一度、カフェで会っていた。
そこでの会話は上々だった。カナの愛想の良さによる所が大きいが…。
二度目のデートで家に誘って失敗した訳だ。

カナとはタップルで知り合った。
メッセージのやり取りで、積極的にオススメの飲食店を教えてくれる優しい人だ。
俺とカナは趣味が合った。

金曜日の夜にカナと俺の最寄り駅で待ち合わせした。カナは翌日休みで俺も休み。期待するのが自然じゃないか?

(俺は女を食うために努力をしてきた。しかし、本当は努力したくない。楽に女を抱きたい。女を抱く事に努力する価値はあるか?俺はよくわからない。けど、俺は機械の様に複数の女とメッセージのやり取りをしていた)

カナとはまず居酒屋に行った。この女は薄いカラシ色のニットを着て、綺麗に口紅を赤く塗っていた。肌も髪も目も綺麗だ。俺はこの女が大好きだ。

次にカラオケに行く。距離感を取って横に座られた。
警戒してるのか?俺は近寄れない。
何か満足してたのだ。タイプの女と一緒にいるだけで充分じゃないか?
カナは歌が上手い。上手過ぎて俺は笑い転げてしまった。カナは音楽科を卒業していた。

カラオケを出て、アロマキャンドルを嗅ぎに来ないかとカナを家に誘った。
カナは今度行くと言った。これは嘘だ。
俺は粘ろうと思い、次はバーに誘った。
カナは嫌そうな様子もなく付いて来た。
家に誘った時点でヤリモクだとバレたはずだ。そんな奴とまだ一緒にいるつもりなのか?

二人で一度も行った事ないバーに行った。ややアットホームな雰囲気だ。悪くないと思った。
ノンアルのカクテルを飲み、一時半くらい話した。俺は話を恋愛の方へ持って行こうとしたが、カナの元カレの話しに終始した。この話題が、お持ち帰りのために良いのかは俺には分からない。
カナの胸には、大学生時代の恋が深い傷を残していた。

俺はこのバーで、俺の魅力を見せつけないといけないと思いながらも、何を話すべきか分からなかった。俺は女を口説いた経験が無い訳ではない。自分の無力さを痛感しながら、空のコップを何度も口に運んだ。

カナは高学歴で頭の良い女だったが、占いが好きだった。これは意外だ。この話題は俺とカナとの心の壁をかなり薄くしてくれた。これは大きな収穫だ。俺はもっと占いを勉強しようと思った。

バーから出てカナと手を繋いだ。家に誘うと、一年以内に結婚できる人としか付き合わない、遊びなら別の人ですればとカナは言う。手を繋いだままでだ。俺はもう一度押した。しかし、ダメだった。もうカナとは会えない…。俺は一人で歩いて帰った。

別れて直ぐにカナは、今日はありがとうお休みとLINEを送って来た。これは女の中でのふんぎりをつけるためのメールだ。俺はお休み💤とLINEを返した。

翌日の昼に別の女と会った。ショートカットのガチガチに緊張した若い女だ。一緒にケーキを食べた。その日の朝、俺はカナの事を考えて手淫をしていた。





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?