あぁ!懐かしき、若かりし頃の職場経験記⑤日栄(その後のロプロ)

強引な取り立てで社会問題になった有名な金融会社です。
営業品目は手形及び小切手貸付と手形割引でした。

テナントに入るには審査が大変厳しくて有名な全国規模の立派なビルに入居しておりました。
当時は全国に支店の出店攻勢を仕掛けており新規支店を開設する募集広告を見て面接を受けて数日後に採用の連絡がありましたが
金融会社なので保証人が1人いないと入社出来ないとのことで知り合いにお願いし入社となりました。

支店長は県外から来られてて女性事務員2名、営業社員6名、テレアポ女性3名の体制でスタートです。
数日間の研修は商品知識、契約書の作成方法、手形や小切手の取り扱い方、電話のトーク、訪問してからの会話、法務局での謄本の取り方や謄本の見方等々専門的な事が多かったですが特に難しい内容ではなく契約書の印鑑の場所や押し方は厳しく指導されました。
契約後は先ずは契約書類を全て本社にFAXする必要があり印鑑の映りが薄い場合は書類の再作成を命令されることがありました。

支店長の方針で営業はテレアポ営業のみで営業社員もテレアポスタッフも全員で朝の9:00-17:00までハローページを見ながら企業に電話営業です、有難いことに残業は皆無でした。
当然ですがテレアポが取れないと会社から出られません。
但しテレアポを取る時にかなり詰めて行きますので成約率は90%以上でした。

テレアポ営業してて思ったことは社長や経理担当と電話で話しが案外出来るものなんだと思いましたね。

求人はずっと続いており時折面接に来られてましたが、履歴書を預かると直ぐに当時はレンダーと言ってましたが名前と生年月日を入力することで即時に消費者金融系の信用情報がスーパーのレシートみたいな用紙に印刷される端末を操作して履歴があればお断りをしていました。
本来は貸付や返済をした時に使用するもので今から思えば違法な使用方法をしていたのでないかと思われます。

このレンダーという機械は電卓に毛が生えたような端末で
1件問い合わせると100円かかるようなことを言ってましたがドンドン利用して構わないとのことで
テレアポが取れた社長を直ぐに端末で操作して借入や事故情報を調べて時にはお断りしたりとか、今後の対処方法を社内で検討してから訪問してました。
後は企業年鑑等で社長名と生年月日が掲載されていれば片っぱしから操作したものです。
名前が濁点が付いたり読み間違いだと全く別の人と認識しますので考えられる読みがあれば全て入力をしてました。

新規開設支店ということですが既に他の支店から電話営業があったようで、自動車で数時間かけて契約を取りに来られてようですが支店が開設してからはそのような行為は無くなったようです。
新規支店ということもあり全国数十社の支店で数ヶ月は売り上げナンバーワンが続いてたようです。
私達の営業社員も全国数百名いる中でベスト10に入ってました。

金融機関なので夕方になると毎日全国の営業成績のFAXが来てました。
数字が悪い支店は本社から怒りの電話が入ってて支店長の交代は日常茶飯事でした。

支店長も中途採用の方で仕事には厳しい方でしたが、新規支店立ち上げや成績が悪い支店の立て直しに抜擢される本社でも一目置かれる方でした。

この会社では本当に実に様々な経験や勉強をさせていただきましたが1番の心に響いた言葉は
出来ない営業マンに通じるのは「買ってください」の一言が言えない。
これに尽きます。

お客様には契約書作成と同時にお金も渡すので毎日数百万から数千万のお金を銀行に取りに行き、お客様にお渡ししてました。

営業電話も他の方と重なることもありお客様に怒られたりしたものですが、当時の給与は固定給と成約手当があり同年齢の平均の倍はいただいていたと思います。

社員旅行は本社視察も兼ねた京都で1泊2日で全国から数百名が集まってました。夜のディナーショーはペギー葉山さんでしたね、ゲストで名前は忘れましたが松田社長が後援会長をしている時代劇で良く見かける方もおられました。
その時に初めて支店長から松田社長を紹介して頂きご挨拶を致しました、まさにカリスマ的存在のオーラがありました。
ディナーショーの最後は松田社長のオンステージで憧れのハワイ航路をアンコールのアンコールで10回は歌っていたと思いますが毎回の出来事でした。

日栄の問題点として根保証がありました。
日栄は契約時に必ず保証人を取ることを義務付けしており最悪は奥さんでも構わないケースもありました。
根保証の契約を交わすとその根保証の設定された金額範囲内では保証人の了解無しに随時貸し出しが出来るものでした。

100万借りる場合も根保証は300万に設定してましたが当然保証人には言わないように指導がありましたが保証人によっては契約書をきちんと見られて絶対に100万までの根保証しかしないと言われる方もおられ契約をして来た営業社員が支店長から叱られてました。

そして金利は月3分がセールストークでした。
100万借りて月に3万円ですが当然銀行から借り入れるより何倍も高い金利です。
しかも最低3ヶ月後でないと返済を認めないのでお客様には3ヶ月手形を発行させてました。
勘の良い社長は手形が銀行に戻ると裏書で日栄で借りたことがバレるのでやりたくないと言われましたが知り合いや親戚に頼まれたと言ってくだされば良いからと話しをするように指導されてました。

そもそも日栄でお金を借りる会社はもう危ない会社に近いのでやはり返済が出来ずに不渡も何回かありましたがその辺りは全て本社管理部の仕事で我々はひたすら営業するのみでした。

結局は営業は数字の世界なのですが私自身が保証人の方に事実を言えないことが苦痛になり更に入社時に私の保証人にも迷惑がかかるのを恐れて一方的に辞めさせていただきました。

日栄はその後も全国出店攻勢は続き、上場もしましたが強引な取り立ての社会問題となったのとグレー金利問題で破綻となりました。

会社存続率10年で5%と言われてますがその時の借り入れされてた会社は殆どが倒産したと思いますがまだ何社は存続されてるのは立派だと思います。


ナニワ金融道という漫画を見かけた時にあまりにも自身の体験とリアル過ぎて驚いてしまい単行本は全て買いました。

しかし、この会社での経験はその後の人生に大いに役に立つことになりました。



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