行政法 行政裁量

認められない場合

 昭和56年2月26日

  毒物及び劇物取締法所定の劇物を霧状に噴射させる護身用具の輸入業の登録申請に対し登録拒否事由に関する同法等の規定を類推適用して登録を拒否することの許否

 昭和56年2月26日

 毒物及び劇物取締法それ自体は、毒物及び劇物の輸入業等の営業に対する規制は、専ら設備の面から登録を制限することをもつて足りるものとし、毒物及び劇物がどのような目的でどのような用途の製品に使われるかについては、前記特定毒物の場合のほかは、直接規制の対象とせず、他の個々の法律がそれぞれの目的に応じて個別的に取り上げて規制するのに委ねている趣旨であると解するのが相当である。
 そうすると、本件ストロングライフがその用途に従つて使用されることにより人体に対する危害が生ずるおそれがあることをもつてその輸入業の登録の拒否事由とすることは、毒物及び劇物の輸入業等の登録の許否を専ら設備に関する基準に適合するか否かにかからしめている同法の趣旨に反し、許されないものといわなければならない。

  毒物及び劇物取締法所定の劇物を霧状に噴射させる護身用具の輸入業の登録申請に対し、同法五条及び毒物及び劇物取締法施行規則四条の四所定の登録拒否事由に該当する事実がないにもかかわらず、これらの規定を類推適用し、右護身用具は専ら劇物の有する催涙作用が人体に開眼不能等の機能障害を生じさせることをその用途とするものであつて保健衛生上の危険性が顕著である、との理由により登録を拒否することは許されない。

ここから先は

0字

¥ 10,000

人類予備校が様々な講座を提供いたします。