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カラー(スペーサー)製作

フルサスフレームのカラー(スペーサー)を製作。


メカニックサポートをしている全日本マスターズチャンピオンの岡本紘幸選手のバイクのお話しです。

ちょっぴり前ですが、2022年9月に新型のフルサスのフレームが届きました。

その時、岡本選手用の特別ペイントされたフレームがもう1本すぐに届くとの事だったのと、フレームが届いたのがレース直前で早急に組まないといけなかったので、その時はいつも行っている作業のフルサスフレームを一度バラしてシールドベアリングをJIS規格であるサイズなら日本製に交換したり、シールドベアリングとリンク部とのあたりの調整をせず、新たなフレームが届いてから後でやり直す事を前提でそのまま組み上げました。


もちろんですが、何も確認、手を加えずの使用でどのメーカーも品質保証をしている訳ですので、そのまま組み上げるのが一般的です。

ただ、どのメーカーもですが、手を加えた方が間違い無く動きは良くなりますし、動きが良くなると言う事は、それだけ抵抗が軽減されている訳ですので寿命が伸びる事にも繋がります。

特別ペイントのフレームが中々届かずそのまま使用していたら、岡本選手からメインピボットの辺りからなんとなく違和感があると。

バイクが組み上がったままでメインシャフトを確認をすると緩んではいないし、その他のリンク部のボルトも緩んでいないし、今回のフレームはバラしていないので、正直、一度バラさないと状況がつかめませんでした。

やはり岡本選手は敏感です!!
特別ペイントされたフレームが届き、バラしてみたら状況がわかりました。

前三角のメインピボットのシールドベアリングの中にカラー(スペーサー)がありませんでした!?

この状態ではリアアームを取付けた時、シャフトを締めても内側の支えが無い為に外圧のみの支えになるので、内側にたわんでしまいます。

少し例えが違うかもしれませんが、本棚の中央が曲がってきてしまっているのと同じ状態です。

以前、MAVICのホイールのフロントハブで製作したカラー(スペーサー)と同じです。

そんな訳でこのフレームに合うサイズのカラー(スペーサー)を製作。

旋盤を持っているので、こう言った時に役立ちます。

カラー(スペーサー)を入れれば内側へのたわみも無くなりますし、サスペンションが動いた時のよじれ等の剛性も変わります。

岡本選手が違和感を感じていたのは、正にこれだと思います‼︎

そして、もちろんその他も確認。

リンク部も寸法があっておらず、はじめからのスペーサーを入れてもかなりの隙間が⁉︎

はじめは強引にボルトで締め付けられ取付けられていたと言う事となります。

こちらに合うサイズのスペーサーを入れ組み立て。

そしてこの組み上げる前には、ヘッドやディスク台座等のフェイスカットはもちろんですが、バラした時でないと隙間等の細部まではコーティングは出来ないので、この時にハドラスコーティングを施工。

その他、JIS規格のシールドベアリングはシール性が高い種類の日本製のシールドベアリングに交換。

こう言った下準備をし、組み上げ、バイクは完成します。


はじめの組み上げに時間はかかってしまいますが、こう言った下準備がしてあるか、していないかでバイク本来の性能が発揮出来ているのか?と言うのも関係してきますし、後々のメンテナンス性や、バイクやパーツの寿命にも繋がってきます。
そしてバイクのトラブルも軽減されます。

岡本選手からは、このカラー(スペーサー)を入れてからは明らかに違うと!!

マウンテンバイクでサスペンションがついているバイクの場合、はじめに乗り手の体重等に合わせサグ出しを行います。

サスペンション本体もですが、こう言ったフルサスの場合、フレーム各部のリンクもスムース動いていなければ、その設定も細かな微調整は難しくもなります。

あと、リンク部のシールドベアリングが駄目になってしまっていても、バイクが組み上がった状態で動かしていると間接的に動かしている為にスムースに動いているように感じてしまっている事はよくあります。

当店は、はじめの納車に時間がかかってしまいますが、それは、今回の作業を岡本選手のバイクだから行っている訳ではなく、納車前に今回と同じ作業を行ってから納車させて頂いているからです。

自転車は、パッと見、外観は同じように見えますが、実はこう言った細部に手を入れてあるかいないかで別物なんですヨ!!

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