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遠巻きの寛容

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藍宇江魚のファースト連載小説です。 『遠巻きの寛容』No.1~No.6 お楽しみ頂ければ思います。 ヨロシクお願い致します
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遠巻きの寛容 -全編-

          理由 1990年3月7日、水曜日。曇天。  神保町、時刻観書店。  仕事で必要な本を探しあぐねた桜井祐平は、近くの若い男性店員に声を掛けた。 「はい。何か?」 「この本、あります?」  祐平、メモ書きを彼に渡した。 「少々お待ち下さい」  彼はすぐ戻ってきた。 「こちらですか?」 「そう」 「良かったです」 「でも、どこに?」 「本探しの達人ですから」 「探すのを手伝ってもらおうかな」 「喜んで」  名札に清水寛人とあった。 「シミズヒロトさん?」  苦笑