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冬に風邪を引きやすい3つの理由とその対処法

1 日光が減るから

 対処法:ビタミンDサプリと味噌汁を飲む

2 寒くなるから

 対処法:暖房・断熱・加湿する。

3 脱水になりやすいから

 対処法:水分・塩分を補う。加湿する。


冬に風邪が増えるのは毎年のこと

 マスコミはあの感染症が増えた増えたと連日騒ぎます。

 マスクをしてない人のせいだとか、飲食店のせいだとか。

 でもちょっと考えてみてください。

 一昨年末まではどうだったでしょう?

 一昨年なんて忘れてしまった方もいるかと思いますが、毎年インフルエンザが猛威を振るい、全国の学校で学級閉鎖が相次いでいました。実際に自分がインフルエンザにかかって苦しい思いをした人も多いでしょう。

 インフルエンザは症状があってしかも病院を受診した『患者数』だけで例年1000万人もいたのです。病院を受診しない発症者だけで例年2000万人以上いたと推定されています。無症状の「感染者数」なんて推定さえされませんでした。

 今騒いでいるウイルスでは多くが無症状の「PCR陽性者数」でカウントし、どこかで1人の陽性者が出たら騒いでいます。インフルエンザはクラス生徒の大半、病院のある病棟ナースほぼ全員が感染・発症ということも珍しくなかったのです。

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 それからすれば、今流行りのウイルスは暴露・感染しても高齢者や病気持ちなど免疫力が弱った人以外にはほとんど症状すら起こさない、とても優しいウイルスだと言えます。

 そんな優しいウイルスが昨年末から流行したことでインフルエンザにとってかわり、多くの感染症を減らしてくれたのです。(マスクや自粛が始まるずっと前に)

 それでも今、夏に比べれば確かに風邪が増えています。(厚労省も認めるように、あのウイルスもその一種です。)

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 それはマスクをしていない人のせいでも自粛しない人のせいでもなく、冬だからです。


なぜ冬に風邪を引く人が増えるのか?

 大きく3つの理由があります。その3つの理由を知って対処すれば、冬でも風邪をひきづらくなり、たとえ風邪を引いたとしても重症化を防ぎ、確実に早く軽く治ることができます。 

1 日光が減るから

 そもそも冬とは何か?

 冬とは、地軸が太陽の方向から66.6°(垂直から23.4°)傾いて回っていることによって、日光の当たる角度が小さくなる季節です。冬が寒くなるのは根本的には日光が減るからです。

 生物は、植物プランクトンの例えば海苔のような藻類から私たち人類まで、日照量で活動や個体数を調節しています。日光が多い季節は食べ物が増えるので、活動を増やし、旺盛に恋をして繁殖し個体数も増やします。逆に、日光が少ない冬は活動も数も減らします。冬に大量のエネルギーを使えば飢え、数を増やせば共倒れになるリスクが高いからです。

 夏は「恋の季節」とも言われるように、多くの動植物で活動も繁殖も旺盛になります。逆に冬は夏に比べれば繁殖活動は減り、病人や死者は増えます。広葉樹は葉を落とし、人間も特に高齢者や病弱な人が多く亡くなります。それは太古から続く自然の摂理であり、群れや生態系全体にとって必要なことでもあるのです。

日光の強さをフィードバックするために藻類から人類まで、それぞれの細胞が備えているシステムがビタミンDです。現代まで生き残っている多くの生物が共有するシステムであるため、まだ動植物が別れる前、細胞生物がかなり初めの段階で備えたシステムだとわかります。

 ビタミンDが低下すると生物は感染症から癌、精神疾患にいたるまで様々な病を発症し、病が何であれ最終的に衰弱し死亡します。

 生物はそのようにプログラムされているのです。

 風邪(急性上気道炎)はその手始め、ビタミンDが低下したことを教えてくれるシグナルとも言えます。「風邪は万病の素」とはそういうことなのです。

 風邪だけでなく、似たような症状の花粉症もビタミンDが低下した冬の終わりから春にかけて起こります。花粉は誰もが吸っているのにくしゃみ鼻水などが出る人と出ない人がいるのはなぜでしょう?その違いは花粉ではありません。本当は花粉症ではなくビタミンD低下症、免疫が正常に作動しなくなった結果なのです。

ビタミンDは日光を浴びることでコレステロールから作られます。コレステロールが多いことは餌が多いことを示します。餌が豊富で日光を浴びて活動している個体は群れにとって有用なので生きます。(コレステロールが高い人は死亡リスクが低く長生きです

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 餌が不足してコレステロールが下がった個体や日光を浴びない個体(≒働かない個体、進化の歴史的に)は群れや生態系にとって次世代に場を譲ってもらった方がいいので死ぬのです。

 それは自然の摂理です。

 冬に日光が減ることをもう少し詳しく見ると、 

①日光が弱まる
②日照時間が短くなる
③皮膚の露出が減る

 となります。

 太陽の登る角度が低くなることで日光は弱まります。中でもビタミンDをつくるβ紫外線(UVB)は空気中で散乱されやすいのが特徴です。低い角度からの日光は人に届くまでに通過する空気の層が厚くなるので、人が浴びられるUVBは冬は大きく低下します。日本のほとんどの地域で、仮に1日中外にいたとしても必要なビタミンDをつくることは不可能になります。

 日照時間も短くなるので、日光を浴びられる時間も短くなります。

 寒くなると厚着をするので、皮膚の露出面積が減ります。外へ出ても皮膚に日光を浴びなければビタミンDはつくれません。

 私が小学生の頃は(昭和です)、冬でも半袖短パンの子がいました(東北でも)。そういう子が丈夫で風邪をひきにくかったのはビタミンD貯蓄が多かったこともあるでしょう。(夏からたくさん貯めていた)

対処法 ビタミンDサプリを飲む

 日光そのものを増やすことはできません。(日サロはUVA)

 寒い中、無理に日光を浴びてもあまりビタミンDは増やせません。(それでも日光浴は良いですが)

 幸いビタミンDは腸から取り入れることもできます。

 食品では魚やきのこに比較的多く含まれますが、それでも1日必要な4000IUを摂るために鮭なら3切れ以上、シラス干しなら150g以上、毎日食べなければならず現実的ではありません。

 夏にいっぱい日を浴びて貯めておくことが第一ですが、冬にできることはサプリを飲むことです。

 ビタミンD血中濃度を上げるためには1日必要量以上を摂る必要があるので、コスパ的にも飲みやすさ的にも私はまず1日5000IU1粒をお勧めしています。

夏は日光を浴びる人はサプリをやめてもいいですし、長期間飲む場合には1日おきにするなど調整すると良いでしょう。ビタミンDは吸収効率も利用効率もその人の年齢・肥満度・腸内細菌・マグネシウムなどによって大きく異なります

 サプリは体調を感じながら使いましょう。

 ビタミンDは腸内細菌の多様性と、マグネシウムというミネラルがないと吸収されず、うまく働きません。逆にカルシウムが多いと働きにくく、高カルシウム血症という副作用が出やすくなります。牛乳やカルシウムサプリと一緒にビタミンDサプリを摂るのはよくありません。(そもそも牛乳・カルシウムサプリが健康に良くないと考えます)

 腸内細菌の多様性を増やすには発酵食品、マグネシウムは大豆に多く含まれます。ですからどちらも兼ねた味噌と一緒に摂るのがおすすめです。

 多くのマグネシウムサプリはオリーブオイルなどの油でコーティングされているので、熱い味噌汁にはすぐ溶けます。

 またビタミンDは当然、ビタミンDの役割しかできません。ビタミンDサプリをとってもビタミンAが足りないと鼻がカピカピになったり、ビタミンKが足りないと高カルシウム血症になったりします。

 ビタミンAは海苔・レバーなど、ビタミンKは納豆に豊富に含まれます。ビタミンDサプリを取る場合は、それらの栄養にも気を配りましょう。

納豆(1パックにビタミンKサプリ4日分くらい含む)を週3回以上食べない人は、ビタミンKも含まれたサプリが良いでしょう。(👇売り切れですが)

2 寒いから

 冬に風邪を引きやすい理由として、多くの人が考えるのが「寒いから」でしょう。では、なぜ寒いと風邪を引きやすいのでしょうか?

 当たり前のようですが、寒さが風邪につながる理由を詳しくいうと次の3つがあります。

①免疫細胞の活動が鈍るから

②エネルギー消費が増えるから

③自律神経が交感神経優位になるから

 この3つを知り対処することで風邪を引きにくく、引いたとしても回復しやすくなります。

①免疫細胞の活動が鈍るから

 寒いとそれだけで鼻が詰まり、鼻水やくしゃみが出やすくなります。ウイルスなんていなくても、薄着で寒いところに出れば誰でもそうなります。症状的には風邪と区別がつきにくい、これを血管運動性鼻炎といいます。

血管運動性鼻炎はウイルスも病原菌も入って来ていなくとも、身体が防御反応として起こしています。寒いと危険だから鼻をつまらせて空気の通り道を狭め、鼻水で洗い流しくしゃみで少しのチリも追い出そうとするのです。

 寒いとなぜ危険なのか?温度が下がると免疫細胞がうまく働けなくなるからです。

 免疫細胞の性能は温度に左右されます。感染症にかかった時に発熱するのは39℃くらいが最も免疫細胞が働きやすくなるからです。(だから風邪薬や解熱剤で熱を下げてしまってはせっかく発熱したエネルギーが無駄になります)


 身体の中で最も寒気にさらされるのは気道、中でものどから上の上気道です。風邪の医学的な正式名称は『急性上気道炎』です。

 なぜ上気道に炎症が起こるのか?ウイルスや細菌がまず入ってくるところだから、というのもありますが常に外気に触れて冷やされやすいこともその大きな理由です。

②エネルギー消費が増えるから

 ヒトは恒温動物なので、体温をほぼ一定に保って生きています。ただし、寒い環境で体温を保つにはより多くのエネルギーを必要とします。熱となるエネルギーは即ちカロリーです。エネルギー源は糖・脂肪酸・アミノ酸です。エネルギーを使って発熱する臓器は主に筋肉です。

 飢餓やダイエットなどでエネルギーが不足している場合、脂肪の使い方が下手で燃やせない場合(肥満の人)、筋肉が不足している場合は体温を保つのが難しくなります。

「私は平熱が35℃だから、今は36℃でも熱があるんです!」

 と外来で力説する人がいますが、平熱が低いことの方が問題です。それだけ免疫力が低く、感染症にかかりやすく重症化しやすいということです。

 感染症の患者さんが熱が出せず、むしろ低体温になった状態は敗血症というとても危険な状態です。

③自律神経が交感神経優位になるから

 また寒くなると身体は熱を逃さないようにするため、自律神経の交感神経を強めます。ところが交感神経優位になると免疫のかなめであるリンパ球はリンパ節に引きこもってしまいます。リンパ球が引きこもっていては、免疫力を発揮できません。

 逆にリラックスして副交感神経優位になると、リンパ球はリンパ節から出てウイルスや病原菌と戦って免疫力を発揮できます

 風邪をひいて熱が出たら、昔から多くの人は布団に入って温かくして眠ります。それは体温を上げるのを助け、副交感神経優位にしているのです。(横になっていてもリラックスせず、スマホを見たりゲームをしていては交感神経優位になってしまい、免疫力は上がりません

対処法:暖房・断熱・加湿、そして鼻呼吸

 風邪は急性上気道炎ですから、上気道で免疫細胞が働くために上気道を温めてあげることが有効です。上気道はその名の通り空気の道ですから、吸い込む空気を温めてあげる必要があります。

空気を温めるということは、居る部屋の気温を上げること。つまり暖房です。暖かくするというと、厚着をしたり布団に入ったりすればいいと思う人もいるかもしれませんが、それでは空気は温まりません。

 厚着をしても、気温が低ければ上気道は息を吸うたびに冷やされ続けることになります。

室温を少なくとも18℃以上に上げることをお勧めします。

特に室温が下がるのは深夜〜早朝です。夜は暖房を切る方も多いと思いますが、ぜひ記録機能付き温度計で夜間の室温を測ってみましょう。風邪を引きやすい原因、治りにくい原因は夜間の低温にあるかもしれません。

 夜中に咳が止まらないと言って救急外来を受診する人は多くいますが、夜に咳がひどくなる原因の一つが室温と湿度が下がっていることです。適切に暖房と加湿することで咳が落ち着き眠りやすくなります。

 暖房すれば費用がかかります。

 冷えを抑え、暖房費用を安くするために有効なのが断熱です。家のつくりによって断熱効率は大きく変わります。リフォームは大変ですが、熱の40%は窓から逃げるそうです。窓にプチプチのような断熱シートを貼ったりカーテンにプラスしたりするのはとても簡単で費用も安く済み、すぐに効果が実感できます。

 暖房すれば空気は乾燥します。乾燥すると体感温度が下がります。また免疫細胞は寒さだけでなく乾燥にも弱いので、加湿することも免疫力を上げるために大切です。

 加湿について詳しくは「③脱水になりやすいから」で述べます。

 実は、暖房・断熱・加湿を身体の中でやってくれている臓器があります。それは鼻です。鼻は粘膜のひだと副鼻腔に貯めた空気で入ってくる空気と熱交換し、加湿することで鼻より奥の気道を冷えや乾燥から守り失う熱や水分を最小限にしてくれています。

 口は鼻のような機能がないので、口呼吸では冷たく乾燥した空気がそのままのどに当たります。(ウイルスなども素通りです)

 寒い日に手を温める時、鼻ではなく口から「ハーッ」とやるでしょう。口から出す息は鼻息よりも温かいからです。気温が低いところなら水蒸気が見えます。口から吐く息は鼻息よりも体から多くの熱と水蒸気が逃げていることがわかります。

 ですから鼻詰まりで苦しくない限りは、なるべく鼻呼吸することで風邪をひきにくく、治りやすくなります。適切に暖房して気温を上げてあげると鼻詰まりしにくく鼻呼吸しやすくなります。眠る時は唇に1cmほどテープを貼ると鼻呼吸で深く眠れます。

 着衣としては、特に「首」を冷やさないことが重要です。よく「3つの首」を冷やさないと言われます。首・手首・足首が冷えると、交感神経優位になりやすいからです。マフラーやネックウォーマー、リストバンドやアンクルウォーマーで温めてあげると良いでしょう。

 ただし、3つの首はいずれも締め付けに弱いところです。締め付けて血流が悪くなっては本末転倒ですので、なるべくゆったりした締め付けの弱いものにします。

 さらに私は「4つめ目の首」も加えたいと思います。

 それは『乳首』です。といっても、乳首オンリーで温めるわけではなく「胸」ということですが、「首」つながりでインパクトがあって覚えやすいでしょう?風邪をひいた時には、マフラーなどを胸の前で束ねたり、胸にカイロを貼ること(乳首にピンポイントで貼らなくていい)によって咳が鎮まり、呼吸が楽になるのを実感できると思います。

 風邪を引かず、もし引いたとしても早く治るためには、

「寒くない」「我慢できる」ではなく、「温かい」と感じられる環境にしてリラックスして休むことが大切です。

(水枕などで頭を冷やすのは?実は、頭を冷やすと身体は体温を上げやすくなることがわかっています。脳は身体の中では温度が上がりやすい一方、高温に弱臓器です。おそらく、脳の温度が上がりすぎないように身体は発熱にブレーキをかけるのでしょう。だから脳の温度を少し下げてあげると身体は遠慮なく発熱できるようになると考えられます。頭を冷やす目的は体温を下げることではないので、冷やし過ぎは逆効果です。また頭以外を冷やすことも免疫力を低下させます) 

3 脱水になりやすいから

 3つ目の冬に風邪をひきやすい理由は、脱水になりやすいからです。

 脱水というと、汗をかく熱中症などで夏に多いイメージがある人が多いでしょう。確かに夏には多いのですが、冬にも脱水は多いのです。

 冬に脱水が増える理由は暖房の影響もありますが、より本質的には

①尿が増えるから

②塩分が不足するから

③空気の水蒸気が減るから

です。

①尿が増えるから

 寒いとおしっこが近くなることは多くの人が体験済みでしょう。

 なぜ寒いとおしっこが近いのでしょう?それは、体内で燃料を多くの燃やしているからです。先にお話ししたように恒温動物であるヒトは体温を保って生きています。寒い環境で体温を保つには、より多くのエネルギーを作る必要があります。

 燃料は糖(炭水化物)にしろ脂質にしろ、燃やすと二酸化炭素と水ができます。二酸化炭素は呼気から吐き出され、水は汗か尿に排泄されます。寒いと汗はかきにくいので、主に尿が増えるということです。

②塩分が不足するから

 尿が増えるのは余った水を捨てているだけだからそれで脱水になるのはおかしいようですが、尿は水だけではなく塩分も捨ててしまいます。ヒトは水分量を塩分の濃さで調節しているので、塩分が少なくなると体内に保てる水分が減ってしまうのです。

 体内の水分量が減るということは、循環する血液量が減るということです。そして濃くなった血液は粘性が上がり(いわゆるドロドロ)、流れづらく詰まりやすくなります。

 量が少なくなり粘性が上がった血液を重要臓器に回すため、身体は手足など末梢の血管を締め、心臓の拍出を強めます。すると血圧が上がり、心臓の負担が増えます。

 冬は風だけでなく心筋梗塞や脳卒中も増える大きな理由は寒さから来る脱水です。

 冬に高度の高血圧や不整脈を起こして救急搬送された患者さんが、点滴するだけで改善することは珍しくありません。点滴とはほぼ塩水です。水と塩を補うことで循環血液量が回復し、身体は頑張って血圧を上げる必要がなくなったのです。

 昔から、寒い地域ほど多くの塩を摂取する風習がありました。それは身体に水分を保つために理に適ったことなのです。

 塩分で高血圧になる、というのは第一に塩の質が良くないからです。戦後に普及した塩化ナトリウムばかりの精製塩(食塩)は有害です。

 血圧を下げるミネラルであるカリウムやマグネシウムなどの多様なミネラルを含む伝統海塩ならば、高血圧や動脈硬化の原因にはなりません。

③空気の水蒸気が減るから

 寒い環境では、尿以外の水の支出も増えています。それは呼気に含まれる水蒸気です。医学的には不感蒸泄と言います。

 寒いと空気が含む水蒸気量が減ります。湿度が下がるだけでなく、そもそも空気が含むことができる水蒸気量が気温によって大きく変わるのです。

 同じ湿度100%でも、20℃の空気は1立方メートルあたり17.3gの水蒸気を含みますが、10℃の空気はその約半分しか含みません。

 人間が1日に呼吸する空気の量はざっと

 1回0.5リットル×28,800回=14,400リットル=14.4立方メートル

 ですから、20℃湿度50%の空気を呼吸するヒトは1日に125gの水を取り入れていることになります。それに対し10℃湿度50%ではその半分ですから、空気から取り入れる水は1日でコップ1杯分ほど不足することになります。

 さらに水蒸気量の少ない冷えた空気を暖房で温めると、水蒸気量は増えませんから湿度が下がります。

 湿度が下がった空気を加湿するために、身体はさらに水を使用します。特に高齢者などで冬に救急搬送された人が、酷い脱水なことが珍しくありません

 乾燥に弱い気道の粘膜は、乾燥した空気が入ってくると体内から水を分泌して補います。つまり水の消費が増えるのです。

 脱水になると気道粘膜の繊毛の動きが悪くなってチリなどの異物を外に出すことが難しくなり、免疫細胞の機能も低下するので感染症にかかりやすく治りにくくなります。 

 対処法:水分・塩分を補う。

 まずは体内の水を補う必要があります。先に述べたように体内の水分量は塩分で調節されていますから、塩分も補わなくては尿が増えるだけです。

 ですから風邪を引かず、ひいても早く治るためには塩分を含んだ味噌汁や塩味のきいたスープが有効です。

 白湯を飲んで梅干しを食べるなどでも良いでしょう。

 一方、全くおすすめ出来ないのが砂糖や果糖ブドウ糖液糖の入ったジュース類です。スポーツドリンクを含みます。ポカリスエット500mlには角砂糖10個分ほどの砂糖(31g)が入っています。

 甘い飲料は血糖値の急激な上昇を起こします。すると人によっては尿が増え脱水を助長します。またインスリンが過剰分泌されて逆に低血糖を起こし、エネルギーが枯渇するとともに交感神経優位になって免疫力が低下してしまいます。

 また風邪を引いた時はカフェインを含む緑茶・紅茶やコーヒーもおすすめしません。尿が増えて脱水になりやすく、興奮作用でゆっくり眠ることを妨げるからです。

 カテキンなどの殺菌・抗ウイルス作用は飲む必要はないので、風邪の時は緑茶や紅茶は飲まずにうがいに用いると良いでしょう。

 加湿する

 体内の水分が十分にあれば鼻が吸気を加湿してくれますが、空気が加湿されていればそれだけ鼻は楽になります。

 暖房した部屋でタオルを干すと、数時間でカラカラになることも珍しくありません。コンピューター制御の加湿器をかければ、適切な湿度を保つために一晩でどのくらいタンクの水が必要か分かります。

 加湿し過ぎると、特に気温が下がった際に結露を起こし、カビの原因となります。加湿器は自然蒸発のタイプ(タオルや洗濯物を干すなど)か、もしくはコンピューター制御で湿度を調節できるタイプが良いでしょう。

 また汚い加湿器はカビ噴霧器と化していることがありますので、定期的なメンテナンスは欠かせません。

 ホテル等の加湿器でもカビカビなことがありますから使用する前にチェックしましょう。カビは風邪より厄介な過敏性肺臓炎などの病気を起こすことがあります。

風邪は引くもの、冬に風邪が増えるのは誰のせいでもない

 以上、冬に風邪が増える理由とその対処法についてお伝えしました。

 冬に風邪が増えるのは自然なことであり、誰のせいでもありません。マスクしようが自粛しようが、太陽が傾く限り冬には風邪が増えます。

 そして風邪は引くもの、引くのは自分です。誰からうつったかなんて証明できず、考えるだけ無駄です。(インフルエンザの発症者2000万人で考えてもらえばわかるでしょう)

 ウイルスは多かれ少なかれ社会生活を営む全員が暴露しています。その中で免疫力が低下している人が発症します。

 身体の弱った人は風邪から肺炎などの合併症を起こし、中には死ぬ人もいます。

 それも自然の摂理です。この冬始まったことではなく、人類の歴史以来ずっと続いていることです。(風邪を人のせいにして社会生活を妨げるようになったのが新しいだけです)

 もし風邪を引きたくない、引いたとしても早く治りたいなら、できることは自分の生活の中にありますそれはマスクや自粛ではなく、免疫力を高めることです。

 特に軽症の風邪の患者に対して、医者にできることはほとんどありません。熱さまし・咳止め・鼻水止めなどのクスリは受診した患者を納得させるために処方するだけで、実はほぼ逆効果です。

 どうか、恐怖を煽り間違った「対策」という名目で免疫力と人生の喜びを低下させるマスク・自粛・〇〇チンなどのウソに騙されませんように。

 生活の中でできることを取り入れて、元気に冬を乗り切っていただければ幸いです^^

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