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究明する会ニュース219号要約

<人骨発見35周年企画【一】 人骨はやはり七三一部隊の標本か!元少年隊員が頭を断ち割った標本を見たと証言> 川村一之
1945年4月に731部隊の少年隊員として入隊した清水英男さん(飯田市在住・93歳)が、標本室で人為的に切断された頭部標本を見たと証言された。
似通った「頭部標本」が陸軍軍医学校跡地で発見された人骨にもあることを思い出し、筆者が清水さんに連絡を取った。
 『戸山人骨の鑑定報告書』を書いた佐倉朔札幌学院大学教授(当時)は、当時、731部隊による人体実験との関連は見出されなかったと報告したが、感染症の実験に供された内臓標本などがなかったといっただけである。
 元陸軍軍医学校教官の上田篤次郎氏は、新宿区医師会会誌に、「戸山人骨発掘問題」という一文を寄せ、731部隊から送られた標本である可能性を示唆している。
 新宿区の鑑定結果公表後の厚生省・厚労省調査では、陸軍軍医学校関係者への聴き取りやアンケート調査は行っているが、731部隊関係者には行っていない。これは厚労省の怠慢である。
 改めて清水さんはじめ関係者への聴き取りを実施すべきである。清水さんとの連絡にあたって、731ネットワークの五井さんのご協力に感謝する。
<「731部隊の4つの細菌戦」講演録2> 奈須重雄・根岸恵子
講演者 731部隊・細菌戦資料センター共同代表・奈須 重雄さん
・浙贛
 1942年4月、空母ホーネットから発進した爆撃機が、東京。神戸などを爆撃し、中国の飛行場に向かった。一機はソ連に向かい、他は中国の浙江省の飛行場に向かうが、燃料切れで墜落するものもあった。
 翌月、これを受けて浙江省や江西省の飛行場をつぶす目的で、浙贛作戦が行われ、撤収後の8月に細菌戦が行われた。廣信、廣豊、玉山などでペストを撒いた。かなりの被害が出ていると思うが、全体像はわからない。衢州、麗水ではチフスとペスト。江山と常山ではコレラ。
・まとめ
 細菌戦は兵器開発の実験段階で、農安、農安大賚では疫学的、病理学的、効果データの蒐集、次に中国の重要地域の効果データの蒐集が目的だった。その過程で多くの中国人が被害に見舞われた。
<金子順一の「細菌戦理論」考察―奈須重雄さんの報告を受けてのコメント―> 川村一之
奈須さんが発見した金子順一論文は8本あるが、1943年の第3論文「PXノ効果略算法」(防疫研究報告 第1部第60号,昭和18年)を考察する。
 金子論文は、石井四郎の「特殊戦原則」(論文未発見)という細菌戦理論に基づく。石井によると細菌兵器を使用する最適条件は、第一に流行しやすい地域か、第二に細菌の種類、第三に病原体の毒力、第四に目標地域の防疫体制、第五に細菌の撒布方法。これを踏まえて、北米大陸で空中撒布によって細菌攻撃をする理論的基礎を策定していた。この論文が1943年12月、翌年の4月には新潟県の信濃川の中州で、細菌撒布方法の実験をしていた。そして11月に風船爆弾を飛ばしている。ただし、実際に風船爆弾による細菌攻撃は、米国の報復を恐れた昭和天皇や東条内閣の反対により、実施されなかった。
 「PXノ効果略算法」では、過去の細菌撒布の実際が「既往作戦」として記述されている。その記録をもとに、全感染者数を一次感染者数で割った「流行係数」なる数値を根拠にして細菌戦の効果を過大に評価している。
 戦後、金子順一は、これらの論文を東京大学に提出して医学博士号を授与されている。驚くべきことだ。
<惜別>
 昨年7月24日、森村誠一さんご逝去。
<2024年お花見ウォーク 新宿の空襲と戸山の陸軍諸学校>
日時 3月31日(日)午後1時
集合 東京メトロ早稲田駅3a出口
資料代 500円
連絡先 08066022913(鳥居) jinkotsu731@yahoo.co.jp
<備忘録>
2023年12月4日 野村説さん(杉並区議)wamと高麗博物館の見学会。その間の戦跡を鳥居が案内
12月15日 早稲田大学教育学部社会教育法の特別授業で川村が講義
2024年1月17日 731ネットワーク主催オンライン学習会で、昨年7月の奈須講演放映
2月4日 フィールドワーク会議開催
人骨発見35周年は7月20日(土)、早稲田奉仕園リバティホールで開催予定

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