究明する会ニュース215号要約

<人骨問題の真相究明へDNAのゲノム解析を厚労省に要望> 川村一之
・DNAのゲノム解析は真相究明に欠かせない
 3月22日、厚労省の共用第4会議室で2時から話し合い。人骨の会からは奈須重雄、根岸恵子、大谷猛夫、五井信治、鳥居靖、川村一之の6名、厚労省側は大臣官房厚生科学課の秋山敦課長補佐。今回はDNAのゲノム解析の有効性を説明することと、国立感染症研究所と国立国際医療研究センターの統合が人骨問題にどう影響するかを問うことが主な目的。
・軍医学校関係者への聴き取り記録の公開は前進
 戸山人骨関連文書のリストと「人骨の由来調査」記録の情報公開に関して、コロナ禍で凍結状態だったものが動き始めるとの報告があった。
・ノーベル賞を受賞したペーボ教授の研究資料を提供
 ドイツマックスプランク進化人類学研究所のスパンテ・ペーボ教授は、ネアンデルタール人と現生人類の関係をDNAの解析で明らかにした。ペーボ教授の資料を渡して、人骨調査への応用を訴えた。
・300年前の人骨がゲノム解析でイタリア人宣教師と特定された
 文京区の切支丹屋敷で発見された3体の人骨について、ミトコンドリアDNAと核DNAの解析を行い、1体は江戸時代にイタリアから渡ってきた宣教師・ジョバンニ・バチスタ・シドッチのもの、2体はその世話をした日本人のものであることが分かった。この方法は、戸山人骨にも応用できるのではないか。とりわけ1体のコーカソイド系人骨の由来解明に役立つ可能性がある。
・人骨問題は今後も国が対応と明言 -懸念される感染研の新法移行に厚生科学課 秋山課長補佐が答弁
 秋山氏から、感染症の基礎研究を行う国立感染症研究所と、臨床研究を行う国立国際医療研究センターを統合し、「国立健康危機管理研究機構」を設立するという法案の説明を聞く。
 この計画の問題点も指摘したが、人骨問題に関しては引き続き国が責任をもって対応するとのこと。ただし、懸念はある。
・人骨問題は今後も厚生科学課で対応するよう求める
 人骨保管施設は厚生労働省の国有として維持されるのか。新法人に移譲されるとしたら窓口は健康局感染症対策部に移るのか。同部では、中国との対応、財務省や防衛相との連携が取れるのか。また、移譲に伴って資料の廃棄などが起こらないか。
 窓口は今まで通り、厚生科学課とすることを要望した。
(2023年3月25日記)
<雨中のお花見ウォーク 敢然と決行、無事終了す> 鳥居靖
 3月26日(日)午後、恒例のお花見ウォーク開催。参加者27名。詳細は次号以降で。また、案内人長谷川順一さんのブログ「葵から菊へ」にも報告が掲載されている。
<アンケート結果報告> 内容省略
<追悼 金田誠一さん> 川村一之
金田誠一さんが、2023年3月10日に逝去。金田さんは、1993年から5期衆議院議員を務め、2000年3月の人骨問題に関する国会質問、その後、厚労省の人骨由来調査の公表と人骨の保管につながった。謹んでご冥福を祈る。
(2023年3月25日記)
<旧若松住宅未調査地区の発掘調査はあるか -陸軍軍医学校跡地のさらなる調査の可能性を探る> 川村一之(2023年3月25日記)
 立件民主党と維新の会が今年(2023年)2月7日、新宿戸山の旧若松住宅を視察した。同地は陸軍軍医学校跡地で、2012年に所有者の財務省が発掘調査を行い、人骨は出土しなかったが大量の軍医学校の遺物が発見された。
・衆議院予算委員会で質疑―建物の解体撤去は早急に対応 財務省答弁
 今回の視察は、国有地の売却を進める立場からの調査で、凍結状態にあった若松住宅の解体撤去が始まろうとしている。
・新宿区議会でも質疑―河野議員、「発掘調査を行うよう国に要望せよ」
 跡地は完全に調査を終えていない。区議会で河野議員は「戦争遺跡として埋蔵調査を行うように国に求めるよう」要望した。
・瑕疵物件の懸念を払しょくする必要―建物の解体撤去後に発掘調査が課題に
 財務省理財局次長は「建物の解体撤去について速やかに検討」と答弁している。瑕疵物件の懸念を払しょくするために建物周辺の発掘調査も議題になる。
<笹の墓標展示館 巡回展の感想文(一)> 2022年11月20日 島村英子
 はじめに笹の墓標に触れたのは竹内さんのヒロシマ連続講座通信(No252)。
・遺骨は叫ぶ
 北海道・雨竜ダム 未発掘の遺体…人骨の会と同じ課題ではないか。
実は私はwam「女たちの戦争と平和資料館」でもボランティアをしている。wamの活動が毎日新聞で紹介されると、今までとは違う高齢の参加者が増えた。その中に「徴用工は嘘、慰安婦問題も吉田証言による捏造」という人が来た。「徴用工でしたらご自分で確かめて」と、笹の墓標展巡回展のチラシをお渡しした。
また、在日の院生の方が見えて、「来週15人くらいで来ます」。その方と10月7日、大雨の中巡回展で偶然顔を合わせた。帰りは築地でマグロを買って早々に切り上げた。
(続く)
<人骨発見34周年集会「731部隊の4つの細菌戦」>
講演:奈須重雄さん(NPO法人731部隊・細菌戦資料センター共同代表)
コメンテーター:川村一之(人骨の会代表)
日時 7月16日(日)午後2時(開場1時30分)~午後4時(30分程度延長可)
会場 戸山サンライズ2階中研修室
資料代 500円

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