見出し画像

究明する会ニュース221号要約

<人骨発見35周年企画(二)731部隊の関与を示唆した軍医学校関係者 アンケート調査の回答を検証する> 川村一之
 厚生労働省の「人骨の由来調査」(2001年6月14日)に記載されている旧陸軍軍医学校関係者への「郵送によるアンケート調査」の回答が開示された。旧陸軍軍医学校関係者293名へのアンケートが送付され、有効な回答は23通。
【人骨発見場所に関する記述】
 5名から回答があり、概ね実験動物の飼育場にあたるとの回答。
【標本類の保管場所に関する記述】
 歴史的な標本を保管している標本室以外に、(1)軍陣病理学教室5通、(2)八角講堂(臨床講堂)4通、(3)記念講堂1通、(4)防疫研究室の屋上3通と4か所に分かれている。
【標本の由来に関する記述】
 戦場に遺棄された敵兵と旧満州で処刑された「馬賊・匪賊」の遺体とする二つのルートが明らかにされた。
 
アンケート調査の結果、明らかになったのは軍医学校が標本とした戦死体の収集には二つのルートがあった。
一つは軍陣病理学教室が中心となって特殊班を編成して直接収集し、軍医学校の卒業生にも収集を依頼して集めていたということ。収集時期は日中戦争が本格化した1937年以降。収集した標本類は病理学教室の周辺に保管しきれず、八角講堂(臨牀講堂)や記念講堂にも置いていた。そして収集した戦死体とは中国兵だった。
もう一つは731部隊のルート。防疫研究室の屋上で保管されていた遺体は病理学教室で収集した戦死体とは異質である。遺体は満洲事変当時の関東軍によって処刑された「馬賊、匪賊」であるという。
 特に信憑性のある回答としては(NO・81)氏の「昭和●●年夏、ハルピンよりドラム缶のホルマリン漬の生首が届けられ、我々は使役でこの取り出しに参加しました。嘔吐をしたのを覚えています。」という体験談。同様の証言は他に2件ある。
<中国から届いた手紙 ~731部隊犠牲者遺族が、黙っていない!~>
 731部隊犠牲者遺族・郭娜莉さん、郭曼麗さんからお手紙。このうち、人骨の会へのメッセージ部分を紹介。
<報告 「新宿と戦争」フィールドワークを終えて> 日本民主青年同盟新宿地区委員会 栗波嵩也
5月4日、同フィールドワーク実施。鳥居の案内で14名が参加。老若男女、地域からの参加が多く、「かつてここは」という豆知識がガイドの話とも相まって盛り上がった。かつての軍事施設の遺跡はところどころに残る。戦争と地続きの場所に私たちは生きているし、「次の戦争」に続いているかもしれない。このことを常に頭の隅において日々の生活を生きていきたい。
<投稿 2024年5月24日 「新宿の空襲と戸山の陸軍諸学校」フィールドワークに参加して> 松岡博子
 竹内良男さん主催の「ヒロシマ連続講座」で開催。参加者6人。案内は鳥居。
ドーリットル空襲を受けた早稲田中学・高校、5月26日の山手空襲を受けた早稲田大學理工学研究所、感通寺などには追悼の碑や観音像がある。
陸軍軍医学校門衛所跡には人骨発見後に文字が書き換えられた石柱、地下道入り口跡の残る石垣、その石垣からは馬を繋ぐためとみられる鉄の環を見て、石垣の向かいにある身障者総合福祉センター内で、人骨問題の解説を聞く。前頭骨で62体の遺骨について、佐倉鑑定から厚労省の調査に至る過程、今後の会の目標はあくまで遺骨の変化であることなどを聴く。
納骨施設と天皇行幸記念碑見学の後、防疫研究室跡へ。その後、陸軍戸山学校跡、陸軍砲工学校跡、東京第一陸軍病院(戦後は国立第一病院)跡を訪ね、フィールドワークを終える。
<書籍紹介>
 暗闇の後で 豪州ラブデー収容所の日本人医師 
著者 クリスティン・パイパー 訳者 北條正司
・あらすじ
 主人公は陸軍軍医学校防疫研究室で、機密下の研究に関わるうちに精神を蝕まれ、妻とも別れて職場も辞す。すべてを失った主人公は豪州ブルームで、真珠ダイバーたちのために作られた日本人病院の医師になる。真珠湾攻撃の後、敵性外国人として収容所に送られる。そこで直面した様々な人間模様は、彼の過去も未来も変えていく…
<書評 リチャード・フラナガン 「奥の細道」について> 門前教三
 2014年の英国フッカー賞受賞作品。作家はオーストラリアの出身。泰緬鉄道建設に使役・虐待される豪軍捕虜。虐待に加わった日本軍や監視員あっちは、戦後戦犯として死刑になったり、身を隠してうまく生き延びたり、様々な戦後があった。その中には、日本ブラッドバンクに就職したり、九大で米軍捕虜の人体実験に研修医として加わったものなどがいた…。
 パイパー氏の「暗闇の後で」と同じ時期に同じような設定の作品がつくられ、いずれもそれぞれが活動する国で高い評価を得ている。豪州の戦後生まれ世代の二人の小説家が、どこで731部隊と遭遇したのだろうか。
<【人骨発見35周年】731部隊 94歳の証言>
証言 清水英男さん 元731部隊少年隊(94才・地元からオンライン参加)
報告:川村一之(人骨の会代表)
人骨は731部隊の標本類か?!~開示された軍医学校関係者の記録を読み解く~
日時 7月20日(土)午後2時~4時30分(開場午後1時30分)
会場 早稲田奉仕園リバティホール
東京メトロ早稲田駅徒歩5分・西早稲田駅徒歩8分
資料代 500円
<対談 8・17戦後79年特別企画 クリスティン・パイパー × 川村一之 731部隊を語る>
期日 8月17日(土)13:30~16:00頃(開場13:15)
会場 武蔵野商工会館4階ゼロワンホール(当日先着80名) 吉祥寺駅徒歩5分
対談 クリスティン・パイパー(『暗闇の後で 豪州ラブデー収容所の日本人医師』著者)
川村一之(『731部隊 1931-1940 細菌戦への道程』著者)
挨 拶 北條正司(『暗闇の後で…』翻訳者・高知大学名誉教授・理学博士)
参加費 500円

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?