【減税が自然】貯金したお金はどこに行くのか?
今回は「貯金」について、経済学部出身の視点で論じてみます。
これ、ここ30年の先進国における貯蓄率の変化です。
イタリア人、昔はよく貯金していたんですねぇ〜。今はすっかり貯蓄率の低い国で知られています。イタリア人の75%は貯蓄額が5,000ユーロ(約60万円)に満たないのだとか。
日本人の「貯金信仰」は1980年代がピーク。バブル経済が崩壊してから、貯蓄率は下がる一方です。
かつて貯金好きだったイタリア・日本人ですが、現在はドイツ・フランス・アメリカ人の方が貯金しています。
イギリス人は最も貯蓄が無いけど大丈夫か?!と心配になりますが、実は新型コロナウイルスのパンデミック初期にイギリスの貯蓄率は急上昇し、その後も高水準を維持しています。英国立統計局(ONS)によると、2024年1~3月期の貯蓄率は11.1%で、2010年以来の高水準です。パンデミック初期には27.4に急上昇しましたし。コロナ禍で国民のお金が増えたのです。
日本に話を戻すと、家庭全体で保有する金融資産は2017年12月時点で、1880兆円。そのうち、いわゆる貯金(=現預金)は、961兆円で、あとは株・投資信託・保険などです。
日本人の金融資産も、第2次安倍政権が実施した経済政策(通称アベノミクス)を転換点に伸びており、2024年6月末時点の家計の金融資産は前年同期比で4.6%増えて2212兆円。6四半期連続で過去最高を更新中です。株高や円安が進み、家計の金融資産残高を押し上げました。
この貯金ってどこに行っているの? と問うと、どう答えるでしょうか? 銀行にあるんじゃないの? と思ってらっしゃるでしょうか。
ざっくりした結論を言うと、高齢者の社会保障にまわっています。
高齢者(60歳以上)は日本人の貯蓄全体の6割を占めるほど、貯金のある世代ですが、この貯金はこういう流れで、まわりまわっていきます。
自分(貯金)−>銀行(国債)−>政府(社会保障などの支出)−>自分
日本政府の借金は1000兆円以上あり(2023年度末で1,068兆円)、国民ひとりあたり800万円以上の借金があるとされています。
借金で大変だと言われつつ、何事も無く時は過ぎていますが、実際、現時点では何も大変ではありません。
なぜ巨額の借金があるのに大変じゃないのか?
それは
「この借金、誰が誰に貸しているのか?」
を明確にすると本質が見えてきます。
「われわれ国民」が「政府」に、1000兆円以上を貸しているのです。
つまり、国民ひとりあたり800万円以上の「貸し」がある。
正確には、日本国債の保有者が貸し手。
で、貸し手の多くは銀行など金融機関です。その金融機関にお金を預けているのが、個人・法人です。
金融機関は国民から預かっている預貯金をもとに国債を購入しています。つまりに日本政府にお金を貸しているのです。
となると、実質国民ひとりが政府に800万円貸していると考えられます。国民ひとりが800万円の借金を背負っているわけではありません。
800万円以上の借金があるのと、800万円以上のお金を貸しているのとでは、「話しが逆」ですよね。
こうやって誤解させるような発信をマスコミや政治家・専門家などを介して続けたため、「財務省(旧・大蔵省)」は各方面で信用を失っているのです。
国民が銀行に預けたお金の多くは、政府に貸し出されます。銀行が日本国債を購入するからです。
政府は、国民の皆様から借りたお金を使って、社会保障などをまかないます。つまり、また国民に還元しているわけです。
貯金とは、政府と国民との間で、ぐるぐるお金を回しあうシステムになっているわけですね。
だから、政府の借金って何も問題無いんですよ。
日本人の貯蓄 > 日本政府の借金
のうちはです。
<2023年末の数字>
個人の金融資産2141兆円 > 政府の借金1,068兆円
この個人の金融資産に加えて、さらに法人の金融資産もあるのですから、まだまだ全然大丈夫です。
*2023年9月末の民間企業(金融機関除く)の保有金融資産残高が1449兆円で過去最高。
もし問題になるとしたら、日本人(個人+法人)の貯金が急激に減少した場合です。そうすると、日本人は日本政府にお金を貸せなくなります。
そして日本政府が「外国政府からの借金に依存したら」危ない。我々が常識として思う借金に近い状態です。
でも、今の日本政府の借金は、国民の貯金との間で、ぐるぐるお金をまわしあっているだけなので、全く問題ありません。
むしろ日本国民としては、日本政府にお金の一部返金を要求してもよいでしょう。800万円全部返せとまでは言いませんが、1割の80万円くらいよいのでは😆
減税要求が昨今の日本で徐々に増えているのは、自然なことです。
ただ21世紀になって日本人の貯蓄率が大幅に下がったことは、この政府と国民との間の「もたれ合い」の構造が、ほどけてきたとは言えるでしょう。
自分で何とかする「自助」の割合が増えていくのは間違いありません。
自分で何とかするというと、なんか「大変」なイメージもあるかもしれませんが、
「いったん政府にお金を預けて、政府にうまくやってもらうか」、
それとも
「政府にお金を預けず、自分(達)でうまくやるか」
この違いだけです。
日本のように「インフラの整った国」であれば、後者の割合が増えていくのは、ごく自然な流れではないでしょうか。
だからこそ、やはり減税要求が昨今の日本で徐々に増えているのは、自然なことと思います。
戦後の焼け野原の時代は、「いったん政府にお金を預けて、政府にうまくやってもらう」ことが重要でした。なぜなら、国民全体で利用するインフラが整っていないから。個人よりも、全体を整えることが重要でした。
でももう、全体のことは、だいぶ整ったじゃないですか。
これからは、政府では整え切れない細かいところを、個人や集団が、自分たちの目線で整えていく時代なのだと思いますね。
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