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みんなの熱い想いとともに、ペレニアルづくしのワークショップが始まりました!【前編】

 9月から都立神代植物公園でスタートした「JINDAIペレニアルガーデンプロジェクト」。その最初の取組みとしてワークショップが立ち上がった経緯と、第1回目のワークショップ当日の様子を前編・後編にわけてお送りします。

東京パークガーデンアワード、2年目は神代植物公園が熱い!

 武蔵野の面影が残る都立神代植物公園。実は、東京都で最も古い植物公園で、約48万平方メートルの広大なエリアのなかに、約4800種類の草花が植えられています。この神代植物公園が今年の東京パークガーデンアワードの会場に決定し、その関連事業として公園内の宿根草園のリニューアルが行われることとなりました。

 東京パークガーデンアワードは「持続可能なロングライフ・ローメンテナンス」をテーマに、宿根草などを活用した新しい発想でつくる花壇デザインのコンテスト。第1回目は昨年8月より代々木公園にて行われ、草花やガーデンを愛する人たちの間で大いに話題となっています。

 神代植物公園の宿根草園のリニューアルは、専門家だけで完成させるのではなく、地域の市民の皆さんと一緒に形にしていくという方針に決定。これを総称して「JINDAIペレニアルガーデンプロジェクト」というプロジェクトが立ち上がり、その最初の取組みとして、全6回の「市民と共に考え、創るワークショップが行われることになったのです。

都立公園は今年開園150周年。ちなみに神代植物公園は1961(昭和36)年開園で、今年62年目!


倍率3倍以上の狭き門! 熱い想いをもった草花愛あふれる参加者

 定員30名の募集に対し、応募は100名以上! このプロジェクトへの関心の高さがうかがい知れます。

 9月14日(木)、神代植物公園にて第1回目のワークショップがスタート。

 テーブルにウェルカムの花のブーケが置かれ、いれたてのハーブティーとお菓子で参加者のみなさん緊張感を和らげます。参加者の皆さんは5つの班に分かれて座り、運営スタッフも班に加わって進行をサポート。ちなみにブーケは運営スタッフが管理している近くのガーデンから朝摘みしたもの。花好きな人たちの集まりだけに、テーブルにお花があるだけでやわらかな空気に変わります。

各テーブルに置かれたウエルカムブーケ



 まずは、それぞれの班ごとに自己紹介です。一人30秒の短い持ち時間ながら、このワークショップにかける、めいめいの熱い想いや強い意気込みを感じるものでした。班のメンバーの間でのガーデン愛や草花愛に触れ、その熱量を共有したあとは、お互い、まるで以前から知っていたかのように和やかな雰囲気に包まれました。

5つの班でそれぞれに自己紹介。一人30秒の持ち時間ながら、熱い想いがあふれていました。


“ワークショップ”は、未来のまちや自然のため

 このプロジェクトでは、タイトルに「講座」や「教室」ではなく、「ワークショップ」という言葉を使っています。

 それは、教える人と教わる人という、講座や教室のような関係ではなく、参加する人たちみんなが、一緒になって学び、考え、ワクワクしながら、思わず動きたくなる状態を目指しているためです。
 新しいペレニアルガーデンを創り出すには、その環境をつくることが大事であると考え、あえてワークショップ形式で開催することになりました。

 ワークショップはもともと、「作業場」や「仕事場」を意味する英語(Workshop)ですが、最近は「参加者の主体性を重視した体験型のグループ学習」という意味合いで使われることが多くなっています。今回は、得たことを受け身で終わらせず、自分の庭やベランダでの実践はもちろん、地域の花壇や草花にも生かしていけるように内容を組み立てました。

 参加した方は、将来何らかの形で地域のみどりを担うキーマンになるかもしれません。「ワークショップ」の先に、東京のみどりの大きな可能性も秘めつつ、ワークショップは始まりました。

6回のワークショップを通して、皆さんステップアップして行きましょう!


大小合わせたみどりのつながりが、地域の生き物たちの命をつないでいる

 この日のワークショップは前半を植物会館で行い、後半はリニューアル前の宿根草園に移動し、現状の様子を観察しました。

 まずは、木村智子さん(有限会社スマイルプラス)からの「まちづくりとガーデンの関係」についてのお話です。Googleマップの画像を使い、視点の高さを自在に変えながら、虫の視点、鳥の視点、宇宙からの視点それぞれの緑の見え方や、それらがどうつながっているのかについて理解を深めました。自宅の庭や公共の花壇など、私たちにはちょっとした緑であっても、小さな生き物にとっては、命を繋ぐ大事な場所。それらが大きな公園や緑地とつながっていることで、豊かな生態系の助けになっています。

 ガーデンの草花が生き物たちはもちろん、人にとっても大事な場所であり、それが環境を支える拠点となっていき、ワークショップによって生み出されるガーデンが、まちへ染み出し、なじんでいく…、「そんな過程を楽しんでください」と木村さんは、締めくくりました。

「今日がはじまり」 ガーデンとの対話からまちづくりがはじまる!


プロジェクト名の「JINDAI」はなぜアルファベットなの?

 続いては、谷村伴子さん(NPO法人GreenWorks) から「JINDAIペレニアルガーデン」と「ペレニアルガーデンについて」のお話です。今回のプロジェクトには「JINDAI」とアルファベットが使われていますが、これは地名にまつわる2つの漢字表記があり、それのどちらも含んだものであることがわかるようにという意味が込められています。ちなみに、もともとはすぐそばの由緒ある名刹、深大寺に由来し「深大」という漢字のみだったようですが、明治22年の町村制によって深大寺村をはじめとした8つの村が合併し、神代村が誕生。以降、「神代」の名称が使われるようになりました。「深大」と「神代」の2つの地名が混在したまま現在にいたっていることを谷村さんが説明すると、参加者からは「なるほど〜」という声があがっていました。

「深大」の後に「神代」の名称が生まれたんですね〜!


気候変動にも適応するみんなでつくるJINDAIのペレニアルガーデン

 さて、JINDAIの謎が解けたら、次はペレニアル。
 ペレニアル(Perennial)は、英語で「多年草」のこと。

 多年草は文字どおり、複数年にわたって生きる植物の総称で、同じ株から翌年以降も花を咲かせます。多年草と対比されるのは、一年草ですが、こちらはタネから成長し、子孫を残すまでのサイクルをわずか一年で行う植物。

 つまり、ペレニアルガーデンとは、「多年草のガーデン」ということになりますが、冬や夏に地上部が枯れて根だけが残る宿根草や、球根植物も多年草に含まれます。今回のプロジェクトで目指すペレニアルガーデンも、こうした多年草を軸に構成される予定です。ちなみに、多年草は水を求めて根をしっかり伸ばし、夏の暑さや冬の寒さに耐えられるため、一年草だけの花壇に比べて、メンテナンスの頻度や労力が少なくて済むという点でも、気候変動の続く、今の時代に求められている花壇の形といえそうです。

「ペレニアルって、とても言い難いので」と、谷村伴子さんは、この日のワークショップの説明用のパワーポイントをつくる際、何度も何度も「ペレニアル」を連呼して、口をならしてきたそうです(笑)。

●文責:小林渡(AISA)

後半へ続く

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