ごちゃ混ぜ原稿はもう嫌だ! ワイルドカードでハイフン&ダッシュを使い分ける!

どうも、『人文×社会』の中の人です。

今回は、Microsoft Wordのワイルドカード機能を使って、原稿中のハイフンやダッシュをきちんと使い分ける方法を考えてみたいと思います。

この方法でごちゃ混ぜ原稿から解放されると、ハイフン&ダッシュを使うのが楽しくなるかもしれません。

ごちゃ混ぜ原稿は意外に多い!?

まず、次のサンプル文をご覧ください。

一見何の問題もないように思えますが、実はダッシュを使うべき箇所で、ハイフンを使ったりダッシュを使ったりしています。

正しい表記法としては、以下の場合には、ハイフンではなく、ダッシュを使うべきです。(細かく言えば、ここでいうダッシュは「ENダッシュ」です)

(a)範囲を表す
 例:12–35頁,  1920–30年代
(b)区間を表す
 例:New York–London間の往復

じゃあ、ハイフンを全部ダッシュに置換しちゃえ、ということで、一括置換してみると、こうなります。

今度は、ハイフンを使うべき箇所がダッシュになってしまいました。

正しい表記法によれば、以下の場合にはハイフンを使うべきです。

(a)人名のファーストネームとミドルネームをつなぐ
 例:Jean-Jacques Rousseau
(b)合成語のつなぎ目を表す
 例:home-made, check-out
(c)長い1語を行をまたいで表記する(ハイフネーション)
 例:After that, it became one of the univer-
   sities in the U.S.
(d)電話番号、住所、製品番号、URLなどを表す
 例:0120-XXX-XXX, 文京区本郷7-3-1
   A-31-514236, https://jinbunxshakai.org/01-001.pdf

これ、一度ごちゃ混ぜ原稿を書いてしまうと、もうどうしようもないのでしょうか?

ワイルドカードで一括置換しよう!

そんなことはありません。Microsoft Wordのワイルドカードを使えば、このごちゃ混ぜ状態から、きっちりハイフンとダッシュを使い分けた原稿に一括置換することができます。

その際、注目すべきポイントは、学術論文で使われるENダッシュの大半が、先に挙げた用法の中の「(a)範囲を表す」に該当するという点です。

範囲を表すならば、ダッシュの前後は数字になっているはずです。

というわけで、前後が数字になっているハイフンを検索して、ENダッシュに一括置換することを考えてみます。

その場合、ワイルドカードの使い方はこうです。

[0-9]がすべての半角数字を表しています。( )で括った部分がグループ化され、置換後の¥1,¥2にそれぞれ対応しています。もちろん「検索する文字列」にある「-」はハイフン、「置換後の文字列」にある「–」はENダッシュを入力しています。

これで「すべて置換」をクリックすると、先ほどのサンプル文は次のように一括置換されます。

きちんとハイフンとダッシュを使い分けた原稿になりました!

ただし、ハイフンを使う用法の中には、先ほども挙げたように、電話番号、住所、製品番号、URL等を表す場合があります。その場合には、ハイフンの前後が数字になっていることがあります。

上記の一括置換だとこうしたハイフンまでダッシュに置換されてしまうので、より工夫したワイルドカードの使い方にするか、手作業でチェックをするかしなければいけません。

入稿の前にぜひチェック!

こうした一括置換は、InDesignの「検索と置換」機能でも同じようにすることができます。

そのため、入稿後に「忘れていた―!」と気づいた場合には、ひとこと指摘していただければ、いちおう組版作業者の側で一括置換の作業ができます。(ちなみに、『人文×社会』ではなるべくこうした作業をしたくないので、ご指摘がないかぎり、そのままの状態で校正刷りを出しています)

しかし、逆に言えば、原稿を入稿する前にきちんとやっておけば、組版作業者の側でこうした作業はしなくて済みます。入稿前に余裕があれば、ぜひこうした一括置換を試してみてください。

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