脚注番号のスタイルは変えられる!?

どうも、『人文×社会』の中の人です。

今回は、「脚注番号のスタイル」についてご紹介していきたいと思います。

脚注番号といえば、上付き文字で「1」とか「i」とか表示される、というイメージがあります。しかし、技術的にはもっといろいろなスタイルに変更することができます。

Wordの脚注番号のスタイル

Microsoft Wordでは、本文中の脚注番号は以下のように表示されます。(文章の中身はテキトーです)

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上の例では、脚注番号は上付き文字のアラビア数字になっていますが、「脚注と文末脚注」パネルで、ローマ数字や漢数字、アルファベットに変更することもできます。

例えば、ローマ数字にすると、こんな感じです。

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脚注本体の方は、こういうふうになっています。(下図は脚注番号がアラビア数字の場合です)

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デフォルトの設定だと、脚注番号は上付き文字で、脚注テキストとの間に半角スペースが挿入されることになります。

脚注番号自体は、本文の脚注番号のスタイルに合わせて、ローマ数字や漢数字、アルファベットに変えることができます。

InDesignの脚注番号のスタイル

では、InDesignの場合はどうなるのでしょうか?

まずは本文の脚注番号の方を見てみましょう。

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上の例では、Wordと同じように、脚注番号は上付き文字のアラビア数字になっています。

InDesignの場合でも、脚注番号をローマ数字や漢数字、アルファベットに変えることができます。これは、「書式」→「脚注オプション」から呼び出したパネル(下図)で設定します。

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このパネル内の「スタイル」のプルダウンリスト(下図)を見ると、いろいろ選べるのが分かります。

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試しにアルファベットにしてみると、こんな感じです。

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さらに、InDesignであれば、Wordと違って、「上付き文字」という部分も変えることができます。

これについては、先ほどの「脚注オプション」パネルの「テキスト内での脚注参照番号」という項目で設定できます。

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上図では「位置」について、「上付き文字を適用」となっていますが、下付き、ルビ、標準(本文と同じ)を設定することができます。

試しにルビにしてみたのが以下の例です。

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横組みだとありがたみがよく分からないかもしれませんが、縦組みでは脚注番号をルビにすることがけっこうあります。

では、脚注本体の方はどうでしょうか?

『人文×社会』のテンプレートだと、以下のようになります。

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脚注番号と脚注テキストの間にemスペースと「ここまでインデント」という特殊文字を入れています。この特殊文字を入れることで、脚注テキストの2行目以降の字下げが1行目と合うようになります。

こうした設定は、やはり先ほどの「脚注オプション」パネルから設定することができます。

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「脚注フォーマット」の「分離記号」の項目に書かれている「^m」がemスペース、「^i」が「ここまでインデント」を意味します。

ちょっとした裏技として、分離記号に半角丸かっこを追加して、「)^m^t」とすると、こんなふうにすることもできます。

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ほかにも、脚注どうしの間隔や脚注の上に置かれる水平線のスタイルなど、細かな設定をすることができます。これについても、別の機会にご紹介できればと思います。

自分好みのスタイルを作ろう!

InDesignの脚注機能では、例えば以下のように自分好みの脚注番号のスタイルを作ることもできます。

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これは、先ほどの「脚注オプション」パネルで、脚注番号のプレフィックスとサフィックスを設定したものです。

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「プレフィックス / サフィックスを表示」のチェックボックスに印を入れて、「脚注参照」を選択し、プレフィックスとサフィックスを設定します。

プレフィックスは脚注番号の前に付ける文字、サフィックスは脚注番号の後に付ける文字を意味しますので、上図のようにプレフィックスに半角かっこの開始、サフィックスに半角かっこの終了を設定すると、先ほどの例のようにかっこ付きの脚注番号になります。

もちろんプレフィックスとサフィックスの片方だけを設定することも可能です。以下はプレフィックスにアスタリスク、サフィックスに何も指定しない例です。

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また、「プレフィックス / サフィックスを表示」の項目では、「脚注参照」のほかにも、「脚注文字列」「参照と文字列の両方」を選択できます。これらを選択すると、脚注本体の方の脚注番号のスタイルを変えることができます。

例えば、脚注本体の脚注番号の後ろにドットを入れたい場合は、「プレフィックス / サフィックスを表示」で、「脚注文字列」を選択し、サフィックスでドットを指定します。

そうすると、以下のようになります。

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ただし、本文中の脚注番号のプレフィックス / サフィックスと脚注本体の脚注番号のプレフィックス / サフィックスを別々に指定することはできないので、その点は工夫が必要です。

例えば、本文中の脚注番号はかっこ付きにして、脚注本体の脚注番号はドットをつけたいという場合、プレフィックス / サフィックスの設定では同時に指定することができません。

そういう場合のひとつの方法としては、前項の裏技を利用して、脚注本体の脚注番号の後ろのドットは、「脚注フォーマット」の「分離記号」で指定することができます。

その場合、「脚注オプション」のパネルは、こんな感じになります。

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脚注本体の脚注番号の後ろのドットを、分離記号「.^m^i」の中で指定しています。

こんなふうに、脚注番号のスタイルに関しては、Wordよりも自由に設定を変えることができます。

スタイル変更のネックとは

こうした脚注番号のスタイル変更には、限界があります。同じInDesignファイル内で、1通りしか脚注番号のスタイルを指定できないのです。

そのため、本編の脚注番号はアラビア数字で、付録の脚注番号はローマ数字にするといったことは、通常ではできません。

意外に思われるかもしれませんが、これは考えてみれば実は当たり前です。同一の書籍ないし雑誌内では、ふつう脚注番号のスタイルは統一されているからです。

したがって、学術誌に投稿する際には、どんなに脚注番号のスタイルが気に食わなくても、変更してもらうことはまずできません。

『人文×社会』はスタイルも自由!?

しかし、『人文×社会』の場合、言語は自由、横組み・縦組みどちらもOK!という方針を採っていますので、それに合わせて脚注番号のスタイルも柔軟に変更できるようにする必要がありました。

そこで、雑誌全体を一つのInDesignファイルで管理するのではなく、記事ごとにInDesignファイルを作成し、個別に発行したPDFをプログラムで自動統合することで、雑誌全体を作るという方法を採用しています。

そのため、記事ごとに脚注番号のスタイルをどれだけでも自由に変えることができます。本編と付録で脚注番号のスタイルを分けたいならば、そこも別ファイルにしてしまうことで解決できます。

もちろんこうした方針を採ると、雑誌全体の統一感が損なわれるおそれがあるのですが、その点よりも著者の表現へのこだわりを重視したいと考えた結果です。

たかが脚注番号かもしれませんが、細かな書式やレイアウトに敏感になることは悪いことではないと思います。

結び

『人文×社会』では、脚注番号のスタイルについては、特に指定がないかぎり、デフォルトの脚注番号のスタイルとして、上付き文字でアラビア数字を表示するスタイルにそろえています。

しかし、『人文×社会』の場合、上でご紹介したように、脚注番号のスタイルを自由に変更することも技術的に可能です。

もし「こんなふうにしてほしい!」という要望がありましたら、ぜひお気軽にご連絡いただければ幸いです。

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