J-STAGEで電子雑誌を公開しよう!~その1 申請編~

どうも、『人文×社会』の中の人です。

今回は、学術雑誌のオンラインプラットフォーム「J-STAGE」で電子雑誌を公開する方法について、3回にわたってご紹介していきたいと思います。

一見すると、『人文×社会』のように自分たちで作った雑誌をJ-STAGEに登録するのは、ものすごくハードルが高いように思えます。ですが、実はきちんとした手続きを踏めば、誰でも登録することができます。

J-STAGEとCiNiiはどこが違う?

学術雑誌のオンラインプラットフォームといえば、J-STAGEとCiNiiという二つのサービスを聞いたことがあると思います。ですが、この二つはいったい何が違うのでしょうか?

その違いは大きく分けて三つ挙げられます。

(1)運営主体の違い

J-STAGEは、文部科学省所管の独立行政法人である科学技術振興機構(JST)の事業です。

CiNiiは、国立情報学研究所(NII)の事業です。(ちなみに、CiNiiはCitation Information by NIIの略です)

(2)目的の違い

J-STAGEは、オープンアクセス推進のため、電子ジャーナルの公開ノウハウをもたない学会や協会に対して、無償でシステムとノウハウを提供することを目的としています。

CiNiiは、国内の学術書や学術論文を横断的に検索することができるデータベースを提供することを目的としています。

(3)機能の違い

J-STAGEは、それぞれの学会や協会が学術雑誌の書誌情報を登録し、電子化した誌面PDFをアップロードすることができるようになっています。これにより、J-STAGE上で学術雑誌が検索&閲覧可能になります。

CiNiiは、さまざまな機関が提供するデータベースを統合して、横断的に検索できるようになっています。この提供されるデータベースの中には、各大学が管理する機関レポジトリや、国立国会図書館が作成する「雑誌記事索引データベース」のほか、J-STAGEのデータベースも含まれています。

つまり、J-STAGEにデータ登載すれば、自動的にCiNiiでも検索可能になるのです。(ただし、CiNii Articlesのデータは週末に更新されるため、J-STAGEでデータ公開してもすぐには反映されません)

したがって、学会や協会の側では、CiNiiではなく、J-STAGEの方に登録をする必要があります。

(学術雑誌の書誌情報データ登載については、以前はJ-STAGEとCiNiiの二つが併存していましたが、2016年3月末にJ-STAGEに一本化されました)

J-STAGEに登録申請するには

では、J-STAGEに登録するにはどうすればいいのでしょうか。

詳しくは、J-STAGEのウェブサイト上にある「J-STAGEサービス利用申込方法」のページに書いてあるので、ここではざっくりと流れだけを説明したいと思います。

まずは、J-STAGEの審査を受ける必要があります。

審査というと、何か構えてしまうかもしれませんが、要は継続して学術雑誌を発行することができる体制が整っていればOKです。

審査に必要なのは、申請書類一式と見本誌です。

申請書類一式は、J-STAGEサービス利用申込ページにアップロードします。

見本誌は、J-STAGEセンターに郵送します。ただし、創刊予定の場合は不要です。(『人文×社会』も申請したのは創刊号発行前だったので、見本誌は提出していません)

これらをJ-STAGEセンターに提出したら、審査が終わるまで気長に待ちます。書類提出から審査完了まで、だいたい1~2カ月かかります。

『人文×社会』の場合は、下記のようなスケジュールでした。

3月2日 J-STAGEサービス利用の申し込み受付完了
4月7日 J-STAGEセンターから審査開始前の確認メール
5月13日 J-STAGEセンターから審査通過のメール
5月31日 J-STAGEセンターから編集登載システム準備完了のメール

実際に書誌情報や論文PDFを登録できるようになるのは、編集登載システムの準備が完了してからなので、全体で2~3カ月かかることになります。

登録申請での注意点

しかし、『人文×社会』の場合は、時間がかかった方の例だと思います。というのも、J-STAGEセンターでは、毎月末までの申し込みを翌月はじめに処理しているからです。

あと2日早く、2月中に申し込みをしていれば、審査終了までの期間を1カ月ほど短縮することができたかもしれません。

あともう一つの注意点として、審査に通過すると、ISSNを取得して、J-STAGEセンターに報告するように求められます

「ISSNって何だっけ?」という状態だと焦ってしまうので、事前にISSNとはどういうもので、どうすれば取得できるのかを調べておくことをおすすめします。

ISSN取得は、無料で簡単にできます。詳しい手順は、ISSN日本センターのウェブサイトに載っています。

『人文×社会』のような、オンライン公開のみをする電子雑誌の場合は、Online ISSNというものを取得します。

ISSNの方は、申し込みから1週間程度でISSN番号の割当てがメールで通知されます。(公式には「1週間程度」となっていますが、今回は翌日に通知が来ました。仕事がスピーディーでびっくりしました!)

ISSNを取得するタイミングは、J-STAGEセンターの審査を通過する前でも後でもどちらでも問題ないですが、できれば早めに取得しておいた方が安心です。

なお、雑誌名や発行主体など、ISSN取得の際に登録する情報は、J-STAGEセンターに登録した情報と一致するように注意してください。ここがズレていると、あとで修正する手間がかかります。

結び

以上、J-STAGE編集登載システム準備完了までの流れをざっくりと見てきました。ここまではJ-STAGEセンターの指示に従いながら申請していくだけなので、特別な知識や技術は全く必要ありません。

少し難しくなるのは、ここからです。J-STAGEに書誌情報をデータ登載して、誌面PDFをアップロードしなければいけません。このやり方については、次回と次々回の記事でご紹介していければと思います!

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