InDesignでヘブライ語の母音記号は表示できる!?

どうも、『人文×社会』の中の人です。

今回は、InDesignでヘブライ語の母音記号がうまく表示できるかを確認していきたいと思います。

ヘブライ語の母音記号は、文字の下に書かれるため、行間の設定によっては隠れてしまうことがあるかもしれません。今回は、特にこの点に注意して見ていきたいと思います。

ヘブライ語の母音記号とは

はじめに、今回の記事で前提となる点として、「ヘブライ語の母音記号とは何か」ということを確認しておきたいと思います。

ヘブライ語はアラビア語と同様、基本は子音を表すアルファベットのみで表記します。

例えば、「天」を表すヘブライ語は「シャーマイム(shāmayim)」と言いますが、表記するときにはשמיםと書きます。

שはsh、מはm、יはy、םはmを表しています。つまり、母音を抜かして、sh-m-y-mと綴っているわけです。そのため、読む場合には適宜母音を補って読まなければいけません。

しかし、聖書の本文のように、どの母音を補うのかはっきり示したい場合には、母音記号というものを文字の下につけます。(この母音記号は、「マソラ学者」と呼ばれる古代後期のユダヤ人聖書学者たちが発明した由緒正しいものです)

その場合、先ほどの「シャーマイム」であれば、שָׁמַיִםと表記します。שの下についているTみたいな記号がā、מの下についている横棒がa、יの下についている点がiを表しています。これでshāmayimという読みを示しているわけです。

こうした母音記号を一覧でまとめてみると、こんな感じです。

うむうむ、システマチックだな……と見ていたら、「あれっ?」と思われる方がいらっしゃると思います。

āとoの母音記号がかぶってるやん……。

そう、かぶっているんです(笑) ですが、ヘブライ語の単語は、アクセントの位置や音節の区切り方によって、長母音か短母音かを判別できるので、実質的に困る場合はほとんどありません。

InDesignではどう表示される?

では、こうした母音記号は、InDesignではどう表示されるのでしょうか。

以下のサンプル文をInDesignに読み込んでみたいと思います。

一つ目は「ルーアッハ・エローヒーム」、二つ目は「ペネー・テホーム」、三つ目は「メレヒ・ミツライーム」と読みます。ちなみに「深淵の面」の「面」は「おもて」です。

『人文×社会』のInDesignテンプレートに読み込むと、こうなります。

(ヘブライ語の部分が右→左に流れるようになっていなければ、「InDesignでヘブライ語とかアラビア語は扱える!? 右→左に流れるテキスト!」という記事でご紹介したように、「段落」パネルで「多言語対応段落コンポーザー」を設定してください)

上図を見ると、母音記号も含めて、ちゃんと読み込めていることが分かります。

しかし、日本語の部分とヘブライ語の部分のフォントサイズのバランスが悪く、字間も狭く感じます。そこで、ヘブライ語の部分だけフォントサイズを上げ、日本語の部分との間に小さいスペースを入れてみます。

すると、こんな感じになります。

おーっ、なかなかいい感じです。

ヘブライ語のフォントも変えてみよう

ついでに、ヘブライ語の部分のフォントも変えてみます。上図では「Times New Roman」になっていますが、Abobe Fontsで配布されている「Adobe Hebrew」というフォントにしてみたいと思います。

すると、こう変わります。

さすがヘブライ語専用のフォントなだけあって、子音字と母音記号のバランスがうまく調整されています。

先ほどのTimes New Romanの場合と並べて比較してみると、一目瞭然です。

Times New Romanの場合
Adobe Hebrewの場合

結び

以上ご紹介したように、InDesignではヘブライ語の母音記号もきれいに表示させることができます。フォントサイズや字間を調整すれば、和文と一緒に組んでも、バランスよく配置させられます。ヘブライ語を含む原稿であっても、どんとこいです。

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