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ドラマ「Shrink ~精神科医ヨワイ~」第1話

『グランドジャンプ』(集英社)で連載中の漫画「Shrink ~精神科医ヨワイ~」の原作を担当している七海仁です(漫画は月子さん)。

本日から放送開始された、ドラマ「Shrink ~精神科医ヨワイ~」第1話。ご覧になっていただけたでしょうか。

ドラマのお話をいただいたのは、約1年半前、2023年春のことでした。
実を言うと、当時ほかからもオファーを頂いている状況でした。

2019年に連載を開始し、精神医療という、とても繊細で複雑でだからこそ面白いテーマを追ってきて、「もっと多くの人に届いてほしい」「皆でもっと『心』の話が出来たら」と願いながらも、メディア化に関してはさまざまなハードルがあるだろうから難しいかな…とも思っていたので、お話を頂けただけでも本当にありがたかったです。

多くの方がおっしゃってくださっているように、確かに「3話は短いなぁ」などとも思いはしました。ですが、NHKの方々がドラマ(&関連番組)の制作を通して精神医療に真剣に取り組みたいと思っていらっしゃること、制作陣の皆さんが時間をかけて丁寧に良質なコンテンツを作りたいと望んでいらっしゃることが伝わってきて、悩んだ末、NHKのプロデューサーさんに「どうか『Shrink』をよろしくお願いします」とメールを書きました。

そこからたくさんの話し合いを重ねて、シナリオに関しても一緒に練らせていただく機会を頂いて、撮影に入った今年の春、まず第1話の撮影見学に伺いました。

(図々しく3回も撮影現場にお邪魔しているんです…ということで、各話放送の後にこうして見学時に見た風景についてお話していきたいと思っています)

月子さん、そして編集担当の山里さんと現場に着いてすぐ、目に入ったのがクリニックの看板。

もうそれだけで大興奮して、看板の前で月子さんと早速記念撮影しました笑。

そして中に入って驚いたのが…「ひだまりクリニック」の美しさです。

月子さんが作り上げてくださった、優しい、癒しの空間をかなり正確に再現していただけて、美術さんをはじめとするスタッフの皆さんの思いと技術の凄さに感動しました。原作でよく出て来る縁側部分は、なんと元ある建物にわざわざ増設して作ったそうで、驚きました。

「ひだまりクリニック」の縁側

診察室に入って、いよいよキャストの皆さんにご挨拶。緊張してカチカチの私達を見るなり、中村倫也さんがニッコリ笑って「ダメ出ししないでくださいねっ」と言ってくださって、茶目っ気たっぷりのそのトーンに一気に気持ちが解れるのを感じました。ちょうど弱井らしい髪の毛に整えようとしているところで「僕は髪の毛が伸びるのが速くて…」とおっしゃっていました。
土屋太鳳さんも優しい笑顔でご挨拶してくださって、その後も我々を見かけると「立ちっぱなしでごめんなさい」「もっとこうしてほしいとかありますか?」などと話しかけてくださいました。そのお気遣いや思いやりがとても嬉しかったです。

伺ったのがちょうどお昼時だったので、ケータリングのランチを皆さんと一緒に頂くことになりました。

ボリュームたっぷりのロコモコ丼

トレイを持って庭に出ると、満開の桜の下のあちこちで皆さん食事していて、それがすごく素敵な風景でした。しばし見惚れていたら、第1話のゲスト俳優である夏帆さんが「よかったら、ここどうぞ」と同じテーブルに誘ってくださって。お言葉に甘えてご一緒させていただき、楽しくおしゃべりさせていただきました。

食後には皆で集合写真を撮りました。真ん中の席を勧められて遠慮している私を、中村さんが「まぁまぁまぁ、まぁまぁまぁ!」と座りやすいように誘導してくださって。本当に、周りの空気を明るく和らげてくださる方だなぁと思いました。
土屋さんもその後お会いするたびいつも「(差し入れの)お団子美味しかったです!」「こんな素晴らしい世界を作ってくださりありがとうございます」などとお声をかけてくださって。スタッフの皆さんが「土屋さんがいるだけで皆すごく温かい気持ちになるんです」とおっしゃっている理由がよくわかりました。

ドラマ「Shrink」にご出演くださっているキャストの皆さんは、お世辞じゃなく、前から大好きな俳優さんばかりなんです。中村さんは「スーパーサラリーマン佐江内氏」の警官役の時から、土屋さんは「まれ」の頃から、素敵だなぁとずっと観てきた方たちで。夏帆さんも、日頃「夏帆さんが出演されているなら」とつい観てしまうくらいで。関わっていただけるだけでもとても幸運なのに、こうして本当に気さくに接してくださっていることが、ちょっと現実的じゃないというか、信じられない思いでした。

そして、ひとたびカメラが回れば、もう皆さん完全なプロフェッショナルの顔。細かくカットがかかるたび雑談などをされるのに、撮影が始まればまた一瞬でそれぞれの役に戻る。そういうお仕事とはいえ、現場で見る見事なスイッチの切り替わりに何度も驚かされました。

驚いたといえば、スタッフの皆さんにも。映像を普通に見聞きしているこちらには全然わからないレベルのノイズや光の加減を敏感に察知して、「今ちらっと動いたあれ、何?」「片付けてきます!(ダッシュ)」と一瞬一瞬にとても集中してお仕事されている様子がかっこよかったです。
そんな俳優さん達・スタッフさん達を観ていて「これは、すごいドラマが出来るんじゃないだろうか…?」と心が震えた1日でした。

そうして出来上がった第1話、テーマは「パニック症(パニック障害)」。
この名前をご存じである、耳にしたことがあるという方は多いと思います。
ドラマでもあった通り、「心が弱い」から罹るようなものではなく、交感神経と副交感神経のバランスが崩れて脳が誤作動を起こす疾患です。

同じテーマを取り上げた原作の第一話はとても短く、そのためドラマの第1話は全3話の中で一番オリジナル要素の強い内容となっています。ドラマならではの演出もこの回が一番多いかもしれません。

完成映像を観て、私はまず、映像の美しさ、キャストの皆さんの演技力に圧倒されました。柔らかい仕草や優しい口調で観る人まで癒す中村さんの「弱井幸之助」、親しみやすさや温かさで心を和ませてくれる土屋さんの「雨宮有里」、発作時の苦しさ・焦りや笑顔を取り戻していく回復の過程のリアリティーを感じさせる夏帆さんの「雪村葵」。そして全体を包み込むように流れる優しい空気と音楽。

気づくと、葵の苦しみが続くたび「弱井先生、早く来て助けてくれないかな」と思ったり、とぼけた雨宮が見られるとふっと気持ちが軽くなったり。すっかり一視聴者としてドラマに没入している自分がいました。そして第二話が待ち遠しくなりました。

皆さんはいかがだったでしょうか。是非「#ドラマShrink」などを付けてSNSででもご感想をお聞かせくださいね。

来週は第二話、テーマは「双極症(双極性障害)」です。
原作は連載の比較的初期に書いたものですが、個人的に今でもとても思い入れの強いエピソードです。ゲスト俳優の松浦慎一郎さんがどんな「玄」を演じてくださっているのか、是非今からご一緒に楽しみにしていただけたら嬉しいです。

9月7日(土)ドラマ「Shrink ~精神科医ヨワイ~」第2話
よる10時~10時49分 [総合]
午前9時25分~10時14分 [BSプレミアム4K]

よろしくお願いします。

おまけ。
撮影見学中に見つけた小ネタです。

「月子館の図鑑」に「七海館」「NANAMI」、「グランド出版」…!

こういうお気遣い、嬉しいものですね。

ではまた来週!

七海

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