自宅でできる心のケアについて
「グランドジャンプ」(集英社刊)で連載中のマンガ『Shrink ~精神科医ヨワイ~』の原作を担当している七海仁です。
長引く外出自粛や自宅勤務の中で「自宅でできる心のケア」の方法について、いつも取材などでご協力いただいている精神科医の阿部先生や心理士の先生方、また、接骨院のスタッフの方々などにお話を聞いて簡単にまとめました。
連日の過剰な報道や悲しいニュース、SNS上での諍いなどを吸収する状態が続くと、自覚している以上に心に負担がかかっているはずです。
「少ししんどいな」「疲れたな」と思ったらなるべく早めに&少しだけ積極的に気分転換・ストレスケアを行うことをオススメします。
「すでに知っている」「もうやっている」ということばかりかもしれませんが、「今は病院に行くのも不安…」という方もいると思いますので、ひとつでも参考になりそうなことがありましたらぜひ試してみてください。
(眠れない、食欲がない、気持ちが落ち込んでうまく動けない、イライラが収まらない、といった症状が長く続く場合は[オンライン診療をしている病院を含め]精神科への相談などを検討してみてもよいかと思います)
<毎日の習慣にしたいこと>
朝起きたらカーテンを開けて陽の光を取り込む
「疲れた」と感じたらすぐ休む
「~しなきゃ」と思ったらストップ。頑張りすぎない、無理しない
<ストレスや不安でこわばった心身をほぐす方法>
(副交感神経…精神を安定させ心身をリラックスモードにさせる
交感神経…気持ちを奮い立たせ血圧を上げ心身を「戦闘モード」にさせる)
心と体はつながっています。副交感神経を優位にさせる習慣を身につけましょう。
★ 入浴
寝る1時間前にぬるめのお湯(39度前後)で30分程度入浴する
入浴は「副交感神経を強制的に上げて心身をリラックスさせる」のにとても有効です。
布団に入る1時間前に入浴することで副交感神経を優位にしながら体温を一時的に上げ、布団に入った後に体温が下がるので入眠しやすくなります。
熱いお湯につかると交感神経が上がってしまうのでぬるめのお湯につかりましょう。
★ 運動
寝る4時間以上前に適度な運動(1日30分程度)をする
寝る直前に激しい運動をしてしまうと交感神経が優位になり中途覚醒(夜中に起きてしまったりすること)などの原因になることがあります。通勤をしている人はいつもの駅よりひとつ前で降りて歩くだけでもいいですし、在宅の方は小さな段差を作って踏み台昇降をしたり、基本的な筋トレをやるくらいでも十分です。YouTubeにある有酸素運動や筋トレ、ストレッチなどの動画を観ながらエクササイズするのもオススメです。
★ こわばった体をほぐす(肩のストレッチ)
ストレスを感じ続けたり同じ姿勢が続いたりすると、気づかないうちに肩が凝ってこわばっていることがあります。体の凝りからさらに体の不調(頭痛、めまいなど)が発生すると、さらに心が不安定になって…という悪循環になることも。
① 両肩に思いきり力を入れて上に持ち上げ、10秒固定してから思いきり下に落とす
肩に力んでいる状態をリセットする方法です。両肩を持ち上げる時は「耳につけるくらいの気持ち」で力を入れて、両肩を落とす時は「腕を地面に落っことそう」くらいのイメージで脱力します。(3回)
② 肩を回す。肩だけをぐるぐる回すのではなく、肩甲骨をくっつけては離すイメージ
大事なのは肩甲骨をしっかりと動かすことです(前に回転20回&後ろに回転20回)
① と②のセットを、1日数回好きなタイミングでやってみましょう。
<避けたほうがよいもの>
*カフェインの摂りすぎ
*寝る直前のテレビ、スマホ、ゲーム、激しい運動など
いずれも交感神経を優位にして眠りを妨げます。
*過度な飲酒や喫煙
ストレス過多の状態で過度に摂取することで依存のリスクが増します。
*刺激がつよいニュース、SNS情報などを観続けること
「イライラする」「つらい」と感じたら一度テレビやネットを消して、本を読んだり、AmazonプライムやNetflixなどで「楽しい」と感じるコンテンツを観たり、友達と話したりしてリフレッシュしましょう。料理をする人でしたら料理もよい気分転換になるはずです。
<(パニック障害などで)パニック発作が起きそうだと思ったら>
*頭の中で「いーち、にーい…」とゆっくり数を数えて呼吸をする
吸うよりも吐くほうを意識。ろうそくを消すイメージで細く長く。
*7秒ほど息を止めて我慢してみる
副交感神経を優位にします。
*両手を上に向け、意識を両手に集中させてみる
※ 頓服薬などをお持ちの方は無理せず飲みましょう
※ パニック障害患者さん以外でも不安やストレスで動悸を感じたりした際に上記は有効です。
ストレス発散や気分転換の方法は趣味や好みによって人それぞれ効くものは異なると思います。色々試しながら自分に合うものを見つけて、習慣化できるといいですね。気分転換の「スイッチ」になるような好みの音楽や動画を選んでおくのもいいと思います。
ちなみに自分の場合、非日常な出来事で心にストレスがかかり続けているなと感じたらAmazonプライムで「サザエさん」の動画を流しながら仕事をしたり家事をしたりしています。
圧倒的な「日常」を描く「サザエさん」の優しい内容が、悲惨な非日常の出来事で疲れた心にうまくしみ込んでくる気がします。朝からニュースを観ていてつらくなったらすぐに消し、「サザエさん」を観ると楽になるんですよね。人間の脳って面白いですね。
長くなってしまい申し訳ありませんが、何かひとつでもご参考になれば嬉しいです。
『Shrink ~精神科医ヨワイ~』は現在1巻、2巻を発売中です。
また、5月7日(木)発売号の「グランドジャンプ」から連載再開を予定しています。よかったらぜひご一読ください。
ただ、こんな時期ですので読んでいて少しでも「つらい」「怖い」と思ったら無理しないでくださいね。逆に「癒される」「楽になる」と思ったらぜひ読んでやってください。
出口が見えない状況は閉塞感を感じることが多くつらいですが、そう感じているのは決してひとりだけではありません。そして何をするにもまず大切なのは自分の心と体のケアだと思います。自分を大切にしながらできることから協力し合って、何とかこの困難を一緒に乗り越えていきましょう。
七海
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