純損失を3年繰り越せる
開業届の提出と同時に申請することをおススメしたいのが「所得税の青色申告承認申請書」です。
通称「青色申告」と呼ばれるものですが、複式簿記による帳簿付けと書類の保管を行う代わりに、4つの特例を受けることができます。
①青色申告特別控除
基礎控除額が55万円。電子帳簿保存又はe-Taxによる電子申告を行っている場合は、65万円の青色申告特別控除が受けられる。
②青色事業専従者給与
青色申告をしている人と生計を同じくしている配偶者や親族で、その事業に専ら従事している人に支払った給与を必要経費に算入することができる。
※細かい条件等有
③貸倒引当金
事業所得を生ずべき事業を営む青色申告者で、その事業の遂行上生じた売掛金、貸付金などの貸金の貸倒れによる損失の見込額として、年末における貸金の帳簿価額の合計額の5.5%以下の金額を貸倒引当金勘定へ繰り入れたときは、その金額を必要経費として認められる。
④純損失の繰越しと繰戻し
事業所得などに損失(赤字)の金額がある場合で、損益通算の規定を適用してもなお控除しきれない部分の金額(純損失の金額)が生じたときには、その損失額を翌年以後3年間にわたって繰り越して、各年分の所得金額から控除することができる。また、前年も青色申告をしている場合は、純損失の繰越しに代えて、その損失額を生じた年の前年に繰り戻して、前年分の所得税の還付を受けることもできる。
②と③に関しては、該当するケースが非常に少ないと思います。
①に関しては、すぐにでもe-Taxでの申請に切り替えることをおススメします。基礎控除の10万円は大きいでしょう。
今回、テーマにしたいのは④の純損失を3年繰り越せることです。
純損失を3年繰り越せる
純損失の繰越とは、事業で損失(赤字)となった場合、その金額を翌年以降最長3年間繰り越して計上できることをいいます。仮に翌年、黒字化したとしても前年の赤字分を差し引くことが出来るのです。
私も開業届をどのタイミングで提出するか迷っていた時に、赤字になる可能性があると予測を立てていたため、この純損失を3年繰越できる特例はメリットだと思い早急に提出することにしました。
結果としては、プラスとなり65万円の控除の範囲内で収まりましたが…。
税務署に話を聞きに行った人の話だと「赤字申告は手続きが面倒だからやらない方が良いと言われた」らしいのですが、調べて見ても「手続きが面倒」という情報が一切入ってきません。むしろ、赤字が出たならやるべきだ!と推奨している人が多い印象です。
お役所や健康保険関係でこういうパターンで返してくるケースが多い印象ですね。本当は出来るのに、「該当しない」とか「面倒だからやめた方がいい」の一点張りで対応してくれないケース…
純損失を計上・繰り越す際の注意点。
赤字申告をする訳ですから、経営状態が良くないという判断になり、銀行からの融資が受けにくくなる可能性があります。
例えば、事業を拡大したいとか設備投資を行いたいときに、銀行からの融資を受けられない可能性も否定は出来ませんので、そこは注意したいところです。
もし、純損失を計上してしまったとしても、繰越を続けないために翌年利益が出るような経営計画を立てることが重要になります。
これは、とても大切ですよ。
節税対策の為に、赤字ありきな行動をするのは、それは商売ではありませんからね。