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夢に向かって

Part 1:人生百年時代だってよ

「あなたは大器晩成型ねぇ」と知人に占いの本だったかを見せられたのが、20代の頃だった。同じ頃、当時勤めていた職場の社長に「女難の相が出てるよ」と言われたのも、この頃だった。ついでに言うと、会社の近所のお寺の住職が私の顔を見て突然、「あっ!」と、(背後霊でも見えたのか)大きな声でとても驚いた顔をして、一瞬、固まったかと思うと「ハァー」と、ため息をつかれたのも、会社の隣のアパートに住んでいた、オカマBARのマスターに、「可愛い顔して、一度お店に遊びにいらっしゃい」と、気持ち悪い顔でウインクされたのも、この頃だった。今振り返ってみると、あっという間に時間が過ぎて行った。広大な土地を耕して、畑に種をまき、水をやり、実がなるを待っている。壮大な農場を思い浮かべながら、ただひたすら・・・

私は列車の車窓から地平線に広がる草原を眺めながら、潜在意識を書き換えている。もうすぐ辿り着く夢の世界の旅の始まりへ。

「乗車券を拝見します」

私は読みかけの小説のページをめくって、車掌に乗車券を手渡して尋ねた。

「何時に着く予定ですか?」

「もうすぐ長いトンネルに入りますので、そこを抜けたら、約10分で到着します。これが最後のトンネルです」

「最後のトンネルか・・・」

今まで何度も長いトンネルを抜けて来た。最後のトンネルを抜けた先には何が見えるだろうか?私が長年、夢にまで見た、あの景色が・・・

 今は何も意識せず、ただ自然に生きていく為に休養している。何にもしない。なんの達成感もない。すべての設定を解除して、窓の外の景色に飽きたら、ウトウトと昼寝をする。最後のトンネルを抜けるまで・・

2023年11月4日






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