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オランダで子どもと関わる仕事に携わる時に必ず求められるもの ー 「VOG(無犯罪証明書)」について

先日も書いたけれど、オランダの小学校でお昼休みの見守りスタッフを始めました。これはオランダ語で「Overblijfmedewerker」と呼ばれる仕事で、例えばこちらのサイトから応募することもできます。

私の場合は自分の子どもの小学校で働きたかったので、校長先生に直接問い合わせをしまして、多分人が足りてなかったんだと思う、「ぜひ、ぜひ」という感じですぐに話しは決まりました。

この仕事をするにあたって、資格は必要ないのだけれど、必ず提出を求められる書類があります。それが「Verklaring Omtrent het Gedrag(VOG」と呼ばれるもので、特に子どもに関わる職場で働くすべての人は職員、ボランティアなどの立場に関わらず、VOGの提出を法律で義務付けられています。

無犯罪証明書(VOG)とは?

無犯罪証明書(Verklaring Omtrent het Gedrag、VOG)とは、オランダの法務保護大臣が、申請者が職務の遂行に関連する犯罪で有罪判決を受けていないことを宣言する文書です。

VOGを申請する際に、職務カテゴリーを選ぶのですが、その職務カテゴリーに関連しての犯罪履歴のみが照会されます。今回の私の場合であれば、該当する「教育」カテゴリーにおいてのみ、私の犯歴の有無が照会されることになり、何も問題を起こしていなければVOGが発行されます。

これが具体的にどういうことかと言いますと、例として以下のような場合が上げられていました:

たとえば、飲酒運転で数回有罪判決を受けたタクシー運転手や、詐欺で有罪判決を受けた会計士には、証明書(VOG)が発行される可能性はほとんどありませんが、飲酒運転で有罪判決を受けた会計士には、証明書(VOG)を与えられる可能性があります。

要するには、犯した罪は、ある仕事では問題になるけれど、別の仕事では必ずしも問題にはならない(ケースバイケース)という事です。何がその職務に関連した犯罪で、何が関連しないのか線引きが難しい時もありそうですけど。。でも、基本的には「個人の権利」と「社会の利益」をバランスしようとしているフェアな仕組みに思えます。

どんな時にVOGが必要になるか?

まず、VOGの提出が必須の(義務付けられている)職種があります。

・教育現場で働くすべての人(初等/中等教育、中等職業教育、特殊教育)
・保育現場で働くすべての人
・タクシー運転手
・ドライビングインストラクターと自動車教習所の所有者
・機密情報を扱う職種(医師や弁護士など)
・脆弱な人達と携わる職種(例えばヘルスケアで)
・お金や貴重品を扱う職種(会計士や住宅ローンアドバイザーなど)
・政府機関で働く人

未成年がいる教育現場、保育現場などは基本的に2年に一度、このVOGの提出が義務化されているそうです。これがないとポジションに関わらず(例えば無給のボランティアだろうが)、働くことができません。

その他の場合、雇用主は従業員にVOGを要求するかどうかを自由に決定できるそうです。

VOG申請の流れと費用

まず、VOGの申請は、個人で申請を始めるのではなくて、VOGを要求する雇用主や組織側からの依頼によって手続きが開始されます。それを受けて、自分側でやる手続きは以下の通りです:

1.VOG発行の依頼を受け取った管理機関(法務省)から、当人宛に「▲▲(雇用主や組織)が●●の仕事を目的にあなたのVOGを求めているけれど、あなたはVOGを申請しますか?」といった内容の確認メールが送られます。

2.そのメールの中に申請フォームへのリンクと、申請用のコードが含まれていているので、飛んだ先のフォームで必要情報を入力し、最後にiDealなどで申請費用を支払います。

3.何も問題がなければ(職務に関連した犯罪歴がなければ)1〜4週間以内に当人の住所宛に郵便にてVOGが届きます。

4.届いたVOGを雇用主などに提出します。

と言う感じです。

申請費用はオンラインか郵送かで若干差があります:

VOGの申請費用:
・デジタル € 33.85-
・郵送   €41.35-

但し、非営利団体などでの仕事で必要とされる場合には、このVOG申請費は無料になることが多いようです。私の場合にも、一旦は自分で立て替えて、追って学校から同額を返金してもらえました。

以上、

オランダでVOGの提出を求められた方の参考になれば。

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