見出し画像

芋きんをめぐる冒険

先日、東京遠征のお土産として『芋きん』を買ったのですが、パッケージの裏面を見てふと気付いたことがありました。

本高砂屋? 新潟工場?

芋きんは浅草銘菓として知られていますが、神戸に拠点を置く会社が新潟で作っているとは知りませんでした。
それによって芋きんの美味しさや価値が損なわれるわけではないのですが、なぜそういうことになったのだろう? と気になり調べてみました。

きんつばつながり?

本高砂屋は神戸の老舗菓子店です。

本拠は神戸ですが、全国の百貨店・デパート等で取り扱いがあるので、全国区といった方がよいのかもしれません。
私が知らなかっただけで、結構有名なお店なんですかね…。

そんな本高砂屋の公式サイトに「関連グループ」というページがあり、そこに「浅草満願堂」が載っています。

詳細な歴史までは確認できなかったのですが、おそらくどこかのタイミングで浅草満願堂が本高砂屋の傘下に入ったのでしょう。
本高砂屋の創業は明治10年、浅草満願堂の創業は明治19年と、ともに長い歴史があります。

ちなみに、本高砂屋では和菓子・洋菓子両方の取り扱いがありますが、和菓子の代表作は『高砂きんつば』です。
芋きんはその名の通り芋のきんつばなので、「きんつば」という共通項でシナジーを狙ったのでしょうか。

新潟で作られる理由

本高砂屋は神戸だけでなく、新潟にも工場を持っています。
沿革を見ると「昭和62年:新潟工場新設。和菓子を中心に製造。」とあります。
新潟(魚沼)を選んだのは、よもぎ・米・水など和菓子づくりに欠かせない原料が揃っているから、とのことです。
また、今は工場だけでなく、『にいがた本高砂屋』というブランドで地場の食材を使用した菓子づくりにも取り組んでいます。

芋きんはその新潟工場で作られているのですが、そこには(神戸と比べて)東京との距離感が近いのに加えて、新潟という土地が和菓子づくりにおいて理想的な環境であることも理由のひとつとしてあるのではないでしょうか。

東京でしか食べられない芋きんもある

ここまで「芋きん」と称してきましたが、今回私が購入したのは厳密には『うす皮芋きん』という商品です。
こちらはお土産用として、日持ちするように作られています(賞味期限30日)。
一方で、「うす皮」ではない『芋きん』もあり、こちらは都内の店舗でしか買うことができません。
消費期限も24時間とかなり短いです。
購入して確認したわけではないですが、おそらく店舗でしか買えない=店舗(もしくは近隣の工場)で作られている、のはずです。

つまり、芋きんのすべてを新潟工場で作っているわけではなく、あくまでお土産用の日持ちするタイプだけがそこで作られているということです。
本高砂屋にも『うす皮高砂金鍔』という商品があるので、それを芋きんに応用したのかもしれません。

こうして調べていくと、次に東京に行く際には(うす皮ではない方の)『芋きん』を買わなくては、という気持ちになります。
また、神戸や新潟に行く機会はなかなかなさそうですが、もしあればその時は本高砂屋に必ず立ち寄らなくては、とも思います。

ふとした気づきからこうやって興味が広がっていくのも面白いですね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?