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①天使セラフィーナの授業『人間学』

プロローグ

天使大学に通うエリアルは、美しい翼を広げ、天上の学び舎で学ぶ天使でした。

ある日、彼女は特別な授業『人間学』を受講することになり、期待に胸を膨らませて教室に足を踏み入れました。

セラフィーナ教授は、知識豊富で深遠な知恵を有する女性の天使で、その評判は広く知れ渡っていました。エリアルは期待に胸を膨らませながら、授業が始まるのを待ちました。

教授が教室に入ってきて、黒板に「人間学~人間界の異なる世界観~」と大書し、「人間界」についての驚くべき事実を語り始めました。

「みなさん、私のライフワークである「人間学」の授業にようこそ!
今日は、第1回目の授業なので、これからの授業で皆さんが学ぶ「人間学」の入口となる話をしましょう。

人間界は我々の天使の世界とは、まったく異なる次元に位置しています。人間界では時間が流れ、喜びと悲しみが入り混じり、ものごとが思うように進まないという法則が支配しています。」

エリアルは教授の言葉に興味津々で聞き入っていました。

天使たちにとって当たり前の幸せや調和が、人間にとっては常に挑戦と試練の連続なのだと教授は語り続けました。

「人間たちは感情という複雑なものに翻弄され、善悪の選択を迫られることが多々あります。また、彼らは時折自分たちの運命を切り開くために、信じられないほどの努力を払います。」

エリアルは教授の言葉に、人間たちがどれだけ強く、勇気ある存在であるかを感じ始めました。

これから彼女は、天使の世界とは異なる世界の学びを通じて、新たな視点を手に入れ、人間界の存在意義を理解していくことになるのです。

生徒たちの興味津々といった雰囲気が教室に広がり、一人の生徒が手を挙げました。

「先生、人間界は、天使の世界とは違う法則で支配されているのですか?」と問いかけました。

教授は微笑みながら生徒の質問に答えました。

「とても大切な質問ですね。実際のところ、宇宙はすべて同じ法則で支配されています。しかし、人間たちは様々な幻想、つまり自分たちが信じ込む思い込みや観念によって、その法則を異なるように感じているのです。」

教授は続けて説明を始めました。

「例えば、人間たちはしばしば時間に縛られ、未来や過去に対して気をもみ、焦りや不安を感じることがあります。しかしこれは、彼らが信じ込む一つの幻想に過ぎません。

事実、未来も過去も存在しないことは、みなさんも分かりますよね。宇宙は『永遠の今』で、成り立っているわけですからね。

つまり、すべては一瞬の中に包まれているわけですが、この事は、人間の次元では、理解しがたいことなのです。」

生徒たちは驚きとためらいの表情を浮かべながら、教授の言葉に耳を傾けていました。

「そして、人間たちは感情というエネルギッシュな力に敏感であり、これが彼らの行動や選択に大きな影響を与えることがよくあります。喜びや悲しみ、愛や怒りといった感情は、彼らの生活において非常に重要な役割を果たします。これらの感情が、彼らが持つ独自の世界観を形成していくのです。」

教授の言葉に、教室内には興奮と好奇心が広がっていました。いくつもの幻想によって生じる異なる法則を理解することで、生徒たちは新しい視点を手に入れていくのです。

そんな生徒の様子を確認するように、教授は微笑みながら話を続けました。

「宇宙は、すべてがひとつにつながったワンネスの世界であることは、みなさんも知っている通りです。しかし、人間は「分離」という概念を獲得することによって、自分たちが、それぞれ別々の存在である、と思いこみ、そのような幻想世界をあたかも現実のように、リアルに感じて生きているのです。

次回の授業から、更に詳しく「人間界の仕組み」について、話していこうと思います。今日の授業はここまでとしましょう。」

セラフィーナ教授の話す内容に生徒たちは驚きを隠せませんでした。ますます深まる新たな知識と理解への期待が、教室に広がっていくのが手に取るように感じられました。
エリアルも、人間がどのようにして「分離」を創り出し、そして、どのような世界観で生きているのかについて深く学べることに胸躍らせる思いでした。

物語は次回の授業で新たな展開を迎え、天使の視点から見た人間界の奥深さがますます浮き彫りにされます。



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