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永代供養墓プロジェクト入門3      永代供養墓の納骨形式と礼拝形式

選択肢が多い納骨と礼拝の形式

 お寺で永代供養墓の計画をたてる時、納骨形式をどうするか、礼拝形式をどうするかは、必ず考えなくてはならないことです。

 一般的なお墓と異なり、永代供養墓にはこの2つの形式に選択肢が多いのです。

 例えば、納骨形式には、合祀なのか、骨壺のままなのか、粉骨して納めるのか、といった選択肢があります。さらには、地下カロートなのか、地上の構造物に納めるのかという選択肢もあります。また、骨壺を納める場所は、個人単位なのか、家族単位なのか、さらには全ての遺骨を同じ部屋に納めるのかという選択肢もあります。個別に納める場合は、遺骨を置く棚形式なのか、仏壇型の納骨壇なのか、ロッカー型納骨壇なのか、移動搬送型なのかという選択肢もあります。

 礼拝形式も同様です。家単位、個人単位の礼拝対象を設けるのか、全員共通の礼拝対象にするのかという選択肢があります。個別の場合は、それぞれの遺骨の前なのか、個別の小型石塔やプレートに向かって礼拝するのかという選択肢があります。全員共通の礼拝対象にしても、構造物全体に向かって礼拝するのか、仏像などの象徴物に向かって礼拝するのか、という選択肢があるのです。

 さらにこれらの折衷型もあるので、バリエーションはかなり多くなります。

選択肢のメリット、デメリットを考える

 しかし、こうした選択肢全体を把握しているお寺はほとんどありません。代表的な永代供養墓の形式と、知り合いのお寺で採用している形式など、限られた情報の中で計画をたてているのが現実でしょう。

 そして、その狭い選択肢の中で、何となく計画を決めているケースが少なくありません。

 繰り返しになりますが、これらの選択肢を考えるということは、極めて重要な作業であります。

 それぞれにメリット、デメリットがありますし、お寺の置かれた環境、お寺の目指している方向性によって、向き不向きもあるからです。

 例えば、礼拝形式の中で、個人単位の礼拝対象を設けるか、全員共通の礼拝対象にするのか、ということについて考えて見ます。

 永代供養墓を、一般的なお墓の延長線上に考えている人は少なくなく、そうした人は、全員共通の礼拝対象には満足しません。自分の家族、自分の家に向かって、手を合わせることのできるもののほうが満足感は高いのです。

 しかし、個別の礼拝対象を設けると、構造物が大きくなったり、建設費用がかかったりするなどのデメリットも生じます。

 もちろん共通の礼拝対象にすれば、そうしたスペースの問題、費用の問題は、かなり改善されていきます。ただ、手を合わせる気持ちの満足感は、個別のものに劣るので、デザインなどの工夫が必要となってきます。

お寺の環境や目指すものによって、選択は変わる

 どんな永代供養墓を建立すべきなのかは、お寺の環境や目指すものによって変わってきます。しかしお寺のほとんどは、そうしたことを考えて計画をたてているわけではありません。先に挙げたような選択肢についても、一部しか把握していないことが少なくありません。

 納骨形式と礼拝形式については、お寺ごとに、それぞれの形式のメリット、デメリットを考え、その上で、決定する必要があるのです。そうすれば、後になって、「こんな形式もあったんだ。あっちの方法がよかった」などと後悔することはありません。面倒ではありますが、それぞれの形式をリストアップし、自坊にふさわしいのはどれなのかを検討するというプロセスが必要だと思います。

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