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幸せへの道標



幸せへの道標





あなたは 今日 


大切な人の笑顔を見ましたか 






時間が すれ違い 


気持ちを 掛け違い 



もっと あたたかいものがあったのに 


肌を寄せ合い 肩を抱き合うだけで 


愛おしいを感じる そんな時が 



僕がすべてを 忘れないように 


あなたは いつも 僕のために 


涙してくれていたんだね 


僕がひとつずつなくしたから 


あなたは 笑えなくなったんだね 






今日 あなたの華奢な背中を失いそうで 


僕は 抱きしめた 


「どうしたの」 


「僕は 君を失ってしまったのかな」 


彼女の細い指が 僕の抱きしめる手にやさしくそえられた 


「あなたは ここにいるよ」 


僕の手を 自分の胸にかさねて やさしく言った 




永い夢を見ていた まだ明けきれぬ朝が 少しさみしく 


彼女のふとみせる 横顔を思い出した 


昨夜 何度も読んだ 彼女への初めての ラブレター 


僕の不器用な言葉たちがならんでいた 


彼女は 涙を流して 笑顔で抱きついてくれた 


もう 君が この世をたってから ずいぶんと時が流れたね 


僕は 君の僕に戻れただろうか 




「どうしたの」 





僕は振り返った 


彼女とよく似た 眼差しと口元が僕を 不安そうに見つめている 


僕は 彼女が僕にしてくれたように 


「大丈夫だよ パパはいつも ここにいるよ」 


にっこりと 小さな瞳をほころばせて 胸に飛び込んできた 


僕は 少しだけ 彼女の笑顔ができた 









あなたは 今日 


大切な人の笑顔を見ましたか 













#君に還るまで
#恋愛詩  
#心声  

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