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7月の海を届けに



君が好きだった夏 


朝一番に君に届けに行こう 


小さな車にゆられて 


朝焼けの空を やさしく見上げて 




なんだか 朝一番の空気って 


神聖な時間のような気がする 


不穏を浄化するように 


目をとじて 彼女が言った 




私はちゃんと 存在できてる? 


愛を存在できてるかな? 




応えに困っていると 


彼女が静かに僕の手をつないでくれた 


だいじょうぶだよ あなたはちゃんと 


私の中にいるから 


私があなたの存在になれているのか 


不安になるだけだから 




7月は私がいちばん大好きな季節よ 


あなたが生まれてきてくれたから 


一年で一度だけ。 

365日の中でいちばん大事な 

あなたの記念日 

この世にたったひとりの 

あなたが生まれた。 

あなたがあなたで生まれなければ 

あなたとわたしは出会えなかった。 

あなたとわたしが出会った日から、 

今日までに生まれた 

いろいろなもの、たくさんのこと。 

ひとつのこらず宝物。 

だから今日は 

わたしにとっても大事な記念日。 




だから 7月の海は毎年あなたが 


私に届けてね 


いつまでも 私の愛するひと 




そう言って 彼女は毎年 


僕の背中をありったけの愛情で 


包んでくれた 彼女の頬のぬくもり 


ずっと ずっと 忘れない 




今日は7月 


彼女が亡くなった日 




これから 君の大好きだった海を届けに行くよ 


ねぇ ユキ 


僕は少しでも君に 


頼もしく映る背中をもてたかな 




写真のユキは 僕に語りかけてくれた 


7月の海は毎年あなたが 


私に届けてね 


いつまでも 私の愛するひと 


7月の海の朝は やさしい彼女の髪の香りがした 
















毎年 君が好きだった夏の季節に 


君に恋をし 


君だけを 


ずっと ずっと 


愛してる 


















#君に還るまで
#恋愛詩
#心声


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