海は拾いな、大きい名(仮)その1

せり上がって来る。存在感。波というよりは塊。
押し迫って来る壁。
奥行きのある壁。どこまでも続く壁。壁の連なり。
括弧に返すカッコが終りなく続くように深く。
カッコつけていく。
「ホントはそんな人じゃないって、分かってるから」
良く知っているハズの知らない誰かが何も言わずに呟かずに溜め息。
黒い塊。
せり上がって来る。不在感。定められた形には入らない。入れない。
見えない壁は厚くて熱すぎて凍る。指先の火傷はアザ。
波の跳ね返り。
細かい粒が粒にぶつかり砕けて粒になる。
闇に光る。
光る闇は白く、唇を閉ざす。
鼻から抜ける溜め息。
透明な音。消えていく温度。空間へと溶け込んでいく。散っていく。
理は解かれていく。
真空をさまようブーメラン。
立ち尽くしていたいのに立ってられない立ち上がれない。
横たわる空間は退化して別次元。
縁の上を歩くフリ。
気持ちでイメージ。

無限に広がる。上がる。拡張は終わらない。
何処かへ行きたいのではない。
何処かに居たいわけでもない。
何処かがあるのか分からない。
行きつく先に行き付けない何処か。
足元は崩れて消えていく足。
這うための手と腕も無。
転がる空間は形を変えていくモノサシ。
歪んだ正しさで測る歪み。
点になった空間のご近所は店。
重なり合うこともなく覆われることもない。

場を揺らして波を起こす。
体幹を曲げては伸ばし顔を打ち付ける面は真空。
噛め。咬め。甕のように亀。
歯を立てて掘り進む。
しがみつくのではなく。
消え去った寄る辺を掘り下げる場。
何処までも。
溺れる者は庇から頭突き。
掘った残滓に飲み込まれる。
幕が下りて揺れ始める膜。
風は無い。
追われることも向かい合うこともない凪。

滓の中で澱んでいるフリを楽しむフリもフリかけ。
交換が不可能な交換に好感して交歓できると交感。
環から出ようとして入っていなかったことに気づく。
想像の核は菌類と共に粘菌生活で腐海。
浮く。力を抜く。
腐海に飲まれる。
還りたい自然に入れない異物は遺物。
誰も取り残さずいただきますごちそうさま。
淀みに浮かぶ富栄養も残さずに。
生態系を整体する声帯に正対。
見つめ合う瞳に完敗してドライアイの砂漠。
細かい金属粒子に埋もれていく。
発掘されないままの遺跡は異物ではない。

黄色い嵐が巻き起こす充血。
赤色は赤くないなどと意味不明な供述。
調書に血判できるのが長所。
オリモノで出来た織物をまとう檻者。
赤紫色に光るボタンは降ります。
注意した足元は最初からなく、見上げる上もない。
反った首がツルの恩返し。
見ましたね。
開けてはならぬ箱は空。
湧き上がる多くのクモはカニ。
ガブトガニはいない干潟はドライ部員。
誤ったのは謝ったから早まったそれ待った。
期待を忘却。
機体を焼却。
奇態で橋脚。
気体に蒸発。
さがさないでください。

手がかりは、ほとんどいたるところに。

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