海は拾いな、大きい名(仮)その2

散り散りになった金属カケラたちが押し寄せられる。
水気と塩気と滑り気を帯びた腐臭をまとう風。
生ぬるさが水面を舐める。
めくれ上がる表面の張力は限界突破。
いたるところに生まれ出ずる渦が境界を歪めていく。
幾重にも分かれた層の上で群れを成す規則。
芽が茎となり、まとめ上げられていく。
うねりがまたうねりを生む。
層によって変わる色合い。
密度は甘さを香らせる。
分かれた光がそれぞれの層を貫いていく。
まっすぐに折れ曲がりながら。
ざわめく層の表皮から放たれる香りの甘さ。
揺らめく温度差。
深い冷たさが刺さる不快はウタカタ。
はじける。
はじく。
消える泡。
微かに残る甘腐り臭。
揺らぐ空気の塊は圧。
届かない光を欲する餓えた闇は、黒くはない。
見えないだけ。

覗くな。

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