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チェ〜ンジ

田舎で暮らしていると、隣組という組織があって
家を建てたり、借家に住んだりしても、ゴミを出したり お祭りがあったり
様々な行事があるので
その組織に 半ば強制的に入らされたりするのだけれど。

昨日の夜は その会合があって、公民館に集まった。
新型コロナ禍の真っ最中だから、なるべく 大きな部屋に 
なるべく 離れて座って 組長さんからの話を聞いた。

田舎だけじゃないんだろうけど、高齢化率がすごく高い地域は
役員のなり手不足で困っている。
もちろん、家の順番で それが回ってくるのだけれど
とうに80歳を超えて、90歳になろうとしている人にさえも
組長さんが回ってくる。
組長さんになれば 月に一度、村から発行される広報誌を配ったり
隣組費用を徴収したり、ゴミ当番やらお葬式やらが発生すれば 
村長さんに連絡したりして 20軒を超える家々を回る。
一度で済めば良いけれど、二度も三度も歩かなくてはならない月もある。
電話で事前に、なんて言っても、90歳になるお年寄りが 各家に電話して
話が通じるわけがない。耳が遠いのだ。

こんな地域に 新しく家を建てて、引っ越してきた人たちがいる。
まだ20代、30代の若いご家族で、小さいお子さんもいる。
もちろん、地域にいち早く溶け込んで欲しいということもあるが
いきなり 組長をやって欲しいというのは、困惑する。

今日は それぞれの人が 色々意見を言った。
前は コソコソ隣同士で話をするだけの人がいた。
堂々と意見を言うのが憚られる 古い地域なのだ。
それに 女性がこうした会議に出席することも 少ない。
女性が出席するのは、旦那さんが亡くなった家の方。
暗黙の了解のようなもの。それくらい珍しかった。
でも 今日は違った。
「女だからって意見を言っちゃいけないわけじゃ、無いよね」と
70歳になろうとする女性も 自ら出席して 意見を言ったのだ。

この地域だけじゃないけど、古い地域は まだまだ女性蔑視は当たり前で
女性がこういう会合に出ていくことすら、舅が止めるなんて事がザラだ。
農協の役員なんかやろうもんなら、家の中でさえ、小言の嵐だ。
そんな時代が20年くらい続いて、私は もう辟易していた。
だが、オリンピック組織委員会の森さんの発言に端を発した女性蔑視問題は
このド田舎のおばちゃんたちすら、立ち上がらせたのだ。

個人差があるけれど、80歳になったら それを理由に断っても良いよね、
東日本大震災の教訓もあるから、プライバシーの問題にも考慮しながら
もし隣組だけに限るなら 家族構成や障害の有無や、災害時に弱者だという
認識を共有するのは、どうだろうか、
小さい子供さんのいる家庭には 役員が 続いて回らないようにしていこうよ、
組長さんの仕事とか、A4の紙に箇条書きにしてまとめてみたら、不安が減って
役員やるのが大変じゃなくなると思わない?
など 前向きで優しい議論が 2時間続いた。

変わり始める時というのは、突然だ。
そして変わり始めると、早い。
女性は 良いと思えば すぐに動く。動ける。
素晴らしいと思った。

男性らが 少し嫉妬の気持ちを込めて
「そんなに ヤイヤイ言われても 直ぐには出来ん」と言った。
すると おばちゃんたちが
「出来んのじゃなくて、やりたないんやろ?」と突っ込んだ。
「やりたないんやったら、やらんで、ええよ〜」
「出来る人だけで、やってっても、ええよ〜」
「でもウチらは優しいけん、仲間はずれには せんよ〜」
おばちゃんたちは 口々に 少しずつ嫌味も交えて 笑かしていった。

あ〜、こういうの、目指してたんだよなぁ。
言いたいことも言えず、「そんなん無理や」って言ってる
おばちゃんたちの姿は見てるの、嫌やってん。
やっと エンジン掛かってきたなぁ。

会議が終わって、おじさんたちが ため息混じりに
「今日の話し合いは 前向きだった。結論も出て 良かった。」と言ってた。
おばちゃんたちは、というと
「明日、また連絡するわ〜。パソコンってのが無いから、綺麗に出来んけど
 私の字は、まだ読めそうやろ?」
「うん、手書きで十分やわ〜。ちゃっちゃと書いて配ろ!」
「じゃ、細かいことは 電話で。あ、LINEってやつか。」
「え? LINE 出来るの?」
「嫌、間違えた。メールや。」
「ギャハハ〜」
とやっていた。
おばちゃんたちは やることが決まれば楽しい。やる気満々や。

変わるって 楽しいで!


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