⑩目覚め
⚠️リアルな描写が含まれている為、読み進める中で気分が優れなくなる可能性があります。
十分にご注意いただき
読んでいただくようお願いいたします。
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痛みは止んだが
その後も続く出血
とにかく朝になり
病院に行くまでは
体を休めよう
万が一に備え
体の下にバスタオルを敷いて
夫と共に横になった
そこから眠りについて
3時間ほど経った朝方
背中の方まで
サーっと水が流れるような感覚がして
目が覚めた
何?
咄嗟に腰のあたりを触って
それが血だとすぐ分かった
夜明けの時間とは言え
部屋の中はまだ暗く
すぐに夫を起こして
部屋の明かりを付けてもらい
状況を確認した
万が一と思って
敷いておいたバスタオルは
やはり赤く染まっていた
そのバスタオルを腰回りに巻いたまま
お風呂場へ移動し、体を洗った
痛みはないが
とにかくすごい出血の量
体を洗った後
尿意もあったため
トイレに行った
すると
ボトンっ
自分の体から何か塊が
スルッと流れ出てきてしまったのである
まさか…
それが何かを確認しようとして見たが
トイレの底に沈んで見えない
夫に
もしかしたら大切な命が
流れ出てしまったかもしれない
何でもいいから
すくえる道具を
持ってきてほしいと伝えた
自分はもう覚悟を決めていたから
今からトイレで行う作業は
夫には見せないでおこうと思った
道具とビニール袋を手に
すぐにトイレに駆けつけた夫へ
その事を告げたが
夫は怯むことなかった
結果、トイレからすくい上げたのは
自分と赤ちゃんを繋いでくれていた
"胎盤" だった
その時はひとまずホッとしたが
またその直後
再び大きなものが流れ出た感覚がしたので
確認すると
こんな形で会うことは
望んでいなかった
私たちにとっての大切な命が
確かにそこに存在していた