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#さよなら定期券

ミレニアムを過ぎてから、10年に1度ぐらいのタイミングで大きな変化を向き合う必要に迫られている気がするのは、私だけだろうか。2001年のアメリカ同時多発テロ、2011年の東日本大震災。そして2020年、新型コロナウイルスの脅威にさらされている。

新型コロナウイルスによって、日々の生活は様変わりした。3月から始まった在宅勤務は、10月からは標準な働き方として定着することとなった。私が働いている会社は元々リモートで仕事ができるような仕組みを整えていたし、営業にいた頃は出張先から普通に仕事をしていたから慣れているつもりだったが、それでも朝から夕方まで家にこもる日々は様々な変化をもたらした。

最大の変化は、定期券が必要なくなったことだ。私は高校生の頃から(大学1・2年を除いて)何らかの形で定期券ユーザーだった。高校生の頃は伊豆箱根鉄道、大学生の頃はJR東海のフレックス・パル、社会人になってからは通勤定期券をずっと買っていた。ここ10年以上はモバイルSuica/モバイルPASMOユーザーだったので、空気のように手のひらで定期券を買い続けてきた。今年10月から「定期券の有効期限が切れた人から、出社が月8回未満の人は実費精算に移行」というルールになったため、出社が週1回ペースの私はこのルールの対象になり、定期券を買わなくてもよくなった。

いざ定期券を手放すとなると、「何のために会社に行くのか」に思いをはせるようになった。これだけ長い間離れ離れでも仕事ができるとなると、会社に行くことが当たり前でなくなる。会社に行くからには、会社でしかできないことをやらないともったいない。私の場合は1回会社に行くのに3,000円近くかかる。会社に行くコストがこういう形で可視化されるという変化は、想像以上に響いている。私にとって定期券は、所属組織に向かうためのパスポートのような存在だった。この意識の変化は、私をどのように変えるのだろうか。答えはまだない。

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